おはようございます。本日、1つめのコメントへの返信です。


今回のコメントの返信内容については、お子さんの「実際はどうであるか」という事実を私側で「本当の理解」をしないまま、いただいた情報の範囲内で、私達の親族のケースを照らし合わせて考えたことを書いていきますので、「そんなことはない」という点も多々あると思いますから、失礼があるかもしれませんので先にお断りしておきたいと思います。



今回のご相談内容のキーポイントと思われる点がいくつかあります。それが「現在の状態」につながっていると考えます。書き出しますと、



・ アスペルガーの特性を持って生まれている


・ 10歳を過ぎた小学校6年生の卒業まで、アスペルガーの素を維持して年数を重ねてきている


・ 特性が「受動型」である


・ 身体症状が出てきたのが中学の時点、かつ思春期


・ IQが130


・ 専門家から「健康回復優先」と聞いている


・ 現在は高校進学を想定して作文練習をしている


・ 生活面での「事実」は、エネルギー切れの静止状態



ご質問は、二次障害に対しでできること、無気力で場当たり的な生活をしていることで将来の自活が心配とのことでした。



こうした情報を見るときには、時系列と子供の変化を私たちは整理します。

特に


身体症状が出る前(過去、二次障害の原因の蓄積時期)


出てきたとき(悪化または限界越え)


現在(二次障害発症、その症状の重さ、軽さ)


を見ます。この過去の蓄積からさかのぼって発症時期と、現在の症状の重さを考えると、つじつまが合うことが多いからです。


理由ですが、その子の持つキャパシティーをまず正確に把握したいからです。キャパシティーがわからないと、「これから先の将来の対策の仕方」がわかりません。大きい余力があれば、色んなことを積み込めますが、少しのキャパシティーしかない子に、定型並みの理想を追わせても、すぐに二次障害をこじらせてしまいます。ですので、「できるだけ正確に、その子自身の持つベースの技能や力、性質や癖のようなものを把握して、その範囲内でできることからはじめる」のが、回復できる近道になります。


定型の方にはわかりにくいと思います。例えですが、「そんなことで精神的に疲弊してしまう?」と思うような些細な事で非定型の子供がダウンした場合を説明してみます。


「そんなこと」と大勢が思うような事柄でも、「この子には大打撃であった、理由は物事を過敏に受け取るから、または認知の歪み(物の見方)の特性部分が強く出てしまい、被害妄想的に発展しているから」などの理由で、大勢には平気で大丈夫であっても、アスペルガーの特性のある子は内面でかなり敏感に反応していますから、打撃の威力が激しいわけです。(被害妄想が強く出た、という特性などは一つの例です)


かつ、顔に出ない、自分が打撃を受けていることに「すぐに気が付かない」、自分の感情を正確に把握しにくい受動型の子は、じわじわと年数をかけてその「打撃」を熟成してしまいます。自分で消化できないでいつまでも、何年でも、だんだんマズくなる、苦くなるその辛い経験をかみしめてしまう感じです。


そのため、「現在に至る症状」は、過去の熟成期間と、子供の特性を重ねて考えると「症状が重くなって当然」とか「まだ症状は出たばかりだった」とか、判断できる感じです。あくまで、私たちが親族の子供達を見る場合は、です。



こうした振り返りの作業をいただいた情報の中でしますと、言いにくいのですが、今現在の症状はそう軽くはないと言えます。IQが高いのもありますが、ご自身の中で解決しようとして解決できなかったことが山ほどあった過去を、長い年数、約12年近くを1人でもんもんと考えて過ごしていますので、かなりのこじらせ部分、ダメージ部分があろうかと思います。


そしておそらく、その核心、自分がどれほどダメージを受けてきたか、という具体的な内容をお子さんは的確に周囲に説明して理解してもらうことができない、ということで今現在も「ダメージを受ける生活を続けている」ことが、今の無気力、限界値を越した時の症状につながると思います。


専門家の方がおっしゃる「回復を優先に」というのは、体の面での回復がなされる時は、精神面が回復した時だからです。身体症状は、内面が崩れている度合いと比例することがアスペルガーの子には多いです。ですので彼に必要なのは、アスペルガーに詳しい専門家、できれば療育専門家の方とのセッションやカウンセリングでの「過去からの回復、過去の記憶を消化(意味的には昇華かもしれません)させていく作業」です。



夫がお子さんと似たタイプですので、重ねてしまうこともあり断定的に書いてしまっている部分が多いですが、「現実のお子さんを私は見ていない」ので外れている部分が多々あると思います。ですので、上に書いたような時系列の過去、症状の発症までの経過と積み重なったお子さんの内面での「理不尽な思い、理解されなかった、わからないまま過ぎたあれこれ、あきらめたあれこれ」についての掘り出し作業を専門家にしていただかないと、本当のところがわかりません。


