マイナス金利が地銀に与える影響 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ

4月12日の衆議院財務金融委員会は、財政及び金融に関する一般質疑。

黒田東彦日銀総裁が出席する中、マイナス金利についての質問がありました。

 

●鷲尾英一郎委員(民進)

私の地元の新潟でも、第四銀行と北越銀行という、地銀の、県内では両雄が経営統合する、こういう報道発表がございまして、これは、いろいろな背景があろうかというふうに思うんですけれども、これまで、例えば、第四銀行さんに断られて北越さんに行くとか、北越さんではなくて今度は第四さんとか、相互に地域の金融を補完し合っていた関係の二大地銀が統合するという話になっております。

 

 この背景にある動きを、いろいろ考えられると思うんですけれども、麻生大臣に、この背景につきましてひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うのですが。

 

●麻生太郎財務大臣

新潟以外でも、例えば九州で長崎県における銀行と福岡県の銀行の統合というのが、これはたしか公正取引委員会で今審議がなされていると思うんですが、これは、地域によってすごい事情があるんだと思いますが、やはり、人口減少が起きております今の状況の中において、いわゆる地域銀行において、対象人口、対象企業の減少に伴って、経営を統合することによって経営規模の拡大を狙うところもありますでしょう。

 

 いろいろ違うんだと思いますので、これは、あくまでも地域における銀行の経営の自主判断に負うところが大きいんだと思いますが、地銀の姿というようなものを考えた場合に、これは当局が、我々がこうするべきだとかいうような話じゃなくて、その地域によって要求されている内容も多いと思いますし、今のように企業がある程度、この三十年間、二十年間の間、自己資金というのをそこそこ蓄えてきた企業とそうじゃない企業、また、今、波に乗っている企業もありますし、いろいろあるんだと思います。

 

 食器の町だった新潟のあの辺が、えらい勢いで、ゴルフのヘッドにつくりかえてみたり、いろいろな形で企業が生き残りを図っておられるので、それに対して、食器だけやらないでそういうものもやった方がいいんじゃないかと乗せて、その分の資金を積極的に出してくれるというようなところで、銀行もリスクをとる。

 

 企業もリスクをとっているんだ、銀行もリスクをとってくれるというような姿になっていくと、地域の企業と地域の銀行が、それぞれ要求が合って当たっていくというのは、なかなか、時代の変化に合わせて銀行のあり方というものも、ただただ、言われてきたのにそこそこの金をつければいいというのと少し違ってきたものも求められているのかな、いろいろな感じが今起きているのが、各地域によって違うとは思いますけれども、そんな感じがしております。

 

●鷲尾委員

要するに、経営者が自主判断をする、あるいは人口減少、そういう背景もあるんでしょうが、私は一つ、きょうは日銀総裁にも来ていただいていますけれども、後で質問しますが、マイナス金利政策を含めて、地銀の収益の基盤を脅かすような政策変更が、ある意味、地銀再編に拍車をかけているんじゃないか、こう思うわけであります。

 

 人口減少という意味でもそうでしょうし、あるいは、収益基盤が、やはり国債の運用によるところも地銀はあったでしょうが、それがなくなっているわけですから、そうすると、なかなか経営体力として、これまでどおりやっていてはどうだろう、こういう背景があって、それでかなり地銀の再編の動きが出てきているんじゃないか、こう思うわけです。その点をどう認識しているかというところだったんです。

 

●麻生財務相

今、日本で、四十七都道府県にありますが、地銀は第二地銀を入れましたら百幾つありますかね、かなりな数あると思っておりますので、地銀と第二地銀と両方入れまして。

 

 第二地銀を入れると百ぐらいあると、今のような、人口がいろいろな地域に偏在してきて、だんだん減ってくるところ、九州でいけば、福岡県はふえていますけれども、その他のところはかなり減っているというところもありますので、そういった意味では、地域において昔のように、終戦直後のあの時代のように、銀行に金がないから政府が金をつけて特殊金融で傾斜配分してというような時代と違ってきている面もあると思いますので、そういった意味では、一概に言えませんが、金利というものの部分は、やはり日本全体の経済の意味からいきましたら、他の企業に与えます影響から見れば、これは金利が安い方が企業としては返済金が少なくて済みますので、そういった意味では、経済全体にとりましては、銀行のために経済があるわけじゃありませんので、いろいろな意味で、その状況の中で頑張っていただかないかぬというのが基本だとは思います。

 

●鷲尾委員

マイナス金利政策の影響もあるというふうに大臣に言っていただきたかったんですけれども、あるんだと思うんです、明らかに。明らかにあって、ただ、そういう政策変更が、ある意味一つのきっかけとなって、これまで、大臣がおっしゃっておられた人口減少等々の問題も含めて考えて、恐らく今地銀の再編というのが頻繁に起こってきているんだろう、こう思っております。

 

 ただ、これまでいろいろな意味で補完関係があったものが一つになっていくというと、地域の金融ということになると、企業の側から見て、いろいろな資金調達先があるから、ここでだめだったらここ、それでだめだったらここ、いろいろな提案をしながら企業さんも資金調達をできたということもあるんでしょうが、それが、どんどんどんどん統合していくことによって、地域金融に少なからぬ影響を与えてしまうんじゃないか、こう思うわけでありまして、こういう将来的な、統合が進むことによって地域金融がどう変わっていくのか、この点につきまして大臣の御見識を伺いたいと思います。

 

●麻生財務相

これは本当に、統合によって創出というのか、つくり出されます経営資源というものの余力というものはありますので、統合によって力が別にその分だけ、同じところに支店が三つ、四つ重なっているところが一つになるとかいうことになると、その分だけ人が余る、余力も出てきますので、地元の企業の抱えております問題に対して積極的にかかわれるだけの人数は少なくともそれで出てくることになりますので、地元企業の価値の向上とか、また、新しい分野での進出を促せる、そういった意味で新しい芽になり得るところも出てくると思いますので。

 

 役立つ形で使われるということが重要なのであって、単に経営の合理化だけでやっていくと、おっしゃるように、それでどっと人手も減らすことになると、いきなり目の届かないところ、また、今までとは、人間関係が薄れていくところとかいろいろなマイナスの面もありますので、そういった点はよくよくお互いさま説明をし合ったり、いろいろ内容をお互いに情報公開したりするというようなことは間違いなく必要なんだとは思いますけれども、今言われた点も十分に配慮しておかないかぬ大事なところだと思います。

 

●鷲尾委員

それでは、きょうお越しの黒田総裁にもお聞きしたいというふうに思います。

 

 今ほど来申し上げているように、このマイナス金利政策というのが地銀再編に与えている影響、私はあると思っていますけれども、いかがお考えでしょうか。

 

●黒田日銀総裁

確かにこのところ、地域銀行の間で経営統合を図る事例がふえてきているということはそのとおりでありまして、その背景にはさまざまな事情があると考えられますけれども、一般的には、人口減少などの構造的な下押し圧力に加えて、長引く低金利環境のもとでの貸し出し利ざやの縮小ということもあって、地域銀行の基礎的収益力が趨勢的に低下していることが背景としてあるというふうに見られます。こうしたもとで、経営統合が収益基盤を強化する上での選択肢の一つになっているというふうに考えられます。