幻覚ピカソ 3巻 | お役に立ちません。

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幻覚ピカソ 3 (ジャンプコミックス)/古屋 兎丸
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古屋兎丸が苦手でした。
ダ・ヴィンチで連載してるシュール4コマがダメで,
絵は抜群にうまいけど、怖い人って感じでした。

でもこれ読んで好きになった!
シュールだけど絵があまりに綺麗で整頓されていて
ユーモアもあって読みやすい。

事故にあった影響から,主人公は人の心の悩みを絵にすることができるようになり、
かつ、その中にダイブして悩みを解決しないとからだが腐っていくという。

心のなかにダイブする、
つまり心象風景を絵にしなきゃいけない。
そうすると大概シュールなものになるんだけど、
わたしそういう絵好きで。

同じようなの(中身は違うけど)に、三宅乱丈の『ペット』があるけど、
あれに近いような、でもよりリアルな心象風景だった。

で、わたしいきなり3巻から読み始めて、だけど激プッシュしたいの。

これ、すごい感動する。


ネタばれするよ?
するからね。



タイトルが予めすべてを表していたんだよね。
御多分に漏れず、最終ストーリーは主人公の心の闇を払うんだけど、
それは、事故だった。
事故で失った、大親友であり,唯一の理解者である千晶の死が受け入れられなかったこと。
それがすべて。
それがきっかけで,千晶が小さな姿で蘇ったと思い込み,
心象風景を絵にしなければならず、
大切な時間が止められた腕は腐っていく妄想をする。
あるいは本当かもしれないけど。
絵は描いていたのだから。

ダイブした自分の心から脱するには、
千晶の死を受け入れなくちゃいけない。

ここがもう、すごく泣けて。
ぼろぼろ泣けて。

大切な人を失う物語って本当だめ。
家族でも,友人でも,残されてしまう物語は激しく泣く。

もうだめだ、明日目腫らしていくしかないな、ってくらい泣いた。

この千晶とのシーンが珠玉。
まさか、こんなラストを迎えるなんて、って思う。
1巻から揃えようかな。
どう考えてもわたしの好みど真ん中な気がしてきた。

ほんっと泣ける。
最高に悲しくて,だけど救いもある。

これ、名作だと思う。