水産業に関する税制改正要望は主に以下の三つ。いずれも漁協の税制優遇処置であり、これまでの延長を求めています。
漁業協同組合の税制特例
http://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/gyo/pdf/gyokyo_28.pdf
海洋国家である我が国は、漁業を行うことが国家の領海を維持することであり、肉よりも魚を食することが日本の文化であることに鑑みて賛成します。
なお、昨日は福島県相馬市の松川浦漁港原釜地区で、漁業用荷さばき場の完成式典が行われました。魚介類の放射性物質を調べる検査室を新たに備えています。漁業者の設備投資が循環していくことが望まれます。
水産業においては、農林業よりも速度のある減価する通貨制度が融通できるように求めてまいります。
●中小企業等の貸倒引当金の特例(漁業協同組合等関係)
〈制度の概要〉
中小企業等(漁業協同組合等を含む。)が、各事業年度終了時において所有する金銭債権の額を基礎として貸倒引当金を繰り入れる際の限度額の算出について、過去3年間の実績に基づく貸倒実績率又は法定繰入率のどちらかの選択適用が認められ、さらに漁業協同組合等についてはそれぞれの繰入限度額の 12%割増の範囲内とすることができる。
〈要望の内容〉
漁業協同組合等の貸倒引当金の特例(繰入限度額の 12%割増)の2年延長
●中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額等の特別控除(中小企業投資促進税制) (漁業協同組合等関係)
<現行制度の概要>
(1) 対象者 : 漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
(2) 対象設備: 全ての機械・装置、特定の器具・備品及び一定のソフトウェア
(3) 特例措置: 機械等の取得価額の 30%の特別償却又は7%の税額控除の選択適用
(4) 取得価格:
機械・装置は 1 設備 160 万円以上
器具・備品は 1 設備 120 万円以上
ソフトウェアは 1 ソフトウェア 70 万円以上
(5) 生産性向上に資する設備には上乗せ措置(特別償却 30%→即時償却、税額控除7%→10%)が適用
○対象者:青色申告者である中小企業者等(①資本金または出資金の額が1億円以下の法人、②資本金または出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が 1,000 人以下の法人、③常時使用する従業員数が 1,000 人以下の個人事業主(漁業者含む)、④漁業協同組合等)
○対象設備:従来からの対象設備(要件含む)のうち、次の生産性向上に資する要件を満たす設備
設備区分 生産性向上に資する要件
・機械装置 最新モデル(NC 旋盤等ソフトウエアが組み込まれた機械は一代前モデルも含む)、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たすもの
・サーバー用電子計算機※ 最新モデル、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たすもの
・試験又は測定機器 最新モデル、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たすもの
・一定のソフトウエア※ 設備の稼働状況等の情報収集・分析・指示機能を持つもの
・生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画を作成し、投資利益率が5%以上であることについて地方経済産業局の確認を受けた投資計画に記載されたもの
※サーバー用電子計算機、ソフトウエアを複数取得して価額要件を満たす場合は、1台、1基当たりの取得価額が 30 万円以上であることが必要。
<要望の内容>
通常措置及び上乗せ措置の対象設備に器具備品と建物附属設備を追加し、適用期限を2年間延長する。
●信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置(漁業信用基金協会)
漁業信用基金協会が行う債務保証業務に係る担保の抵当権設定登記について、登録免許税の税率の軽減措置(本則4/1000→特例 1.5/1000)の適用期限の2年延長。
農林水産省の税制改正要望
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/request/maff/index.htm
