カーマロカ | お役に立ちません。

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本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

三雲 岳斗
カーマロカ―将門異聞

死んだはずの将門が現れた。

それを追って、数多の刺客が入り乱れる。

朝廷からの表の刺客、平貞盛。裏の刺客陰陽師加茂保則と、将門の娘。

諏訪の異形の土着民、そして天台密教が僧兵。

夢追って破れ、それでもなお、多くの人間を惹き付ける将門を討ち果たすのは誰なのか。


バカにしていてすいませんVol.2.

いや~~~すごい。

ナイス伝奇。

『世の中に不思議なものなどないのだ」京極堂さんを真正面から貫く伝奇。

突き抜けた設定が多分にありつつ、ひとつひとつにキチンと科学的説明がついてるところが、

ツッコミ派をだまらせます。

いや、細かく突っ込むと、いやいや、空想科学的説明だろ、なんだけどね。

「なるー!」て気になれる陰陽術の説明とか、菅原道真的イカヅチの説明とかおもろいよ。


キャラクタ配置、構成力共にナイスエンターテイメント。

ロマンチシズムは大してありませんが、

ちょい過剰な説明的文章を差し置いてもエンターテイメントの仕方が図抜けてます。

言うなればこれは少年漫画。

漫画にするとそうとう映えると思います。

その意味では原作や脚本的雰囲気。


美形盛りだくさん、美女や美味しい関係もたっぷり。

一気読みでストレス発散!

ですな。


そして多分作者は男のロマンを書きたくて、

稀代のヒーロー将門を作り上げたのだろうとは思うのですが、

あまり男の器の大きさを感じなかったのが個人的残念賞。

山田風太郎的ヒーロー、漢と書いてオトコと読むのですが、

孤高さが冷たさに感じる箇所が後半ちらほら。

山田風太郎のヒロイズムには酔えるのですが、

説明的過ぎてロマンチシズムに欠ける作風なため、あまり酔えない三雲岳人さんです。


だがおもろいよ!

一年ごとにライトノベルやSF新人の各賞を獲得している恐るべき実力派。てか技巧派かな。

というか、何故一年ごとに各出版社の賞を狙うのか。