フラッタ・リンツ・ライフ | お役に立ちません。

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映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life/森 博嗣
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スカイ・クロラシリーズの最新作にて、1作目の正当なる続編。
ジンロウとスイトのその後。

キルドレ、死なないこどもとして、
戦闘機に乗り続ける主人公。
基地近くに住む女性と関わりあううちに、キルドレの秘密に接近していく。

2、3作目は嫌いだったけど、これはいいかも。
1作目のつづきで、謎も解けたし。
2,3作目が嫌いなのは、スイトが嫌いなんだよね…
自殺願望のあるキャラで、自分を全く大事にしていないところがいらいらする。

だけど、ジンロウが主役だと、そういうキャラが居てもあっさりしていて気にならない。
ジンロウも積極的に生きようとするキャラじゃないけど、
積極的に死のうとするキャラじゃないしね。
淡々としていて物語の詩的で、乾いた雰囲気に一番合う。

ジンロウと3人の女との関係、
キルドレに関する秘密が明らかにされていって面白かった。
スイトが何故自殺願望があるのかもようやく納得いったし。

ただ、詩的な雰囲気が薄れたかな。
単純に、詩のように書いてある文章が劣化してる。
もちろん、森さんの文章力が衰えたわけじゃないけど、
1作目の文章があんまり綺麗だったから、それをどうしても越えられない感じ。
正直シリーズものにしない方が名作だったと思うもの。

ただ、短い言葉を並べてる感じなんだよねぇ…

”僕の右手が人を殺す”

とか言ってた、空虚で、諦めの隣にある美しさ、みたいなのが感じられない。
細かい説明を省いた、空気感としての世界観はよく保たれてるんだけど。
”会社”とは何か、何故戦争を続けているのか、なんていった説明を
相変わらず一切省いていて、
戦闘の中に生命のきらめきを一瞬見出す、その瞬間だけを一貫して追い求めているのは好き。

アニメ映画化するそうだけどどうなるのかなぁ??
正直あんまり興味がないな…
空の場面が綺麗だったら良さそうだけど、
半分詩のような文章だから成り立つ世界観をどう表現するんだろう。
スタジオI.Gよりも、新海誠さんのが似合うと思うんだけどなー。