その他
農林漁業用A重油に対する石油石炭税の特例措置
(石油石炭税)
農林漁業用輸入A重油に係る石油石炭税の免税措置及び農林漁業用国産A重油に係る石油石炭税相当額の還付措置の適用期限の3年延長
(現行制度の概要)
農林漁業用輸入A重油を保税地域から引き取る場合、石油石炭税(1kl 当たり2,040 円 ※地球温暖化対策のための課税の特例分を含めると、H28 年 4 月以降 2,800 円)が免除される。
また、農林漁業者が、課税済み原油等を原料として本邦において製造されたA重油を農林漁業用として購入した場合、石油石炭税額相当額(1kl 当たり2,040 円 ※地球温暖化対策のための課税の特例分を含めると、H28 年 4 月以降 2,800 円)が当該A重油の製造業者に対し還付される。
●船舶に使用する燃料についてはディーゼルエンジンによるバイオ燃料化を求めます。
平成28年度水産関係補正予算の概要 水産庁
1 「TPP関連政策大綱」の着実な実施
○ 水産業競争力強化緊急事業 255億円
① 広域浜プランの策定等に対する支援 4億円
・ 広域的な漁村地域が連携して取り組む浜の機能再編や中核的担い手の育成を目指す広域浜プランの策定、収入向上・コスト削減の実証的取組(養殖用生餌の安定供給等)を支援
② 水産業競争力強化のための機器等導入に対する支援 40億円
・ 生産性の向上、省力・省コスト化に資する漁業用機器等の導入を支援
③ 水産業競争力強化のための施設整備 61億円
・ 高鮮度化、産地市場統廃合等による競争力強化を図るための共同利用施設の新設・改築、既存施設の撤去を支援
④ 水産業競争力強化のための漁船導入に対する対策143億円
・ 広域浜プランに基づく担い手へのリース方式による漁船の導入や国際水準に見合った漁船の導入を支援
⑤ 水産業競争力強化のための金融支援 6億円
・ 漁業用機器や漁船の導入に係る借入資金の実質無利子化等を支援
2 水産業の輸出力の強化
○ 水産物輸出拡大緊急対策事業 95億円
① 水産物輸出促進のための基盤整備<一部公共>75億円
・ 今後、輸出拡大が見込まれる大規模な拠点漁港・港湾における集荷・保管・分荷・出荷等に必要な共同利用施設等の整備を支援
② HACCP対応のための施設改修等支援事業 20億円
・ 輸出先国のHACCP基準を満たすための水産加工
・流通施設の改修等を支援
(関連対策)
① 品目別輸出促進緊急対策事業費 30億円の内数
・ 輸出先国の品質・衛生条件への適合に必要な機器整備、海外でのプロモーション活動、輸出重点品目の減産防止対策や効果的な資源の増大方法の実証等を支援
② 国際的に通用する認証取得の拡大のうち、我が国発の水産エコラベル認証の取得推進 4億円の内数
・ 我が国発の水産エコラベル認証の国際標準化に向けて、その認証取得費、講習会の開催、普及指導員の育成、国内外事業者及び消費者等に向けての水産資源情報の提供体制の整備に要する経費を支援
3 水産日本の復活
① 漁業構造改革総合対策事業 34億円
・ 新しい操業・生産体制への転換を促進するため、高性能漁船の導入等による収益性向上を支援
② 水産基盤整備事業<公共> 40億円
・ 拠点漁港における衛生管理対策、資源回復のための漁場整備を推進。
③ 韓国・中国等外国漁船操業対策事業 40億円
・ 外国漁船が投棄した漁具等の回収・処分、外国漁船の操業状況の調査・監視等を支援
4 防災・減災対策の加速化
○ 漁業地域における防災・減災対策の推進
① 水産基盤整備事業<公共> 50億円
・ 漁港における地震・津波・台風等の自然災害に備え、岸壁等の耐震化、粘り強い構造を持つ防波堤等の整備を支援
② 漁港関係等災害復旧事業<公共> 45億円
・ 豪雨・台風等の被害に係る漁港等の災害復旧事業等を早期に実施
③ 漁港海岸事業<公共> 1億円
・ 海岸堤防の嵩上げや耐震対策を推進
5 熊本地震からの復旧・復興
① 強い水産業づくり交付金 3億円
・ 平成28年熊本地震により被災した水産業共同利用施設の整備又は修繕等、被災地域の主力漁獲物であるノリ生産の経営再開のための、ノリ乾燥機の点検・整備等を支援。
② 漁港関係等災害復旧事業<公共> 45億円の内数
・ 平成28年熊本地震により被災した漁港等の災害復旧事業を早期に実施。
平成28年度水産関係補正予算の概要
http://www.jfa.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/index-2.pdf