First Chance to See...

エコ生活、まずは最初の一歩から。


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 『時間のなかの子供』は、イアン・マキューアンが1987年に発表した小説で、日本語訳は1995年に中央公論社から出ている。それを私が今になって突然読み出したのは、勿論、ベネディクト・カンバーバッチが自身のプロダクションの第1作として『時間のなかの子供』を映画化/主演するという情報が流れたからであり、私に限らず日本でも多くのコレクティヴたちがこの本を求めて図書館に駆け込んだにちがいない(とっくに絶版なので、書店では買いたくても買えません)。

 

 

 主人公スティーヴンは有名な児童小説者だが、近所のスーパーマーケットで当時3歳だった娘を見失うという悲劇に見舞われた。その事件がきっかけで妻とは別居状態、政府から任命された児童教育委員会の小委員会にはたいしてやる気もないまま出席しているものの、小さい子供を見かけては失われた娘の現在の姿を想像する毎日だ。タイトルになっている「時間のなかの子供」とは、スティーヴンのいなくなった娘のことだけでなく、大人の中にも時間を超えて巣食っている子供のことを意味していたりもする。

 

 何しろこの本を手に取ったきっかけがきっかけなだけに、このシーンをどんな風に脚色し演出するのだろうとあれこれ楽しく妄想しながら読み進めたが、個人的に「ベネディクト・カンバーバッチ主演で実写化するならここだけは是非!」と思ったシーンは以下の通り(どうしてもネタバレっぽくなるから、この小説をまだ読んでない人は要注意)。

 

 

 いいですか? いきますよ??

 

 

 

・友人チャールズ宅を訪問した際に、大の大人二人で木登りするシーン。スティーヴンは高いところは苦手だが、断るに断れず恐怖やパニックと戦いながら登る羽目に。へっぴり腰で必死に木に登るベネディクトだぞ、「Cabin Pressure」ファンなら絶対に実写で見たいよね?

 

・自宅でたった一人、生きていれば6歳の誕生日を迎えることになる娘のために買ったおもちゃのトランシーバーで、「バリトンのしゃがれ声で「ハッピー・バースデー」の歌を歌い」(p. 173)始めるシーン。木登りのへっぴり腰はともかく、このシーンは絶対に採用されるでしょ、されるに決まっている!

 

・駅のプラットフォームで、隣のパブで買った「リンゴを食べながら」(p. 261)立って列車を待っているシーン。単純にそういう「立ち姿」が見たい、ということあるが、「Cabin Pressure」ファンとしては食べる前に1、2回リンゴでジャグリングしてくれたら申し分なし。

 

・雪が降り積もる森の中、スティーヴンがチャールズの遺体を運ぶためどうにかこうにか肩にかつぎあげたところで「背中のほう、チャールズの頭が当たっている腰のあたりから、「O(オウ)」の文字をささやくような長い落胆の溜息が聞こえてきた。スティーヴンは鋭く悲鳴を上げ、空き地を横へと飛んで逃げ、その際チャールズを雪のなかに落としてしまった」(p. 270)。無駄に映画の尺を費やすことになるのは承知の上で、でもここはやはり一度チャールズを落としてほしい。

 

・終盤、雪の中を妻が暮らしている家に向かって全力疾走するシーンは、これまた無駄に映画の尺を費やすことになって構わないから、がっつり走っていただきたい!

 

 勿論、この他にも「美味しい」シーンはいろいろあるが、私が特におねだりしたいのは以上の5点。どうかよろしく。

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 アカデミー賞授賞式直前の公開、ということで、何が何でもこの週末に観るしかないでしょ、『ラ・ラ・ランド』!

 

 ということで、本日、混雑覚悟で行ってまいりました——それも、どうせ観るならと、川崎チネチッタの「LIVE ZOUND」上映で。

 

 

 結論から言えば、スクリーンサイズより音響を選んで観て大正解。近頃のシネコンはどこも音響がちゃんとしているからそんなに大差ないかな、少なくとも私の耳では違いが聞き分けられないかもな、という気もしたけど、実際に体感してみるとわざわざ「映画音響革命」と謳っているだけのことはあったと思う。エンドクレジットも、あの音楽だけで気分が盛り上がること盛り上がること。しかも、「LIVE ZOUND」上映でも料金は一般上映と全く同じというからありがたい。「DOLBY ATOMS」というだけで追加料金を課すTOHOシネマズとはえらい違いだ(おっと、思わず本音が)。

 

 さて、日本時間で明後日の午前から発表されるアカデミー賞受賞式で、『ラ・ラ・ランド』はいくつの賞を取れるでしょうか。大本命とは言え、結果は封を切ってみるまで分からない。こういうちょっと凝って捻ったミュージカル映画が大ヒットして、かつ、アカデミー作品賞を取ったらいいな、と私も思うけど、ただものすごーーく正直な感想を言うと、映画全体が「LAあるある」に満ちている分、一度もLAに行ったことない/LAカルチャーに強い憧れを抱いてもいない私には体感しづらかったのと、もともと音楽全般に関心が薄いせいで主人公が語るジャズ論に「うざっっっ」と思ってしまった(ジャズが好きな人、ごめんなさい!)のとで、「おもしろいし良く出来ているのは認めるが、私の趣味のド真ん中とは言えないな」。

