この時期、夏休み前に日本全国の小学生はテスト週間に入っているのではないでしょうか。


我が家で勉強中の親族の子達も、親から作ってもらった最終兵器のノートを持参したりして頑張っています。そう、発達障害の子達は教科書を見直す、というような勉強の仕方では内容がしっかりと理解できません。今日はそれを読者の方に理解してもらえるように、具体例を出して「こんな風にして覚えるんだ」、もしくは、そうしないと覚えられないのだ、ということもお伝えしたいと思っています。


発達障害の子供は勉強が得意な子と苦手な子にはっきりと別れることが多いです。理由はこの子達の百ゼロ思考にあるでしょう。できなさそう、わからない、となるとすべてをゼロにしてしまう傾向の子達ですから、日々の学習で「無理だ」と思い込まないように、「あ、そうか、こうしたらいいのか」と わかる体験を1日に1つでも、2つでも継続的に経験させることが、中学や高校になってから自立した学習ができるかどうかの結果につながっていきます。ローマは一日にして成らず、と言いますが、発達障害の子達は特にこの傾向が強いです。


まずテストが大事になってくる3年生を境目にして書いていきます。この学年の大事さは、学習教科が増えるということもありますが、自意識が育ってくる小学校中学年であること、また中学や高校の学習につながるスタート地点として、私たち一族はこの学年に重きを置いています。勉強が理解できていないことが顕著になった子達は、まず1-2年生の、3年生の学習までを「記憶すること(覚えること)」を中心に再学習させ、そして3年生の学習からは 「学ぶこと(理解していくこと)」を丁寧にサポートしてきます。



新し教科になった社会と理科が、子供たちの学習意欲に大きく作用していきます。算数や国語とは、この2教科は全く性質が異なります。社会が苦手な発達障害の子達は多く、勉強が得意な子であってもなおかつ一番苦手、という子がいるような教科です。


その理由としては、子供のころからの社会性に原因があります。社会構造や自分が直接かかわっていない社会システムなどを体系的に理解することは、自分個人と社会のつながりが想像できなければできないほど社会という教科が理解不能になっていきます。理科は体験から学習につなげられるか、が理解の鍵であり、本の中の世界だけで理解できるような頭脳構造には、勉強が得意な一部の子を除いて、勉強が嫌いな多くの子はあまりなっていません。


最も苦手科目になりやすい社会について一例を出しましょう。


小学校で初めての社会というと、地域を理解するための地域探検や地図の作成となります。地域探検は、クラスについて歩き、見た内容をクラスメートとプリントにメモするレベルなのでなんとかなります。問題はその先です。


探検したそのメモのデータを、地図という書面に描き出せるかというと、それがかなり難しいです。まず北を設定する、ということが抜け落ちることが多く、北を設定しなければいけない理由は授業で聞いていてもかなりちんぷんかんぷんです。自分からみて360℃に位置する建物や田畑を、上から見て平面にするということは想像力もいりますが、見た映像と角度の違う平面にアレンジしなおすという高等技術が要ります。その時点での難しさがあります。


ではどうするか、ですが、クラス内で相談しあって出来上がった地図を見ながら、こうだよ、ああだよ、と教えるのは0歳の赤ちゃんに絵本を読んで、これはこういう意味だよ、これは~という場面だね、と理解を促すぐらいに子供の理解度を飛び越えた指導方法です。ですのでこれはやりません。


まずは、白い紙に、小さく「自分」を書かせます。そして、「毎日学校へ歩いていくんだけど、その時の様子を線で書いていくよ。家を出てから曲がるところ、まっすぐいくところ、を鉛筆で曲がる、まっすぐ、と線を描くだけでいいからね」


と、方角の設定なしで、ただ行き方を線で描くだけです。


「家を出て、門のところで右にまがって坂を下りて、それから道路があるから右に曲がってずーっと15分歩く。三角の道路標識が見えたら右に曲がると、学校が見えるからそこまでまたずっとまっすぐ歩く。」


