今回の三次補正予算は、歳出面において、災害対策費、国際分担金及び拠出金等特に緊要となった事項についての措置です。
歳入面においては、野党の言う「アベノミクスの失敗」であるのか、租税及印紙収入の減収等が発生。そのために公債金の増額を行おうというものです。
1 一般会計における歳出の追加事項は、
【歳出】
(1)災害対策費 1954億7700万円
(2)国際分担金及び拠出金等 1685億0500万円
(3)自衛隊の安定的な運用態勢の確保等 1705億8500万円
(4)その他の経費 879億円
この財政需要に対応すべき追加額は合計6224億6700万円。
これまでの予算で予定されていた税収のうち、所得税、法人税、消費税、地方法人税が減るために、その税収からねん出している地方交付税交付金も減ることとなります。
地方交付税交付金というのは、全国にある地方自治体に配分する予算ですが、税収の不足見込みにより、これを穴埋めするため、5436億5400万円を補てん増額することが必要になります。
したがって、財政需要に対応すべき追加額と、地方交付税交付金増額とあわせて1兆1661億2100万円が必要となります。
そして、これまでの既定経費で使わない金額として4163億6400万円が算出されています。さらに、地方交付税交付金では5364億5400万円の減額、がありますのでこれを補てんします。
地方交付税交付金だけで考えると、5436億5400万円の不足と地方法人税の税収減に伴う地方交付税原子の減額の補てん7200億円が見込まれ、他方では5364億5400万円不用になるということです。
既定経費の減額4163億6400万円、地方交付税交付金の減額5364億5400万円の合計である9528億1800万円が浮くので、今回の補正予算の歳出1兆1661億2100万円のうち9528億1800万円を引いて、2133億0300万円が歳出に必要な額です。
そして最後に、各省庁すべてに既定経費の減額があり、また国庫債務負担行為の追加もあります。
【歳入】
歳入については、最近までの収入実績等を勘案し、
租税及印紙収入 1兆7440億円の減収
税外収入 1047億0300万円の増収
として、新たに公債金を1兆8526億円を増額。
公債金の中身は、建設公債1014億円、赤字公債1兆0140億円。
従来ならば赤字公債の発行はその都度、国会の審議を経て、立法しなければなりませんが、昨年の通常国会で、2016~20年度に赤字国債を発行できるようにする改正特例公債法を成立させているため不要ということになります。
この法律は維新の会含めて野党すべてが反対していました。今回の予算案でもこれが争点になってくるかと思います。
この結果、公債依存度は 38.9%(成立予算 37.2 %)となります。
●歳出の補正
災害対策費 195,477
国際分担金及び拠出金等 168,505
自衛隊の安定的な運用態勢の 確保等 170,585
そ の 他 の 経 費 87,900
小 計 622,467
地方交付税交付金 543,654
税収減に伴う一般会計の地 方交付税交付金の減額の補塡 536,454
地方法人税の税収減に伴う地方交付税原資の減額の補塡 7,200
追 加 額 計 1,166,121
既定経費の減額 △ 416,364
地方交付税交付金の減額 △ 536,454
修正減少額計 △ 952,818
合 計 213,303
●歳入の補正
租 税 及 印 紙 収 入 △ 1,744,000
税外収入 104,703
公 債 金 1,852,600
公 債 金 101,400
特 例 公 債 金 1,751,200
合 計 213,303
プラス利子である経済常識、経済成長はしなければならないという妄想、こういうものを信仰しておきながら、「国債の発行はよくない」とする考えはてんでデタラメであると思います。
プラス利子であることが経済政策の常識である以上、借金というものを次々に作らねば経済成長はありえません。
財政が不健全になるという言葉をよく見ますが、借金が不健全であるのならば、どうやって世の中にお金が増えていくんでしょうか。
お金は信用創造によって膨張し、それが前年よりも増えたことにより、貨幣が増えて、国内総生産が増えます。
「国債はダメ、経済成長はすべき」という、この矛盾にいつ気づくのでしょう。