裁判所 平成29年度概算要求
裁判所の概算要求は3222億2100万円となっています。
主要経費は、
(1) 民事事件関係経費 31億8200万円
(2) 刑事事件関係経費 45億2300万円
(3) 家庭事件関係経費 64億6300万円
(4) 裁判所施設の整備 184億6300万円
民事事件関係経費のみ減額要求で4億7000万円減らしています。
裁判所施設の整備については38億5800万円の増額。
83%を占める人件費が2667億円
11%の物件費は371億円
6%の施設費は185億円
なお、総務省は、衆議院選挙に合わせて行われる、最高裁判所裁判官の国民審査の期日前投票について、衆議院選挙の期日前投票と同様に公示日の翌日からできるようにするための法律の改正案を秋の臨時国会に提出する方針です。
裁判所 平成29年度概算要求
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/H29gaisanyoukyuugaiyou.pdf
戦前の司法省というのを改めて、裁判所は行政権から完全に独立させたのが戦後の体制でありましたが、行政権は司法への政治介入を防ぐことから、司法は政治判断を尊重する。ゆえに、ときの権力の通りに司法権が動くことが問題です。
民主主義を取り入れるために以下の項目を改革のために提案します。
1.最高裁判所判事の国民審査は参議院選挙のたびごととし、必ず一名は罷免することができるとこととする。
2.高等裁判所判事についても国民審査を取り入れ、衆議院総選挙のたびごとに行い、必ず一名は罷免することができることとする。選挙区は高等裁判所の管轄ごととする。
3.地方裁判所判事についても国民審査をを取り入れ、衆議院総選挙のたびごとに行い、必ず一名は罷免することができることとする。選挙区は都道府県ごととする。
4. 裁判所情報公開と制定と市民参加
法務省 平成29年度予算 概算要求
法務省の来年度概算要求は一般会計で7731億円、東日本大震災特別会計で16億円となっています。
【一般会計】
1 大臣官房関係経費 1289億0500万円
2 日本司法支援センター関係経費 322億3900万円
3 施設整備関係経費 377億4600万円
4 法務総合研究所関係経費 28億1700万円
5 登記・戸籍等関係経費 1275億9700万円
6 検察関係経費 1091億6200万円
7 矯正関係経費 2342億7700万円
8 更生保護関係経費 274億6800万円
9 人権擁護関係経費 37億9000万円
10 訟務関係経費 19億5400万円
11 出入国管理関係経費 520億5100万円
12 公安審査委員会関係経費 6600万円
13 公安調査庁関係経費 150億2200万円
合計 7731億1200万円
【東日本大震災復興特別会計】
1 登記事務関係経費 6億4800万円
2 民事法律扶助等関係経費 7億0200万円
3 施設復旧関係経費 2億2800万円
合計 15億7800万円
以下は重点事項。
Ⅰ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた取組
1 円滑かつ厳格な出入国管理体制の整備 160億1500万円
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や観光先進国に向けて訪日外国人の増加に対応するために必要な出入国管理体制を強化。
2 治安・テロ対策の強化 34億9600万円
東京五輪開催を見据え,我が国の良好な治安を確保することができるよう,公安調査活動によるオリンピック・パラリンピック関連動向調査及びテロ関連情報収集等の治安・テロ対策を強化。
●オリンピックをやって治安の悪化が予想されるならばオリンピックなどやめてしまうべし。
Ⅱ 刑務所出所者等の再犯防止対策の推進
1 再犯防止対策の推進 136億5800万円
犯罪対策閣僚会議決定「再犯防止に向けた総合対策」(平成24年7月)及び「宣言:犯罪に戻らない,戻さない」(平成26年12月)に掲げられている対象者の特性に応じた処遇,住居の確保,就労支援等の再犯防止対策を推進。
①雇用ニーズに応じた職業訓練の拡充等及び対象者の特性に応じた矯正処遇の充実強化
35億3400万円
②刑の一部の執行猶予制度の実施及び改正更生保護法に基づく保護観察実施体制の充実
101億2400万円
●刑務所等から出所したものの,帰るべき場所がない者が約5,600人、再入受刑者の7割強は犯時無職者,無職の保護観察対象者の再犯率は,有職者の約3.3倍、在所中の就職内定件数は平成27年度で約360件(刑務所出所者は年間約2万4千人)となっており、労働力不足分野等,社会の各種ニーズに応じた職業訓練を実施するというものです。薬物事犯者の再犯率が非常に高い(5年以内に約半数が再入所)とのこと。
●薬物依存のために覚せい剤使用を繰り返してしまう人がいるように、特定の犯罪的傾向を有する人たちに対して、保護観察での指導監督の一環として、その傾向を改善するための専門的処遇プログラムが行われています。現在では、性犯罪者処遇プログラム、覚せい剤事犯者処遇プログラム(簡易薬物検出検査と組み合わせて実施)、暴力防止プログラム及び飲酒運転防止プログラムの4種があり、それぞれ心理学の専門知識によって体系化された処遇が行われています。
<司法統計年報によると>
■2014年中に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けた人・・・9,528人(100%)
■そのうち、執行猶予判決を受けた人・・・・・・・・・・・ 3,686人(38.7%)
・単純執行猶予・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3,247人
・保護観察付執行猶予・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 438人
2 矯正施設の環境整備等 377億4600万円
旧耐震基準により昭和56年以前に整備された法務省施設及び職員宿舎の建替え等の耐震対策を促進。再犯防止施策推進の土台となる矯正施設の環境整備を推進。
①矯正施設関係 265億2500万円
②法務総合庁舎関係 112億2100万円
