Shakespeare Live! From the RSC | First Chance to See...

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 シェイクスピアの誕生日と逝去400年を祝して行われた、「Shakespeare Live! From the RSC」。司会はデイヴィッド・テナントとキャサリン・テイトで、ジュディ・デンチやイアン・マッケランやヘレン・ミレンといった超大御所をはじめ、ベネディクト・カンバーバッチ、ローリー・キニアといった今をときめく人気スターが顔を揃えた——そして勿論、私のご贔屓、ロジャー・アラムも!

 シェイクスピアが与えた文化的影響力の大きさを伝える、という意味で、このイベントでは演劇だけでなく音楽やダンスも混ざっている。オープニングは「ウエストサイド物語」だし、ケネス・マクミラン振付のバレエ「ロミオとジュリエット」のバルコニーのシーンも披露された。

 このイベントの一番の目玉は、「ハムレット」の「To be, or not to be」をめぐるスケッチだろう。次から次へと有名俳優たちが出てきて、"To be, or not to be/That is the question"のどこにアクセントを置くかをめぐり、ああでもないこうでもないと揉めまくる。そして最後はまさかのリアル・プリンス登場。シェイクスピアなのに英語があまり分からなくても十分楽しめるという、何ともありがたいスケッチであった。


ハムレットのスケッチ


 が、しかし。私にとってこの番組の白眉が、ロジャー・アラムのリア王、第3幕第2場の独白シーンだったのは言うまでもないっ!

ロジャー・アラムのリア王

 ロジャー・アラムがこのイベントに参加すると知ってからというもの、一体何をやるんだろうとドキドキしていたが、やっぱりリア王でしたか。実はこのシーン、先にガーディアンのウェブサイト で公開された、有名俳優によるシェイクスピアの独白名場面集Shakespeare Soloの中でも演じてて、もうね、近々彼がリア王をやるのは確定事項であり、あとはどのプロダクションになるかという問題だけのような気がする。

 あ、念のために言っておくと、同じシーンの同じ台詞でありながら、舞台で行われた「Shakespeare Live!」と顔のアップ撮影のみの「Shakespeare Solo」とでは、演じ方も間の取り方もびっくりするくらい違う。いいなあ、いいなあ、これだからこの俳優からは目が離せない。シェイクスピアの英語なんてロクに分からない私が言うのもなんだが、今回の"A poor, infirm, weak, and despis'd old man."という台詞の言い回しには、心底感服いたしましたとも!

 その他に「Shakespeare Live!」でおもしろかったのは、ローリー・キニアのマクベスかな。王を殺した直後、もう二度と安らかに眠ることはできないとマクベス夫人に語る有名なシーン。

ローリー・キニアのマクベス

 空恐ろしいまでのもっともらしさ。この人の芝居を見ていると、その役柄ごとに「うーむ、やっぱりローリー・キニアはイアーゴで決まりでしょ」とか、「うーむ、やっぱりローリー・キニアはハムレットで決まりでしょ」と思う。そして今回もまんまと「うーむ、ローリー・キニアはマクベスで決まりでしょ」と思ってしまった。ロジャー・アラムのリア王と同様に、彼が近々マクベスをやるのもほぼ確定ということでいいのかな (私が知らないだけで既にやってたらごめんなさい)。

 あと、アントニー・シャーがフォルスタッフを務める「ヘンリー四世」の一場面が上演され、アントニー・シャーのシェイクスピア芝居を見るのが初めてな私は思わず「おおっ!」と思ったが——やはりかわいさではロジャー・アラムのフォルスタッフ の圧勝だわね。っていうか、「かわいいフォルスタッフ」なんてものが、そもそも特例なのかしら?