親は「子供の動作、言動、見た目」からしか判断できないと思いますが、受動型のアスペルガーの子はこの3つの部分での発信作業がほとんど最低限です。つまり、内面の葛藤や悩み、本当の困り感は自分でも「何が問題か自分でもわからないまま過ぎている」ので、全く伝えきれていません。


また、本人は伝え方を知りません。そういう意味で、家族や周囲の人間が生活するうえで見落としやすく、また本人からの発信がないため受信する情報もほとんどないですから、こじれてしまってからの発見となることは結構あります。コミュニケーションが相互の情報発信、受信の繰り返しと考えると、それがものすごく少ないのがアスペルガー受動型です。そういう意味での生まれ持った障害特性は強く、最も専門家の支援が必要な発達障害の一つと私たちは考えています。


お子さんの場合はまだ若い中学という時期に発見でき、成人まで見落とさなかったという事で大きな幸運を得られたと感じます。今からであれば成人までに社会に出ていく「健康な心」にまで回復することができます。


今できることは何か、ですが、真っ先に「過去の蓄積したもの」を、専門家の助けを借りて、長い時間がかかると思いますが、セッションを何度も繰り返して出し切ることが必要です。お子さんの嘆きや記憶の掘り起こしで全く自覚していなかった、もしくは感情のレッテルをはる技術がなかったために放置してきた激しい辛さ、怖さの激情が出てしまうと思いますが、この感情が大事です。



「自分はその場面で辛かったのだ、と今説明されないと気が付けなかった。確かに辛かったのだと思う。」

「自分は、過去のあの時泣きたかった。誰かに大変だったね、とその時理解して助けてほしかった。」


「自分は、人が言ったあの言葉を忘れられない。自分はそんなつもりなかったのに、ひどい、と思っていた。定型の人が違う風に考えていると知らなかった。それなら理解できる。自分にそんな視点はなかった。誤解していた。」


「自分が何をやっても他人は外した、変だという反応をする。自分は皆とは違う、どうやっても無駄。自分なりに色々試して頑張って来たけど全部無駄だった。だから理解されず友達もいない。もう頑張れない。だって無駄だから」


と、成人した親族の結婚相手、アスペルガーの伴侶の人たちが言ってきたことの代表がこんな感じです。みな、消化しきれていない過去をたくさん抱えてそのままの状態で怒りや嘆きを消化しきれず二次障害となっていました。


アスペルガーの人の記憶力の良さと悪さには特徴があるケースもあります。過去の辛い記憶を細かいところまでずっと記憶してしまうこともあります。なかなか定型のように記憶が薄れて行きません。または、過去の辛い記憶があればあるほど、それを封印しようとしますので、「現在がぼんやり」になることも多いです。これも症状の一つで、うつ病の人が思考力が落ちるのとまったく似ています。お子さんの場合は後者が表に出ている可能性があると感じます。


辛い経験や頑張った末に二次障害を起こしますから、その体の症状ゆえに、二次障害の影響で記憶の悪さや思考できないという状況に陥ることが多いので、今の状態を説明しますと、


二次障害のある「今」作文を書かせようとすることは、うつ病の人に、とりあえず体を回復させようね、仕事(学校)はお休みしましょう、でも思考力が落ちていることは横に置いておいて、とりあえず勉強(思考の努力を)しようと、と提案する、というようなちぐはぐな状態になっているので、お子さんは対応しきれていないのではと思います。休めているようで、休めていない、ということで足踏み状態です。これが続くと逆に後退して身体症状、起きれない、とか食事の味がしない、というような状態も出てくるかもしれません。



学習は気力と頭の思考という体操ができる健康が戻らないとできないので、「今は健康回復が先」となるわけです。勉強ができる状態ではないと思いますので、少なくとも「自分が生きて生活している実感」を、体の五感が感じられる状態になってから、の試みになるかと思います。


勉強の1年、2年の遅れはIQ130あるアスペルガーの子の場合、小学校・中学校レベルの学習は元気な時であれば、過集中しますので半年ほどで取り戻すと思います。作文もその最後に仕上げとして、「作文道場」のような作文に特化した学習塾に3か月ほど通えば、コツをおさえて教えられたように書けるようになる可能性が大ですので(コツを詳しく教えられると、教えられたことは的確に使えるようになるアスペルガーの子が多いので)、順番としては「今」ではなく、「回復後の学習の、ずっと最後」にしたほうがいいと考えます。


今、先にしたほうがいいのは、


・ 今おられる市、隣の県も合わせて子供のアスペルガーの扱いに慣れている民間の療育施設や病院のカウンセリング、思春期外来の発達障害の「回復」をお手伝いしている所をしらみつぶしに調べて、そこにまず親だけ先に行って相談し、ここなら、と思ったところに連れて行くこと、過去から貯めてきているあれこれを引き出して、一つ一つ傾聴して取り乱したり怒り、悲しみという感情を把握できず混乱するお子さんに「悔しかったのね」「それは悲しかったのですよ」と感情のラベルをつけていってくれる相手に引き合わせることかなと思います。


