体調を崩した。。。と人に話すと、「ああ、季節の変わり目だからねえ」と言われる。


ちょっと待て、なぜ季節の変わり目には体調を崩しやすいのか?

人間には、外の環境がどれだけ変わっても、体内の環境を一定に保つ仕組みがある。体温が最も分かりやすい例。冬でも夏でも、人間の体は一定の体温(36度前後)に保たれている。これは考えてみるとちょっとすごい。

ではどうやって体温は一定に保たれているか。例えば、「寒い」と感じたとき、まず皮膚からの「寒い」という感覚が、脳に送られる。次に、脳から、ホルモンや自律神経を介し、全身の器官に体温を保つ指令が出される。すると、皮膚では血管が収縮して熱を逃がさないようになり、体内に蓄えられた糖質や脂肪を燃やして熱を作る。こうして体温が上昇し、寒くなくなったらその温度が一定に保たれるよう、再び指令が出される。体温1つとっても、かなり複雑な仕組みが働いているわけだ。

これらの仕組みは、心臓がずっと動き続けるのと同じように、人間の無意識下で起こる。いちいち自分で意識して行っていたら、とてもじゃないがやってられないからだ。

季節の変わり目で風邪を引きやすいのは、外の環境が大きく変化する時期であるため、自律神経の中枢である視床下部が対応しきれなくなり、自律神経やホルモンなどにすべて影響を及ぼして、ひいては抵抗力や免疫力が弱まって風邪を引いてしまうわけだ。それはちょうど、社員が入れ替わる4月の時期に、社内で様々な問題が発生するのに似ている。

またそれ以外でも、体調を崩す要因となるのが、夏(冬)にたまった疲れ。食欲不振、強い紫外線、乾燥、代謝の悪さによる影響など、夏(冬)にかかった様々なストレスが、ちょうどこの時期にどっと出てくることがあるのだ。それはちょうど、筋トレをして2日後くらいに筋肉痛になるのに似ている。夏(冬)の疲れは、「なんとなく体がだるい」という以外でも、肌荒れや抜け毛など、もっと分かりやすい現象として現れることもある。

では、季節の変わり目で体調を崩さないためにはどうすれば良いか?

最も簡単かつ大事なのは、自律神経の働きを意識的にサポートしてあげることだろう。

少し寒いと思ったときにすぐに体を温められるよう、上着を鞄にしまっておくなど、体へのちょっとした気遣いが大事だ。

家の中での対策としては、こまめにほこりを取り除く事と、刺激性の強い香辛料を控えると良い。

あまり神経質になる必要は無いが、咳がひどい、眠れない、吐き気がある、といった場合は医師の診断を受けたほうがよい。

とはいえ、最も大事なのは、普段から体内の自律神経の働きを意識的に高めておくことだろう。

エアコンで暑い夏(寒い冬)を乗り切ってきた人は、暑いとき(寒いとき)に体温を下げる(上げる)ような自律神経の働きが十分に行われていない可能性がある。このような場合、寒い(暑い)と感じたときにも、うまく体温を上げることができない。

これがひどくなると、いわゆる自律神経失調症に陥ってしまう。

暑かったり寒かったり、少し不快に感じるときにも、ちょっとだけ我慢をすることが、長い目で見ると健康的に過ごせる秘訣になるわけだ。


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