アラ琵琶ンナイト。
世の中が東日本大震災の復興支援に動き出した頃、
地域活動の方の仲介で、
とある不動堂で平家琵琶の奉納演奏をさせて頂けることになりました。
平家琵琶にはチャリティー興行である「勧進平家」なるものがあります。
その不動堂でも義援金を募っていたことから、
このときは「勧進平家」であることを謳い、
地域活動の皆様にも募金を呼びかけました。
護摩祈祷もしていただけるということで、
「御礼」の札をお願いしました。
寺社にお参りしたり、ましてや奉納演奏させていただけるときは、
神仏のお導きがないと叶わないからです。
その時期は、不動堂の改修工事中だったのですが、
「勧進平家」のあいだは工事を中断してくださいました。
近隣の信者の方もお参りに見えるので、
「勧進平家」は地域活動の方に限定せず、
一般の方にも聴いていただけるようにしました。
さて。準備が始まり、一般の方も入って見えました。
会場の空気がザワザワした気がしました。
魑魅魍魎の類が紛れて入ってきたのかもしれません。
私は奉納演奏の直前で、楽器と譜本を確認し、
心の中でお不動様にご挨拶を申し上げていました。
突然、ギャーーーーーーッツ! という叫び声をあげて、
次の瞬間、「その方」が外へ飛び出していかれました。
断末魔の叫び声とは、このことを言うのか、と思うような叫び声でした。
どうやら、椅子を追加して並べ替えていたところ、
「その方」の足に椅子が当たったらしいのですが、
足に痛みを抱えた人間が立ち去るスピードではなく、
驚いたケモノが逃げるスピードだったのです。
うわ……
お不動様、この場に不相応な魑魅魍魎を追い出したのか!
ただただお不動様への感謝をこめて、奉納演奏いたしました。
お札を「御礼」にしておいてよかったです。