伝えなければいけないこと | teardrop

伝えなければいけないこと

こちらは、LODA(Love Dog Arts)の許斐さんのBlogから
ご本人に許可を頂き転記させてもらうことにしました

◆LODA(Love Dog Arts)展

殺処分を受ける犬について考えることから、広く命のあり方について訴える
アートエキシビジョン
今年4月何かに導かれるようにこの企画が始まった。

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この展覧会をやると皆で決意したとき、処分を受ける犬や猫の現状を
知らなければいけないと熊本県動物管理センターに参加作家7人と
テレビタミン(熊本県民TV)の取材スタッフ
それに写真家森賢一(グラフ)のスタッフなどで集まった。

県の職員の案内を受け施設の中に重たい足を引きずって入っていった 。


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入り口に近づくと県内から集められた犬と猫が檻の中に閉じ込められていた。

「絶対行かない」と言ってた松永壮くんも「GAJU」の一言で一応来ていた。
「来れるところまで来たらどですか?」
来ないだろうと皆で言っていたけど、松永くんは入り口付近まで来ていた。
が立ち止まり入ろうとはしない。

ほかのメンバーは殺処分される犬に近づき、涙を流しながら最後の餌をあげて
別れを惜しんだ。

入り口を見るとTVの取材のインタビューに答えながら泣きじゃくっている松永壮がいた。
彼は死んだ愛犬{ブルー}のことを
「俺はいつ死んでもヨカ。死んだらブルーに逢えるケン」
そんなことをきっとしゃべりながら泣いていたんだろう。

野犬の仔犬や成犬や老犬そして首輪のついた立派な犬が17匹いた。
猫も8匹、狭い檻の中に閉じ込められ、恨めしい目で暗闇の中からこちらを見ていた。

僕はこの長く見つめあう猫の視線が一番辛かったし、ショックだった。

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この子らの何の罪もない命は我々が立ち去った1時間後に一酸化炭素ガスで処分された。


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それから二日後に焼却され、ごみ置き場に捨てられた。


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僕はこの中の一匹の命を救うことができない空しさを感じ、多くの人にこの現実を
伝えないといけないと決意を新たにしたのだった。

そして君たちの死を絶対に無駄にしないからと正門の前の慰霊碑に僕は誓ったのだ。

どんよりとした暗い雲に突き刺さる煙突を見ながら僕はぼんやりと空を眺めていた。

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皆で誓い合った。
「こんな悲しい施設が無くなるまで僕らはメッセージを送ろう」と。


僕は車の中で考えた。

僕はヤキモノヤ。おチャらけた動物のオブジェは得意だった。
そんなもんでこんな辛く、悲しい現実を伝える作品は思いつかなかったし
時間もなかった 結局僕は写真を選んだ。

仲間は僕が何で陶芸で作品をつくらないのか不思議に思っていた。
僕にはリアルさが必要だった。

カメラを持っていなかったので知人から一眼レフを借りて不慣れな写真を撮った。
一週間に2度焼却処分されると知っていたので、そう決意した僕は7度処分所に通った。

みんなは僕の体調を心配した。僕は必死だった。


帰り道。

車の前に風で飛ばされた白い犬が目の前に飛んできた。急ブレーキを踏んだ。
買い物袋のビニールだった。

曲がりくねった山道を車で走っていた。こげ茶色の犬が横たわっていた。
慌ててハンドルをきった。振り返ると朽ちかけた木の破片だった。

部屋で一人ビールを飲んでいた。こぼれたピーナッツ拾おうとした。
木造の床に猫の目がたくさん並んでいた。ただの木の節だった。

そんなことを仲間のコーダーちゃん話した。「無理をしないでね。」
「私、1週間食事がのどを通らなかったことがある」と気遣ってくれた。

それでも僕は必死だった。

毎回、毎回違う犬や猫が運ばれ同じようで違う悲しい光景が繰り返される。
職員は淡々とただ淡々といつもの仕事をする。

僕は涙を流しながらシャッターをきる。
僕はいったい何度シャッターをきったのだろうか。


◆参加作家

村上美香(アナウンサー)・森賢一(写真家)・松永壮(グラフィックデザイナー)
コーダ・ヨーコ(イラストレーター)・許斐良助(陶芸家)
中川哲子(デザイナー)・gaju(造形作家)


・・・・・明日火曜日は、天草保健所 の保護期限です
何頭の犬や猫が熊本県動物管理センターに運ばれるかわかりません
上記の事は日々行われれいる現実です。

そしてボランティアの方々は、極限の精神状態で命の大切さを伝えようとされています
私たちも現実を見つめ直さなければいけません。