時事寸評 森口氏報道と世論調査報道 | お手伝いさんたちのブログ

お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

時事寸評 森口氏報道と世論調査報道 (10/14)




iPS報道の中で森口氏の研究や履歴が虚偽だったのではないかと言われている。その中で読売新聞を中心に誤報の調査が行われている。この誤報は最近のマスメディアが「誤報など大したことはない」という認識のもとで「世論操作」をしてきた。その中ではこの誤報は大したことはない。これまでの大きな誤報。



(これからは音声です)



1)2009年の選挙の時に選挙が終わるまで民主党の間違いを報道しない、

2)原発の事故が起こるまで国の委員会で危険だという指摘があっても報道しない、

3)日本人を被曝から守る法律があり、それは1年1ミリなのに、法令の記載が明らかになるまで規制の法令がないと報道する、

4)温暖化すると南極の氷は増えるとIPCCの報告にあるのに、融けると言う報告として報道する、

5)消費税増税の時、マスコミは特例で増税を免れるという密約(財務省と報道機関団体の間にあったとされる)の報道



「目的(民主党に政権を取らせる、原発は安全、温暖化は良いことだ)のために手段を選ばず」という報道はそろそろ止めて欲しい。この極端な例が、宮里藍が国民的アイドルだったとき、関西のテレビで宮里が1位になっていないのに「トップに立った!」とアナウンサーが絶叫したことが思い出される。



マスコミは国民を尊敬して欲しい。世論操作のために虚偽の報道をすることと、一個人が詐欺まがいのことをいい、その検証をよくしなかったというのとは影響が違う。特に増税などについてメディアの利害を優先して報道を控えるなど本来の「報道」、“道”という字がついている職業を踏み外したものだろう。


(平成24年10月14日)




--------ここから音声内容--------




iPS細胞のノーベル賞の色々な報道の中にですね、虚偽の報道があったと。これはある研究者がですね、研究成果について虚偽の記者会見とか色々したということで、大いに話題になりまして、読売新聞を中心に誤報の調査が現在行われてるというふうに伝えられております。しかしですね、私はですね、もちろんその、一研究者が報道した…言ったのはですね、間違ってれば、簡単に「間違っていた」と言えばよくてですね、調査委員会を作ったと言いますけども、これはですね、マスコミが世論操作を目的としてやったわけではないので、単に謝ればいいんじゃないかというふうに思うんですね。





それかよりかもっと大きな問題がですね、マスコミにはものすごく今積み重なっているわけですよ。例えばこれはほんとにここに書くのは2, 3で、マスメディアの研究者がもっと声を大きくして言わなきゃいけないんですが、何かあの、取材制限をされるっていうんで…調査制限をされるっていうんで控えてるという話をある大学の先生から聞きましたけども。





例えばですね、2009年の選挙です。民主党が大勝利した選挙ですね。これは選挙の当日までおそらく多くの民主党がマズイということを聞いてた…取材をしてた記者がじーっと黙ってたということがありますね。で、民主党が政権を取りますと、今度はもう半年ぐらいの間にものすごい勢いで色んな材料を持ち出してきて叩き潰すと。これはですね、日本国を良くしようというよりか、話題作りをして、なんか視聴率や販売率を上げようという露骨な世論操作ではなかったかと思うんですね。





それから原発のことについてはこのブログでも何回もお話してますけども、原発の事故が起こるまで、国の委員会が危険だということを繰り返し発言があるわけですが、それは報道しなかったんですね。これはですね、原子力基本法で「自主・民主・公開」ということが決まっておりまして、私たちの委員会にも傍聴席もあればマスコミ席もあってですね、NHKなんかはほとんど全部来てたというふうに思うんですが、それ意味がないですよね。危険だということを伝えないということは非常に…もう意味がないと思いますね。





それから私が繰り返しこれも言ってますが、一年1ミリシーベルトという、日本人を被曝から守る法律があるのに、法令がですね、だんだん明らかになる半年ぐらいの間は「ない、ない」と主張して報道しました。これはちょっと考えればですね、ほんとに日本人を被曝から守る法律はないのかっていうことで、非常に無理な報道だったわけで、しかしそれも構わずやったわけですね。これは政府の要請かもしれません。





もちろんこういったものはですね、今度のiPS細胞の、個人の虚偽報道なんかとはもう全然…虚偽会見なんかとまったく違うレベルであります。それからもっとすごいのは、そのIPCCの温暖化の時にですね、「温暖化すると南極の氷が増える」とIPCCは報告し、現にこのブログにも載せましたけども、南極の氷は増えているにもかかわらず、「溶ける」という報道を繰り返しました。これも世論操作をしようということですね。





消費税増税の時もマスコミはですね、財務省との間の秘密協定で、増税が通っても「マスコミには増税しない」という、そういう密約があったと報道されとります。これですね。つまり目的…世論操作の目的、「民主党に政権を取らせるぞ」とか「原発は安全だ」と、「政府の言うことに従う」とか「温暖化はいいことだ」というような目的をマスコミが設定して、そのために虚偽の報道をするということを繰り返してるわけですね。





これの典型的で割合単純な事件が、関西のテレビ局が宮里藍さんがですね、非常に国民的なアイドルだと…頃ですね、今から10年ぐらい前になるかもしれませんが。宮里が2位なのにトップに立ったとアナウンスしたわけですね。これもついついという感じはしますが、やはりマスコミがですね、事実を報道するということに非常に弱いということを示しとります。





で今度の個人の問題ですね、ある一研究者の個人が自分の名誉とかお金をもらうためとか、地位とかそういうことで、ちょっと踏み込んだ、やりすぎた、ウソの入った報道…を言ったと、これを間違って報道しちゃったということとですよ、ここに今示したような選挙だとか原発だとか被曝とか温暖化…温暖化は結局、このずーっとマスコミのもう大々的なウソのキャンペーンがですね、日本国の政策を決めてしまい、さらに今度環境税を作るというですね、やっと環境税を作ってしまったというとこまで持ってったわけですね。





それで、消費税の増税の時も、結局マスコミは自分の所の特例をして…減税をしてもらうために国民にウソをつくっていうか、世論操作をすると。この世論操作をするためのウソ、これの方がですね、一個人がちょっとウソをついたというのをそのまま報道したのと、まったく影響の大きさが違います。





今度のことで何かマスコミがですね、調査委員会を作って、なんか正しくやるように見えるのはですね、私は本当にこうなんちゅうか、マスコミはほんとに報道を…報じる道ですね、柔道とか、そういう「道」という名前のついた神聖な職業としてはですね、まぁほんとにダメになってしまったんではないかという感じを致しまして、このiPS細胞の報道を聞いておりました。