アスペルガー系の会などが近くにあればいいのですが、そうした会であると当事者の人の解説も聞けますし、保護者の方々もノウハウが蓄積されておいるので、相談する子さんが「相手の言う事・説明」を理解しやすく、またお子さんもその場の人に「理解されやすい」と思います。受動型の子特有の「あ、この人だめだ、外したことばかり言ってて自分とは違う、わかってもらえない」とシャッターを下ろしてしまうことが少ないです。「なんでわかるの?」と感じると自分で話をしようと態度が変わるので、すぐに子供の欲していることが何だったか、その場を見て聞いているとわかると思います。



無気力で、何もしようとしない、厭世的な様子なのは過去の蓄積から来る「何をしても無理だった」という、1人で内面で12年ほど葛藤を続けて、今となっては学校で誰とも話さなくなったように、孤立の中で思考し続けてたどり着いたあきらめの最終地点なので、そこで最終地点だと思ったままにさせない支援が必要です。


「今まで一人で大変だった」ことをアスペルガーの特性の部分で、こんな思考だから大勢と合わずに困ったんだね、など具体的に解釈をしてくれることが、アスペルガーの子の最大の支援です。理解されない人生を孤独で辛い中を受動型の子はじっと佇んでいるわけなので、そこに入り込める専門家がいれば、子供は「つながれる」と思った時に少しずつ回復の道、つまり「再スタート」できます。


定型の人との、自分なりの努力でつながろうとした孤独な奮闘は失敗に終わり、最終地点、あきらめと失望に入り込んだけれど、「つながれる人」に出会うことで「自分が理解される、自分が理解できる人がいる」ことに希望を持てます。


アスペルガーの人で他の発達障害の人と違うように感じるのは、受動型の人は孤立感が強いためか、自覚しない淋しさを抱えているということです。そのため、理解してもらえた時に「幸せ」を初めて実感する、という体験をする人が多数います。私の結婚した夫は、私と親族とあって初めて「話が理解できる、通じ合える」という体験をしたそうですし、つまり子供時代から私たちと出会うまで「何か他の人、家族と違う、1人でずっといる感じ」がしていたということです。



色々たくさん書いてしまいましたが、私のブログ内を「アスペルガー 受動」のキーワードで一度検索していただくと、いくつか過去記事が出てくると思います。アスペルガーの積極奇異な人よりも、受動型の人のほうが支援は必要だというのが、私達が感じている実感です。そして成人まで何事もなく、例えば大学に進学していた夫や親族の結婚相手のように、「ごくオーソドックスな道を歩んで社会人になっている」のに、うつ病などの二次障害を発症しているのもよく見られるケースです。いつか、「何でもないように見えた」けれど、蓄積したものは遅かれ早かれ、二次障害となって出てしまうのが受動型の人の特徴だと思います。


お子さんは先ほどにも書きましたが、早い時期に身体症状が出たことで回復への道も早くなります。危機管理能力と言う点では、自分の異変を察知する能力は身体的に鋭かったということなので、おそらく回復への糸口、理解しあえる専門家と出会うと回復への速度も速いと思います。体の異変に鈍い受動型の人もいて、その場合は成人まで耐えて耐えるので、二次障害がより重くなり投薬なども必要となるケースが多いですが、お子さんは成人まで耐えるのではなく、早めに「おかしい」ということを身体的に察知できて学校から避難できている、と考えるのがいいと思います。


親の方でも、お子さんの内面を知らないことが多いと思いますので、これからそのアスペルガー的な「つまづきの思考」について、お子さんの内面の掘り出し作業をする過程で、専門家の方から報告を受けると思います。その際に、できるだけお子さんについての情報を「定型の自分の標準をスタートに考えるのではなく、異文化を持つアメリカ人のように」思考をまっさらにして、知っていくようにされると逆に「えー、そんな風に考えるんだ!」と理解できやすいのではと思います。少なくとも、「どうして~という風に考えられないのかな」という日本文化として捉え、相手が外国で育った異文化とは思わない範囲で考えると言う事象に陥らないと思います。


そして、「母親の私はこう考えていた。こういう思考なんだよ。」と、お子さんと思考回路が違うことを「言葉で解釈を入れて説明」してあげてください。定型の人の当たり前の思考や価値観は、丁寧に説明したり定型的解釈をしてあげないと理解できないのが、IQが高いけれどその部分が全く自分で読み取ることができないという障害の特性の顕著な部分です。



ここまで書いて、ご質問の情報と内容が全くあっていないような気もしてかなり心配です。これだけ書きましたがお子さんの受動型と私の経験する親族達の受動型が違うと、内容が全くはずれてしまっているはずなので、再度書いておきますが、「お子さん自身を掘り下げて事実を取り出してほしい」と思います。そうすれば、私が書いた内容がはずれで使えなくても、専門家がお子さんの解説をしてくださり、必要な回復作業のお手伝いをしてくださると思います。


少しでも参考になればいいのですが。




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