ヤフーとブックオフの資本業務提携 ~ IFRS上の持分法投資と転換社債の会計処理 | Accounting, Tax and M&A

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会計、税務、M&A等の話題についての分析、雑感、というか趣味の備忘録です。もちろんインサイダーではありませんので、全て開示情報と報道に基づくもので、推測を含みます。暇なときに更新しますので、頻度は低いです。ご了承下さい。


ヤフーとブックオフが資本業務提携を発表しました。

ヤフオクとブックオフのコラボはビジネス的にも面白そうですが、このブログでは張り切って会計の論点を見てみます。

ちなみにブックオフ株価は公表翌日にストップ高。市場はかなり好感してるようですね。

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今回、ヤフーが引き受けるのは、ブックオフの新株3.1百万株@702円の総額22億円と、転換社債型新株予約権付社債77億円(転換価格@751円で10.3百万株相当)で、合計99億円がブックオフに払い込まれます。

ブックオフの現在の発行済株式総数(自己株除く)は17.6百万株。増資後で20.7百万株になり、その内ヤフーの持分比率は15.0%になります。

この15.0%はヤフーが持分法を適用できるように設定したとのことで、ヤフーからの2名の役員派遣も含め、重要な影響力ありという判定になっています。

新株発行の702円は公表前日終値の751円より6.5%のディスカウント、転換価格は前日終値ベースです。ディスカウントは10%以内なので有利発行の問題はなし、希薄化率が25%以上ということで第三者委員会からオピニオンを取得しています。

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この転換社債は満期2018年12月で利息なし。転換権の行使は、2018年3月期までにブックオフの連結営業利益が22億円を超えたら45%、27億円を超えたら100%まで行使できるという仕組みです。

つまり現時点では行使できません。なかなか面白いですね。

100%行使された場合、ブックオフは10.3百万円の新株を発行し、ヤフーの持分比率は43.2%になります。

ブックオフの連結営業利益は、2013/3期19億円、2014/3期21億円です。会社計画ではその後15億円、15億円、28億円、37億円ということで、3年後に行使要件が満たされる想定です。

まあ無茶な水準とは思えませんし、最悪、今回の99億円の資金は設備投資に回すようなので、一度減損すれば減価償却費が減って営業利益をかさ上げすることも出来るかも知れません。

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それはさておき。

ヤフーはIFRSへの移行を公表していますが、この投資をどう会計処理するのでしょう。

まず普通株式については、重要な影響力があるということで持分法適用です。

ざっくり計算すると、ヤフーの取得価額22億円に対し、ブックオフ純資産持分は23億円程度(13/12末純資産146億円からBS上の暖簾及び保証金の時価簿価差額約14億円を控除し、増資による払込22億円を加算して、持分15%を乗じて計算)。ほぼ純資産ベースでの取得で、1億円くらいは負の暖簾が出るかも?くらいな感じです。

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次に転換社債の取扱いです。

ここがややこしいですが、ヤフーがIFRSの適用上、IFRS9号を早期適用するか、現行のIAS39号を適用するかで処理が変わってきそうです。

IFRS9号の場合、組込デリバティブは区分処理されず、転換社債を一体として会計処理を行います。

そして、いわゆるSPPIテスト(元本及び利息の回収のみを目的としているかどうか)を満たせないことから、常に時価評価して評価差額をPL認識するという処理になります(FVPL)。

ブックオフの事業が好調に推移すればするほど、利益の増加によって転換権の行使可能性が高まり、また株価の上昇により固定価格での普通株への転換が有利になることから、転換社債の価値も高まるものと思われます。

一方、IAS39号の場合、社債部分と転換権部分に密接な関連がないことから区分処理になるものと思われます。転換権部分はデリバティブとして時価で認識され、社債部分は発行価額と転換権の差額(同時に通常の社債利率で割り引いた現在価値ベースを意味する)で認識されます。

その後は、社債部分は償却原価法に従って一定の受取利息を認識し、一方、デリバティブ資産はFVPLになります。

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そして転換時の処理です。

おそらく営業利益27億円を達成して転換権が100%行使可能になった場合、潜在議決権が43.2%になり、且つ上場会社で他の大株主が存在しないことから、いわゆるde facto control(事実上の支配)として、転換権を行使していなくてもブックオフはヤフーの連結子会社に該当するものと思います。

子会社になる場合は既存の持分の時価評価損益も認識されることになります。

一方、営業利益22億円で転換権の45%が行使可能な場合は、潜在議決権は30.5%で、依然として持分法と思われます。この場合は、転換権を行使した部分のみ、持分法投資の追加取得として処理されるものと思われます。

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ということで、更に細かく書き始めると面倒なので、今回はここまでです。

税務的にはあまり論点もなさそう。

ちなみにブックオフの株価は公表前の4/24終値751円に対し、翌日はストップ高、その翌営業日の4/28は最高値1,003円まで記録し、終値は887円で落ち着きました。

2014/3期EBITDAベースのEV/EBITDAマルチプルで、751円で6.1倍、1,003円で7.1倍、887円で6.6倍というところ。

妥当な水準でしょうけど、もう少し上がってもいいかも知れませんね。




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