計画停電と東京電力の嘘 | 2012年未来への旅(タコ君編)

計画停電と東京電力の嘘

今日は良い天気です。

これなら暖房需要が少なくてすみますから、電力的にも良いですね。

どうせなら体を動かして、自分の中から発電(発熱)したほうが健康的ですね。

この天気の良さが被災地でもと思うのですが、どうなのでしょうか?

皆さんが寒さで震えてない事を祈るばかりです。


先日の記事、「電力と需要のバランス」 ですが、この話題については、あれでおしまいにしようと思っていたのですが、一応、理系の末席にいたものとして、少し調べてみたら簡単に東京電力の資料が見つかりました。


これは東京電力のHPから誰でも見ることが出来るので、ぜひ見てみて下さい。

東京電力企業情報

上記のリンクで行った先の「数表でみる東京電力 (2010年7月)」と「東京電力グループ 中長期成長宣言 2020ビジョン 」 は必見です。


いかに東電が原子力を止めたくないかが、よく分かります。

それこそ、もし止めてしまうと、東電の存在意義というか、東電の中長期計画が全て吹っ飛んでしまい、どうしようもなくなってしまいます。


恐らく、その可能性が急速に高まってしまった為、東電の首脳も思考停止に陥ってしまったのでしょう。

そして、私はそれを覆い隠す為に無理してでも計画停電の必要性を喧伝しているのだと思っています。


事実、福島原発があのような事態になっているにも関わらず、現時点でも東電の首脳は、福島原発の廃炉にする可能性すら検討に入っていないと、昨日、東電常務自らが会見で語っていました。


先にあげた資料を見ると東電の発電能力は、実に6449万kwもありました。

その内、今回停止している福島第一原発は、1号から4号を足しても281.2万kwです。

そして、前の記事の資料(この資料は今は東電のHPからは見ることが出来なくなっていますし、私のブログのリンクからも見られないようです。直接URLをクリックしてください)の中であったように3月14日時点での実績電力は、2800万kwしか使われていませんでした。


地震で停止していた火力発電所もありますし、メンテナンスや原発への移行で停止している火力発電所もありますが、それでも地震前に東電が予想していた需要電力は4700万kwだと東電自体が認めています。


つまり福島第一原発を除く電力供給能力、4000万kw以上を今、尚持っているのです。

今、暖房需要が必要だとは言っても真冬ではありません。

みんなで節電すればいくらでも需要は減らすことが出来ます。


東電は、計画停電をしないと大規模停電になるといいます。

これは事実です。


少し専門的になりますが、出来るだけ簡単に端折って書きます。


発電能力に対して、需要電力が上回った場合、受電端で電圧降下がおこります。

家庭であれば、100Vで供給されるべきところが90Vになってしまうようなものです。


この場合、単に負荷側の機器が使えなくなってしまうだけならいいのですが、送電回路に多大な電流が流れてしまう場合があります。


この多大な電流は送電回路を破壊しようとしますので、安全装置が働いて、停電となってしまうのです。


単純に安全装置が働いてスイッチが切れたのであれば、そのスイッチを入れなおせばという感じがしますが、そうは簡単にはいきません。


送電網はとても複雑になっており、特に事故点が分からないと、スイッチを入れなおしてもまたすぐ安全装置が働いてしまうのです。


また、送電回路の大元だけであれば常時監視員がいて、遠隔で復旧作業が行えますが、送電網は広範囲に広がっており、それぞれその箇所に人が行って、順番を正しく復旧作業しなければ送電を回復する事は出来ません。


ですので、東京で大規模停電が起こった場合、その復旧作業の時間はとても長時間となり、私の想像では半日では復旧できないと思います。


また、今回の計画停電に23区の中央部は入っていません。

これは、東京の場合、首都機能があるということだけで計画停電にいれないのではなく、首都機能があるがために、送電網が周辺地域とは異なっています。


首都中心の変電設備は、全て地下深くに設置されています。

これはテロ対策だけでなく、地震や雷などの天災対策を考えられて作られています。

ただ、これだけでは万全の停電対策ではありません。


そこで送電網として、ループ配線という送電網になっています。

簡単に言うとこの配線方式は、ほぼ絶対に停電しません。

むしろ停電させることの方が難しい送電網となっています。


その為、万が一、停電させてしまった場合、周辺地域と違って、その復旧は1日では済まないほど時間がかかる事が予想されています。


今まで、私が書いた事は、電気の事、送配電の事を少しでも知っている理系の人間であれば、理解できる事だと思います。

でも、このことをマスコミは一切放送しません。


先の東電の資料にもあるように、平成19年以降の不況の影響で、企業の電力消費は減少の一途を辿っています。


でも東電の事業計画では、今年は電力使用が増えるとしています。


これは彼らからすると電気を使ってもらわないと困るのです。


これは単に儲けたいというだけではありません。


東電は、今、電力供給元を原子力にシフトしています。

原子力は、他の発電に比べて、供給量のコントロールが大変難しい発電方式です。

火力であれば、ボイラーやエンジンを停止するなり、出力を絞れば調整できます。


しかし、今回の福島原発の事故後の状態を見ても分かるように、原子力は停止していても常に核反応は起こり、完全に止める事が出来ません。


つまり、ある程度一定に動き続ける発電方式なのです。

常に一定状態で発電し続けるということは、負荷側も常に一定に電気を消費し続けてくれないと困るのです。


だから、彼ら(東電)は、オール電化に拘っているのです。

そして企業側の電力需要は、今後、どんどん減り続けていくことが予想されているので、一般家庭の電力消費を減らされては困るのです。


こういったまやかしとも思える事が、今の電力業界であり、原子力行政なのです。


追記です。

今回、福島原発停止を受けての計画停電に私が違和感を覚えたのは、他にもあります。

新潟中越地震で、新潟にある柏崎刈羽原発のことです。

ここは、総出力が800万kw以上(但し一部電力を東北電力に送電)もあり、福島なんかより断然高出力の発電所です。


でも、ここが停止した時、計画停電が必要でしたでしょうか?


確かにここはまだ全てが復旧したわけではありませんが、すでに7機中4機が可動状態になっており、通常時のメンテナンスで止めることを考えれば、ほぼ平時の状態に戻っていると言ってもいい状態です。


しかし、今回、福島の場合は、チェルノブイリやスリーマイルと同様の状態となっており、始めて復旧不可能と思える事態が分かった途端での計画停電の発表です。


これを作為があると思わないでなんだというのでしょう。


もし、この私の論理が支離滅裂だとか、反原発の共産思想だとか思われる方がいたら、分かりやすく論理的に説明して頂きたいと思っています。


追記及び訂正(3/20 9:30加筆)
停止している発電量として、福島第一原発281.2万kw分のみについて、書いていましたが、停止しているのは福島第二原発440万kw分もありました。
でもそれを入れても東電の総発電量は、東電の需要予想電力を上回っていますし、もちろん実際の需要電力を上回っています。