●老朽等のため,国家公務員宿舎の削減計画で「建替」が認められた矯正施設の職員宿舎(20住宅・868戸)の整備を進める。「平成28年熊本地震」など多発する大規模震災等に備え,災害時における『防災拠点や避難所となる矯正施設を始めとする法務省施設』の耐震化等整備も行うとのことです。
●今回の熊本地震では、行刑区域とは塀で区切られた庁舎の東側にある刑務官のための道場を避難所として開放。口コミで約200人が道場を訪れた。刑務所を避難所に使ったのは全国で初めてのことだという。国家予算から捻出した「被収容者食糧費」のため、本来は囚人以外に食べさせてはならない備蓄食料も所長の判断で避難者に提供された。刑務所内には井戸があり、ガスの復旧と同時に道場内の風呂も使えた。他の避難場所で問題になっている女性のための更衣スペースも設けられている。おまけに刑務官が24時間体制で警備しているのだから安心とのこと。避難者と受刑者が接することはないし、そもそも地震の際に受刑者たちが混乱に乗じて逃げ出したという記録もない。刑務所が避難所として開放されるか否かは各刑務所所長の判断による。
Ⅲ 経済再生の加速化及び震災復興の推進
地図整備体制の強化及び相続登記の促進 51億5400万円
従来型,大都市型及び復興型登記所備付地図作成作業の推進、相続登記の促進に向けた制度の創設等の実施。
①登記所備付地図整備事業の推進 40億円
②相続登記の促進 11億5300万円
●麻生太郎副総理がかねてより発言している不動産の流通促進の政策と思われます。不動産ストックのフロー化による投資の促進,地域経済の好循環を図るために、地籍整備や登記所備付地図の整備等を含む情報基盤の充実等を行う。(また,空き家の活用や都市開発等の円滑化のため,)土地・建物の相続登記を促進する。
Ⅳ 法の支配を実現するその他の諸施策の推進
1 検察活動の充実強化 15億2900万円
【新規】取調べの録音・録画装置等の整備 11億8500万円
捜査・公判に必要な人的・物的基盤を確保することにより検察活動を充実・強化。
サイバー犯罪、組織犯罪対策、密輸対策、新人取引対策、児童の性的搾取、児童虐待、ストーカー、配偶者暴力、性犯罪、特殊詐欺等への対策。
2 2020年国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の日本開催に向けた事前準備の推進 1億3300万円
日本型司法制度の強み等を重要なソフトパワーとし,コングレス2020に向けて,「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を世界に普及させるための司法分野における多種多様な国際的取組を,総合的・戦略的に推進する
●コングレスは,5年に一度開催される犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議です。日本では1970年に京都でこのコングレスを開催していますが、次回は2020年のオリンピック開催年に日本でコングレスが開催されることとなっています。
3 ISDSを始めとする国際紛争への対応を含む予防司法機能の強化等 19億5400万円
【新規】国際紛争への対応を含む予防司法機能の強化 1億1700万円
法の支配の理念の下,ISDS(投資家と国との間の紛争解決)を始めとする国際紛争への対応を含む予防司法機能の強化等
●ISDSとは,「投資家と国の間の紛争解決(Investor-State Dispute Settlement)」の略称です。二国間又は多国間の投資協定及び投資章を含む経済連携協定(EPA)などの投資協定において規定される手続で、投資家と投資受入国との間で投資紛争が起きた場合,投資家が当該投資紛争について国際仲裁を通じて解決するものです。
仲裁裁判所は,投資受入国の協定違反及び投資家の損害を認めた場合,損害賠償の支払を命じることとなっており、これらの対応を含予防司法のための予算となっています。
4 法制度整備支援によるビジネス環境整備の促進 1億5300万円
主にASEAN諸国を始めとする開発途上国の持続的成長を実現するために不可欠な法的基盤作りを支援するとともに,法の支配を定着させるため,法制度整備支援を推進。
5 共生社会の実現に向けた人権擁護施策の推進 37億9000万円
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として,「人種,障害の有無など違いを理解し,自然に受け入れ,互いに認め合う共生社会(ユニバーサル社会)」を実現するための総合的な人権擁護施策を推進。
①ヘイトスピーチを含む外国人の人権問題対策の推進 1億4600万円
②LGBT(性的少数者)の人権問題対策の推進 3000万円
③障害者の人権問題対策の推進 6800万円
6 頼りがいのある司法の確保のための総合法律支援の充実強化 322億3900万円
国選弁護等関連業務,民事法律扶助業務等(総合法律支援法の改正を含む。)の総合法律支援を充実強化。
【新規】総合法律支援法の改正に伴う態勢整備 3100万円
●以上、オリンピックで生じるものも含めて賛同します。
法務省 平成29年度予算 概算要求
http://www.moj.go.jp/content/001202190.pdf
法務省 平成28年度二次補正予算案
http://www.moj.go.jp/content/001201798.pdf
Ⅰ 災害復旧・災害対応の強化 194億9600万円
・ 法務省施設の防災・減災対策の強化
法務省施設の耐震化のための建替え,改修等による防災・減災対策強化
矯正施設等の環境整備による防災拠点・避難所としての機能強化
Ⅱ 円滑かつ厳格な出入国管理体制の整備 4,0億9800万円
・ 観光先進国に向けた出入国審査体制の強化
上陸審査場における個人識別情報の取得迅速化 16億3600万円
空海港における出入国審査体制の整備 12億7900万円
テロ対策強化のための偽変造文書鑑識機器の整備等 11億8300万円
Ⅲ 安全・安心な社会の実現 24億5100万円
・ 治安確保に向けたテロ・保安対策等の強化
矯正施設における保安警備体制の強化 16億8000万円
テロ関連情報の収集・分析体制の充実 3億6800万円
サイバー攻撃に対応可能なサイバーセキュリティの確保等 4億0300万円
総 額 260億4500万円