それは当然だが(2) 節約している女性を見たことがない | お手伝いさんたちのブログ

お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

それは当然だが(2) 節約している女性を見たことがない (10/13)




(音声でお話ししています)



私は「節約」している女性を見たことがありません。これは環境問題に取り組み始めた20年ほど前からの長い私の疑問です。ときどき、女性の方に「なんで節約してもいないのに、節約していると言うのですか?」とお聞きすると、「女性のウソは当然じゃない!」と怒られたりします。



でも、これほど女性の社会進出が多くなっているのに、本当に女性がウソをついても良いということになるのでしょうか?



そして、「節約をする」というのは美徳でもなんでもなく、日本の子どもたち孫たちを路頭に迷わすことですから、してはいけないことでもあります。



【論点】

1)江戸時代は節約できた、

2)現代は節約できない、

3)節約したお金でケーキを食べた場合、

4)節約したお金を貯金した場合、

5)我が子を餓死させても他人の子どもを救う日本の母親


(平成24年10月13日)





--------ここから音声内容--------




「それは当然だが」シリーズを(1)を話してるうちにですね、すぐ(2)を書きたくなりまして。「節約する女性を見たことがない」という、これもやや刺激的なタイトルでありますが、「それは当然だが」というもの(シリーズ)は、ズバッと切り込もうということなので、こういうタイトルで考えてみたいと思うんですね。





私はこの…節約している女性っていうのを今まで見たことないんですよ。これは環境問題に取り組み始めたころからもう20年ぐらいは私たつんですが、私の一つの大きな疑問なんですね。で、時々女性の人に「なんであなたは節約もしてないのに、節約してる、節約してるって言うんですか」っていうふうに言うとですね、時にはですね、「あなたなに。女性のウソは当然じゃないの。なに女性のウソを怒ってんの。そんなムキなって」なんて言われてですね、「まぁそうかな」と思ったりするわけですね。





しかし昔、女性がですね、家庭に閉じこもってるだけだったらいいんですけど、今は社会に出て色んなことを言ってるわけですね。だから色んなこと言ってるのは全部ウソだったっていうことになりますとね、これはあまり日本のためにならないわけですね。





それからまた男性でもですね、節約は美徳だというような人がいるんですけど、なんで美徳なんでしょうかね。美徳というためには節約したら、なんか良いことが起こるっていうことじゃないと美徳にならないわけですが、少なくともですね、ここにお話するように節約すれば当然日本は滅びていくわけですから、子どもたち孫たちの日本を非常に貧弱にするということは間違いないわけですね。その一つの例を「それは当然だが(1)」、これは大変にですね、全体的な問題提起だったわけですけども、それですね。





で、論点をここにお話を致しますと、まず江戸時代は節約ができたんです。これはなんで江戸時代が節約できるかといいますと、例えば山から木を切ってきて、暖炉でくべると。寒いけども少し我慢してくべる薪を減らせばですね、また明日薪が使えますから、その分だけ自分が山に行って木を切ってこないで済む。もしくは山が少なければ山の木が全部なくなることもないということでですね、節約は自分も楽をし、楽にし、家族も豊かになり、それから日本の自然も守れるということでですね、江戸時代は大変に節約ってのは良かったわけですね。ですからこれがたぶんみなさんの頭にあって、節約は美徳だという話に繋がっていってるんじゃないかと思うんですね。





ところが、今貨幣経済、つまりお金を仲介にしているわけですね。直接自分が山に行って薪を切ってくんじゃなくて、お金で薪を買うという時代ですね。こうなりますと節約っつぅのは180度変わるわけですね。例えば30万の給料をもらってるとします。ま、手取りとかなんとかありますけど、一応30万としますね。そしてそれを普通は朝起きて歯を磨き、会社に行って、一杯飲んで帰るというような生活をしてるとしますね。時に自動車を買ったりテレビ買ったりすると。





こういう人がですね、節約をしようと心がけて「タクシーに乗るのをやめよう」とか「電気をこまめに消そう」ということになってですね、30万のうち3万円を節約したとします。ここまでは一応節約になってますね。ところがその3万円、余った3万円をどうするかっていうことですね。このお金でケーキを買って食べるとか、それから酒をうんと飲むということになると、これ節約になりませんね。「使う用途」が変わったり、「時期」が変わったりするだけですね。一ヶ月一生懸命節約して3万円ためて、一日でパーッとバーかなんか行って遊んじゃうと。3万円使うのは大変に快適だと。まぁこれは使い方の問題ですね。





女の人が一生懸命節約すると。「早く電気消しなさい」とかって家族に言って、余った3万円で自分の洋服買うとかね。これ節約じゃないんですよね。あの、なんて言うんですかね、これを節約と言ってる女性がいるんですよ。だけどこれは節約ではないですよね。ただ使い方が変わるとかいうことですから、それは「あなたのお金の使い方が違うんだ」と。給料もらったらパーッと使う人と、節約してためといて最後に使う人と色々いますからね。これは「使い方」の問題ですよね。





じゃあ3万円ためたら、それをですね、銀行に預けたらどうかと。これ節約してることになってるかって言うと、その月だけは節約してますよね。3万円ためますから、見掛け上は。しかしそれ10年先でも一年先でもいいですけども、お金がたまって例えば300万なったと。10年たって300万になった。そしたらですね、それを下ろして車を買っちゃうと、これは節約なりませんね。これもやっぱり使う時期が違うというだけですから節約じゃないですね。





