福島県の「秘密会議」と出席した人たちの犯罪性 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

※先生の記事は音声と文章の両方がアップされていましたが、文章が新聞記事の紹介にとどまっていたので、音声を文字起こししました。


福島県の「秘密会議」と出席した人たちの犯罪性 (10/3)



ここで取り上げるニュースは、



原発事故で福島県の「県民健康管理調査」について専門家の委員会で、事前に見解をすり合わせる「秘密会」があった。昨年5月から約1年半開かれた秘密会は配布資料を回収、出席者に県が口止めした。約30分の秘密会が終わると、県職員は「資料は置いて三々五々会場に向かってください」といい、「調整」が発覚するのを防いだ。委員の方は「バラバラの方がいいかな」と言いながらエレベーターに乗り込み、会場の福島市内の会場に向かった。 



です。多くの人が驚いたのではないでしょうか?委員は次の人です。



明石真言 放射線医学総合研究所理事

阿部正文 福島県立医科大学理事兼副学長(教授)

春日文子 日本学術会議副会長(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)

神谷研二 広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授(公立大学法人福島県立医科大学副学長)(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)

菅野裕之 福島県保健福祉部長

児玉和紀 放射線影響研究所主席研究員

佐藤敏信 環境省環境保健部長

星 北斗 福島県医師会常任理事 .

安村誠司 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座主任(教授)

山下俊一 福島県立医科大学副学長(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)』



--------ここから音声内容--------




今日の朝方ですね、主に毎日新聞のスクープかもしれませんが、驚くべきというかですね…毎日起こることを驚いちゃいけないんですけども、驚くべきニュースが流れました。




原発事故で福島県民の健康菅理調査という検討会がですね、実は去年の5月から約一年半の間行われてたらしいんですが、これが秘密会であった、と。それで何を打ち合わせしてたかっていうとですね、とにかく「結果を県民に知らせないこと」っていうのと、それから「被曝はガンに繋がらない」ということで口裏を合わせるんだということをやってたわけですね。




そうすっとまぁこれは、なかなかおおっぴらには言えないということで、約30分の秘密会議が終わりますと、資料を置いて三々五々、とにかくバラバラで出て下さいというわけですね。委員の人は「バラバラの方がいいんじゃないかな」ということでエレベーターに乗り込んでどっか出かけると、まぁこういうことですね。




これについて多くの人が驚いたと思うんですね。「えっ、そんなひどいことってあるの?」と。例えば「福島県というのは、県民のために何かしてんじゃないの?」とこういう感じがしたと思いますね。




また委員の人が驚いちゃうですね。えっと、個人のお名前は別にしましてね、放射線医学総合研究所理事、福島県立医科大学の理事兼副学長、病理病態診断学講座主任、学術会議副会長、国立広島大学の原爆放射線医科学研究所長、福島県保健福祉部長、放射線影響研究所主任研究員、環境省環境保健部長、福島県医師会常任理事、福島県立医科大学医学部主任、それから例の山下先生、とまぁこういう顔ぶれですね。




ええと、この人たちは社会的に地位のある人たちで、立派な人たちとまぁ言っていいでしょうね。その立派な人たちは、医師としてもしくは専門家として県民の健康調査をするというのが、県民の税金でなされており、民主主義であり、データはデータのままちゃんと公表し、自分たちの専門としての見解をつければいいというふうに、なぜまともに考えられなかったのか、ということですね。




しかしこのことはですね、私がいろんな機会に再々指摘したように、実は珍しいことではないっていうことなんですね。多くの委員会では、このようにですね、露骨ではないにしても、そこで話されることは「そこの人たちだけ」というのが、まぁ普通なんですね。これが普通なんです。それで市民とか国民をだますというのが普通なんですね。普通になっちゃってんですよ、これは。




いつから普通になったかは別にしまして、いずれにしても普通になってしまってるということをまず我々はですね、認識しなきゃいけないし、それでほんとに民主主義ができるのかっていうことですね。




これはあの、民主党のこの公約違反なんかもそうなんですが、もちろん選挙の時に公約したものを違反しちゃいけないんですけどね、いけないんですが堂々と公約違反をするということが行われているわけですよね。ですから、日本中がある意味ではですね、ウソでかたまった社会になったと、その断面がですね、こういう形で今回出てきたということですね。




私もこれもよく経験したんですけども、「武田先生、ほんとはこうなんですよ」なんていう話を耳打ちされることが多いんですけど、ほんとにこうなんですよって耳打ちするぐらいだったら、そのまま新聞か何かに書いたら?と思うんですけどね。そこんところがどうしてもまだ民主的ではないと思います。




で、この人たちがなぜこういったですね、各大学の学長さんだったり、いろいろな…例えば環境省の部長さんだったりと、社会的に地位のある方で税金をずいぶんもらっている方がこういうことするかっていうとですね、やっぱり民主主義を信じてないんですね。「国民はバカだ」と思ってるんですよ。国民はバカなので、バカな国民が騒ぎ始めると大変だ、と。ええ。もうそれを納得させるってのは…国民を納得させるなんてことは絶対できない。だから我々は偉いんだ。偉いんだから事実を隠して結論だけ言えばいいんだ、と。




まぁ、国民側にもそういうとこありましてね。本なんかでも事実をきちっと解説するとなかなか売れないんだけど、「こうしなさい」と結論だけ書いてあると売れるとかですね、そういうことがあって、これはまぁお互いだということも言えないわけではないんですが、ちょっと行き過ぎですよね。




ええとまぁ今度のこの秘密会議のことはですね、本来福島の県民の健康を守るという立場の人がですね、例えば福島県から人がいなくなると県民税が入らないとか、お医者さんですと診断される人がいなくなっちゃって収入が減るとか、そういうことを心配してですね、県民の健康(を)二の次に置いてるわけです。




で、こういうふうに私が言いますとですね、「放射線でそんなに被害は出ないんじゃないか」って言うけど、いや、そういうものとは別なんですよね。被害が出ないから隠していいというわけじゃないんですね。被害が出ても出なくても隠していけないものはいけないわけですからね。




その点では、この事件は非常に大きな…もうこのことじゃなくて、ま、この人たちはすぐ辞任するでしょうね、恥ずかしくて。それからおそらく職も辞めるでしょうね。まさかそんなことしながら教授だったり、そういうことっていうわけにはいかないでしょうからね。だいたい本人たちも犯罪意識があるんでしょうね。「エレベーターに乗る時にバラバラの方がいいですね」なんて言ってるわけすから。自分たちがしてはいけないことをしてるってことはわかるんでしょうね。




しかし日本の場合はですね、まだまだ国民が主役ということになっていないということの一例でした。