- 三雲 岳斗
- カーマロカ―将門異聞
死んだはずの将門が現れた。
それを追って、数多の刺客が入り乱れる。
朝廷からの表の刺客、平貞盛。裏の刺客陰陽師加茂保則と、将門の娘。
諏訪の異形の土着民、そして天台密教が僧兵。
夢追って破れ、それでもなお、多くの人間を惹き付ける将門を討ち果たすのは誰なのか。
バカにしていてすいませんVol.2.
いや~~~すごい。
ナイス伝奇。
『世の中に不思議なものなどないのだ」京極堂さんを真正面から貫く伝奇。
突き抜けた設定が多分にありつつ、ひとつひとつにキチンと科学的説明がついてるところが、
ツッコミ派をだまらせます。
いや、細かく突っ込むと、いやいや、空想科学的説明だろ、なんだけどね。
「なるー!」て気になれる陰陽術の説明とか、菅原道真的イカヅチの説明とかおもろいよ。
キャラクタ配置、構成力共にナイスエンターテイメント。
ロマンチシズムは大してありませんが、
ちょい過剰な説明的文章を差し置いてもエンターテイメントの仕方が図抜けてます。
言うなればこれは少年漫画。
漫画にするとそうとう映えると思います。
その意味では原作や脚本的雰囲気。
美形盛りだくさん、美女や美味しい関係もたっぷり。
一気読みでストレス発散!
ですな。
そして多分作者は男のロマンを書きたくて、
稀代のヒーロー将門を作り上げたのだろうとは思うのですが、
あまり男の器の大きさを感じなかったのが個人的残念賞。
山田風太郎的ヒーロー、漢と書いてオトコと読むのですが、
孤高さが冷たさに感じる箇所が後半ちらほら。
山田風太郎のヒロイズムには酔えるのですが、
説明的過ぎてロマンチシズムに欠ける作風なため、あまり酔えない三雲岳人さんです。
だがおもろいよ!
一年ごとにライトノベルやSF新人の各賞を獲得している恐るべき実力派。てか技巧派かな。
というか、何故一年ごとに各出版社の賞を狙うのか。