 

追伸/映画の予告映像として、あのシーンを使うのはまずいと思う。誰か止めてくれればよかったのに。

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 ナショナル・シアター・ライヴやブラナー・シアター・ライヴに続き、ロンドンのアルメイダ劇場も舞台作品の映像配信を開始した。その第一弾がレイフ・ファインズ主演の「リチャード三世」で、イギリスでは、昨年6月から8月にかけて上演された舞台が、7月にスクリーン上映されている。
 

 「リチャード三世」は、シェイクスピア作品の中でもかなりの人気演目だ。ベネディクト・カンバーバッチがリチャードを演じた「ホロウ・クラウン」第2シリーズがBBCで放送されたのも昨年5月のことで、正直、「え、また?」という気がしなくもない。そりゃ、レイフ・ファインズ主演の舞台を日本語字幕付きで観られるというからには、逃す手はないとは思うけどね。ストーリーも主要登場人物もだいたい頭に入ってるから、予習する必要もないし。

 という訳で、「ひょっとしたら途中で眠くなるかも?」とか思いながら映画館に足を運んだのだが、なんてことだ、フタを開けてみたら退屈どころかめちゃくちゃおもしろかった。「リチャード三世」がこんなに現代社会とフィットするとは思わなかった、というより、リチャードが自分の都合のいいように事実を捻じ曲げ、嘘と真実の違いが意味をなさない世界を築き上げようとする辺り、もはや呑気におもしろがっていられない気分にさえなってくる。

 先に書いた通り、この舞台はイギリスでは昨年夏に上演/上映され、当時はまだトランプ大統領は誕生していなかった。"post truth"も"alternative facts"も、ここまで大手を振っていなかった、はず。たまたま日本に入ってきたのが約半年遅れだったせいで、この舞台は現実味がありすぎてシャレにならないものとなったが、見方を変えると、素晴らしく先見性のある演出と演技だった、とも言える。

 では、ここからは観てて気になったことを箇条書きしていきます。演出のネタバレになるので、ネタバレを避けたい人はご注意を。




 いいですか? いきますよ??






・冒頭、演出家のルパート・グールドへのインタビューがあり、2015年にリチャード三世の遺骨がレスターの駐車場の地下から発見されたことを踏まえて、今回の舞台ではその遺骨の発掘シーンから始めることにした——って、おいおい、演出家みずからこれから始まる舞台演出のネタバレをしてどうするの、と思ったけど、それはさておきこの演出はとっても良かった。

・レイフ・ファインズのリチャードは、時折ひどく卑しい表情を見せる。道化じみた、という言葉も浮かんだけど、道化っぽい大仰な振る舞いはなし。素顔はあんなに美しいのにねえ。今回の舞台ではまったくそう見えないから、役者って凄い。

・この何とも卑しい表情ゆえに、先に見たベネディクト・カンバーバッチのリチャードが「ひとでなし」なら、レイフ・ファインズのリチャードは「人間のクズ」という感じがした。あくまで私の印象だけど。

・さて、この「人間のクズ」がアンをくどくシーンは、いやはや何ともおぞましくてすごいことになっていた。なぜか私は突然「これって江戸川乱歩じゃん!」って思ったんだけど、江戸川乱歩をたいして読んでないのでそう思った根拠は曖昧。ただの勘違いかも。あとこのシーン、暗くてよく見えなかったけど、リチャードは"pussy grabber"になってませんでした? それともこれも私の勘違いかしら??

・同様に、「人間のクズ」が後半で兄嫁であるエリザベスに「アンが死んだらお前の娘と結婚したい」と言い出すシーンも、あまりのクズっぷりに呆然。これまでにもああいう演出とか解釈はあったのかしら? ともあれ、エリザベスがリチャードの提案にイエスと答える不自然さは軽減したとは思う。

・話は戻るけど、リチャードがロンドン塔に暗殺者二人を送って兄クラレンス公を殺害するシーンでは、画面が暗いのとカット割のせいでイマイチ殺害方法がよくわからなかった。今回の演出では、クラレンス公の口にホースを突っ込んで水を大量に飲ませて殺した、ってことで合ってます? 

・王子二人を殺害される前、戴冠式の日取りを決める会議の場でヘイスティングスがはめられるシーンでは、リチャードの突然のキレ方が凄まじかっただけに、逆にカメラがレイフ・ファインズの顔をクローズアップしすぎかなとも思った。このシーンに限らす、もう少しクローズアップを減らして舞台全体を映してほしかったな。アルメイダ劇場の舞台って、そんなに広くなさそうだし。

・後半、「リチャード三世」に混じって「ヘンリー六世 第三部」のセリフが出てきてびっくりした。"I have no brother, I am not like my brother."——「ホロウ・クラウン」第2シリーズ第2話のラスト、ベネディクト・カンバーバッチが語ってたのがものすごいインパクトだったからたまたま覚えていただけけど、この手の借用って他にもあったんだろうか。正直、「ハムレット」とか「ロミオとジュリエット」からの借用があったとしても、全く気づかない自信があるぞ。

・最後の幕切れも良かった! 過去の物語が見事に現代に繋がった、っていうか、さっきも書いた通り、2017年の今となっては繋がりすぎててシャレになってませんってば(涙)。
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