カルシウムの原料についての悩み・・・ | 知的けんこう生活 ~サプリメントメーカーの日記帳

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(井)がドロマイトのことを書いてくれていますが、サプリメントを設計するに当たって、カルシウムは頭痛の種です。



それは、カルシウムが

1.1日当たりの必要摂取量が多く

2.原材料に含まれる含有率が低く

3.吸収率が悪い

という、3重に大変な栄養素だからです。

まぁ、良い量のカルシウムを入れたね。と言うには、1日当たり500mgぐらい入れたいのですが、カルシウムの含有率が高いドロマイトでも20%程度しかないので、500mgのカルシウムを摂取して頂くには、2500mgの原料が必要になります。これは、通常の大きさの1号カプセルにして7個から8個位を要する量です。



カルシウムだけで、これだけの量になってしまうと、他の栄養素も加えようとしたら、それこそ大変な量になり、ドクターや患者さんからクレームの嵐になるのは見え見えです。



そこで、マルチビタミン&ミネラルの様に、いろいろな栄養素をまとめて取って頂くサプリメントの場合は、不本意ながら100mgとか、150mg位のカルシウム量で設計せざるを得なくなるわけです。

よく、小さなサイズなのに「カルシウム500mg入り!」なんて書いてあるサプリメントは、「元素としてのカルシウムの量」では無くて、「カルシウムを含む原料の総重量」を記載している、虚偽表示の悪質なサプリメントです。

真面目に、カルシウムをお客さんに摂取してもらおうとしたら、本当に大変なんだから・・・。

さらに、ドロマイトの中のカルシウムは「炭酸カルシウム」という形で含まれているのですが、この炭酸カルシウムは吸収があまり良くありません・・・。 

特に胃酸の弱い方には、ハードルが高い素材です。



他に、クエン酸カルシウムなど、もうちょっと吸収が良い素材もあるにはあるのですが、こいつは含有率が低くて、カルシウム自体の量が少なくなってしまう上に、ドロマイトと違ってマグネシウムを含んでいないので、別途マグネシウム加えてやる必要があるために、さらにサプリメントとしての量が増えてしまいます・・・。

(田)が知っている限り、最も吸収が良いカルシウムの素材は「酢酸カルシウム」です。酢酸カルシウムは、水に溶ける珍しいカルシウム化合物で、胃酸の弱い方でもかなり吸収されると考えられます。(炭酸カルシウムやクエン酸カルシウムは、酸性の溶液には溶けるのですが、水には溶けないのです)


(田)としては、是非、酢酸カルシウムでサプリメントを作りたいのですが、この素材は添加物扱いで、ほんのちょっとの量しか使うことが許されないため、意味のある量を配合することが出来ません。

量を増やそうとすれば溶けにくい素材しか使えず、吸収の良い素材は少しの量しか使えない・・・。本当にカルシウムは困ったちゃんなのです。



悩んだ末に、ヘルシーパスではどうしているかと言うと、重金属汚染の無いドロマイトを厳選した後、カルシウムの吸収を高めてくれるクエン酸を同じカプセルに入れ、炭酸カルシウムの吸収性の悪さをサポートさせています。(地元静岡県立大の研究で、カルシウムはクエン酸と一緒に摂ると吸収率が向上することが分かっています)



以上、サプリメント苦労話カルシウム編でした。

もしも、このブログを呼んだ素材メーカーの方で、良いカルシウムの素材をお持ちの方がおいででしたら、是非教えてください!

(田)