ハリー・ポッターと不死鳥騎士団 | お役に立ちません。

お役に立ちません。

本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻

只今第4作目炎のゴブレットの映画が公開しておりますね。

大変見たい。


今作は本当にハリー・ポッターシリーズか?と思うほどにダークです。

このシリーズはまず一番初めにハリーがどれだけ虐げられているかの描写で始まりますが、

そのハードバージョンが延々と続く。


まずは、状況の悪化。

魔法界ではヒーローであったハリーが、嘘つき少年として村八分にされてしまう。

彼こそ真実なのに、政府やメディアが嘘つきと決め付け、

今まで友達だった人までそれを信じてしまう。

その上、憩いの場であったホグワーツにスネイプを越える史上最悪の先生が入ってくる。


次に、ハリーのぐれっぷり(笑)

青春期特有の自意識過剰に、

「え?これほんとにハリーなの?」

と思ってしまう。


そして極めつけかつ児童文学として重要だな、と思うのは、

善人と見えたものが必ずしも完全な善人ではない事。

それが親や、親代わりに親しい人であっても。


この第三のポイントは本当に重要だと思います。

人間は多面的で、善人が悪癖も持っていて当たり前ですが、

それを最も劇的なかたちで、今作のように有名な児童文学で描くって云うのは

とっても意味深いんじゃないでしょうか。


紛れもないファンタジーでありながら、

主人公のこころが成長していく過程はこの上なくリアル。

大人のわたしはファンタジーが見たいから、少し哀しいけれど、

こどもにとってはこういう物語は意味深いんでしょう。


もしも自分に子供ができたら、

ハリーと同じ年になるたびに一作ずつ買い与えてあげるのもいいな、と思いました。


もう、先生の指導も必要もなく自分で考え、自分で戦うこどもたち。

世界における位置は特殊だけど、人格としてはこの上なく普通の男の子であるハリー。

今作で課せられる試練は本当に辛い。

これからハリーはどうやって乗り越えていくのでしょうか。


重々しい作品ですが、

ウィーズリー一家の活躍が一服の清涼剤です。

ロンは勿論、双子がかなりカッコいい(笑)


ロンとハーマイオニーも相変わらずで、わたしはそれが一等楽しい。

ロンは早く自分の嫉妬に気付かないかなー(笑)