で、まして銀行に預けますと逆になっちゃうんですよね。銀行に3万円預けると、銀行はそれを金庫の中だけにしまっておけばいいんだけど、そうなりますと利子がつきませんからね。銀行員を雇うお金もないから、結局その銀行は当然銀行の役目、つまりそのお金をすぐどっかの中小企業の社長さんに貸すわけですね。





お金を借りる人ってのはお金が必要な人ですから、すぐ使いますから。そうなりますとね、社会としては全然節約になってませんね。ある人が3万円余すと。それを銀行に預けると、その銀行がその3万円を誰かに貸して使ってしまいます。またその人(預けた人)はいつの日か下ろしてまた使いますから、結局倍使われるわけですね。これは銀行のある意味では良いところで、お金が回るということになるわけですね、ある程度は。





だけども、節約をしたことにはならないわけですね。まったくその個人も節約してませんよ。だって、10年たって300万下ろしてそれ使っちゃってるわけですから。だからそれは「いつ使うか」っていう問題で、「節約」とは違いますね。そうすっと節約するってことはどういうことかって言うと、本当に30万もらったら、27万使ってあと3万円を捨てるってことですね。こんなことは現実的にはありえないし、それから国家もそれでいいんですかね。その金をですね、どんどん地下に埋めて捨てていくとか、破って捨てちゃうとですね、もちろん使えなくなるんですが。そしたらどんどんどんどん印刷しなきゃなんないし、何やってるかわかんないわけですよね。





だからこの貨幣経済の中では、節約ってのはできないんですよ。それからもう一つですね、よほどの人でない限り、給料が多い方がいいんですよ。給料が多い方がいい、つまり30万、「あなた今30万の給料ですけど、40万に引き上げようと思うんですが、いかがですか」って、断る人いないですよ。断る人が100人中100人全部断らないのに、なんで100人中100人が…の女性が節約してるんですかね。給料を上げるのに反対する女性いませんよ。むしろ給料安い安いって苦情言ってる人多いんですよ。その人が「節約してる」って…「あなた、何言ってんですか」と思っちゃうですね。これ(ここ)まで追求するとご機嫌が悪くなって「女性がウソつくの当然じゃない」とこう言うんですね。





ところがそれを社会に向かって発信するとどうなるかっていうことですね。社会の人が間違って、今そうですけども、節約する。そうするとですね、そのお金は銀行に行く。これ後でまたこの(3)で述べますけど、銀行に行ったお金は今誰が使ってるかったら、国が使ってるんですね。国はしかしお金を使いませんね。国債を出して銀行から金を集めて…みんなが節約したお金ですよ。これ集めて、これをまたみんなに配ってんですよ。エコポイントとか、太陽電池のなんとかとか、それからその他まぁ色んなものに配ってるわけですね。





ってことはどういうことかって言うと、お金を節約して銀行に預ける、預けた銀行のお金は国が国債で買って、でそれをですね、もう一回庶民に配ってるだけなんですよ。だからこれ節約じゃないですよね。これ日本全体で節約のしようがないですよね。だから日本全体で節約しようと思ったら、日本人の集めたお金で、例えばアメリカにビルを買うと。これだったらですね、日本自体は…まぁ世界全体は違いますけどね。世界全体のCO2を減らそうとか、こんなのは必要がありませんが、これは意味がないですけどね。それはアメリカ人が使って日本人は貧乏のままっていう不都合も生じますし、色んな問題が起きますね。





だから節約してるとどうなるかったら、日本の国がどんどんダメになってきますね。もちろんその、国があらかじめ配ってもですね、それは働かない方向に行きますからダメですね。それから今度は外国にやったら外国が豊かになってしまいますから、結局は節約するっていうのは日本の国が滅びていくってことですね。





例えば30万もらって3万円余して、ほんとに余したらですね、それは日本の活動量が減っていきますから、日本がどんどんどんどん貧乏になって、27万×0,9、また×(掛ける)0,9っていうふうにどんどんどんどん貧弱になってく。そうすっと隣の中国が1,1倍、1,1倍ってなっていくとですね、非常にその差が開くわけですよね。





ですから「10パーセント削減しよう、節約しよう」と日本が言ってて、中国が「10パーセント余計に使っていこう」っつったら、みるみるうちに中国にやられてしまうということになるわけですね。これは我が子を餓死させても他人の子どもを救おうとする日本の母親になってしまうんですよ。だから、母親の方はですね、いやほんとに自分のお子さん、自分のお孫さんを守ろうとしたら、やっぱり昔のように自分の家庭だけを見るとか、自分の身の回りだけを見るんではやっぱりいけないわけですね。やっぱり日本全体が自分の行動によってどういうことが起こってるかっていうことは慎重の考えなきゃいけないですね。





しかし今日本は女性の力が伸びて、女性の発言力が増えてます。これは大変に結構なことなんですが、それを狙ってる人がいるっていうことに、やっぱり気がつかなきゃいけないですね。この狙ってる人たちが、この20年間「節約」ということを「もったいない」とか、「節約」という耳障りの良い言葉でどんどんどんどん庶民からお金を巻き上げて、そして国が、官僚がのさばると。ついに増税になっちゃったんですけど。





そういうことになってるわけですから、ここはですね、「節約してる人がいたら、私にちょっとご連絡をください」と。どういうように節約してんのか、例えば環境運動家で、割合と汚らしいものを着て…っていうか、汚らしいものと言ったら悪いんですけども、自然に親しいやつを着て、頭は散髪に行かなくて丸めていて、という方がおられますよね。あの方はどういうふうに給料を使っておられるのか。それをですね、これもやっぱり聞くとですね、失礼なんであんまり聞けないんですけど、ここまで日本がダメになってきたらですね、やっぱりこういうものも考えてみる必要があると私は思います。