という感じで、線でびーっと、まっすぐ、まがる、というような線だけができあがります。


そうしたら、そこに「じゃあ、最初の家と、到着した学校を『これぐらいの大きさ(1cm四方)』で描こう」と、家と学校を描かせます。


子供たちには、これが自分が理解できる最も身近な地図です。余計なものが見えていない、また覚えていない子供の世界では、自分の家と学校が線でつながっている、そういうものです。でも、これでも最小限ですが、地図になりえます。あとは大人のサポートで肉付けしていけばいいだけです。


「じゃあ、さっき言ってた坂を下りてからの道路を描こう。まっすぐ道路があるから、こういう感じかな」と定規をあて、子供に線を描かせます。


「学校まで15分あるけど、歩いているときにいろいろ見るよね。家が多いかな、畑かな、田んぼかな?」と聞くと、最初は畑、そのあと学校の近くは家がいっぱい、と言えるので、横に畑や家を書き足して行きます。


田舎はお店などはないので、それでおしまいです。あとは子供一人では思いつかない、

「学校の裏に流れる川も、描いてくれるかな」

「親戚の○○さんは山の向こうに住んでるよね。だから道路の向こう側は山を描いておこう」と大きな規模の歩いている範囲には「見えない」ものを、描き足します。


そして最後に、方位磁針を持ってきて、「北はどっちか家の前で調べて、北がわかったらこの手書きの地図に、北はこっち、と描いておいてね。


これで地図ができました。この順番にすると理解がしやすいです。あと、この「自分の家からスタート」が全くできない子もいます。親が四苦八苦して道順を思い出させようとしても、「ううん、こっちにいく」とまったく逆方向を言うようなときは結構あります。その場合は、親が「スタート」に指定した地点が間違っています。子供の頭の中に、自分だけが想定している「スタート地点」というのが存在することがあるのです。


最近の子の例では、「学校からもどる道はよく覚えている(おそらく寄り道しながら帰るから周囲をよく見ている)」ので、家からスタートさせてもあまり覚えておらず(朝はあたふたして走って行ったりするので)、親が「家からスタート』させていたにも関わらず、本人は「学校からの帰り道しか覚えていない」ため、学校からの道順を線にして描く=歩く・曲がる方向がトンチンカンな具合になる、という実例がありました。


でも子供はそれを自分では意識できていないので、親から「おかしいなぁ。道路をこっち側に渡ると逆方向になるよ、本当にここで右?」と聞いたり、ヒアリングを重ねて四苦八苦していると、自信のない子はイライラしてきて10分、20分という親子での死闘の末「だって、帰り道しか覚えていないもん!」という爆弾発言をしたりします。「なんだ!それなら学校からスタートしたらすぐできるじゃない!家からの道はわかってなかったのね!」と、すぐ解決に至るのです。


地図が理解できない、というのは見てわからない、という問題よりも「自分が知って覚えている記憶と目の前の平面の地図がつながらない」ことが最大の原因のことが多いので、こうして日常的に動いている中でも、少ない「覚えていること」を掘り出してつなげていく、という関わり方が理解の唯一の突破口だったりします。本人は無意識である記憶の偏りが特性としてありますので、これは大人が掘り出して学習内容につなげてあげないと、なかなか突破口にならないことが多いです。


あとは記憶が不得手な子達も多いです。それには理由があります。何も自分と関連性がない事象をただ記憶する、ということが苦手なのです。ただ、面白いとか、印象深い、という方法であれば記憶することができるケースも多いのです。


例えば、地図記号もそれにあたります。


郵便局のマーク、きちんと描けない子が多いです。覚え方は「手紙を出す所が郵便局。手紙の手、を絵にしているマークだよ」「手紙は手でかくから、手と似たマークにしているよ」等々と伝えてなんとか、記号が無機質にならないように記憶できるような関連性を持たせます。あとは


「○を最初に描いて、最初に円の直径を描くよ。それから上に小さい線を描き足すとうまくいくよ」と短い線と長い線の描き方を教えてあげたりもよくします。定型の子はさっさと2本の横線を引いて、最後に縦線を描く〒マークは何でもないことですが、円の中に2本の平行線を、長さが違うように〶を描くというのは円の視覚的なとらわれの影響が大きすぎて、「とにかく2本線を引けばいい」ぐらいの集中力しか保てませんから、上が長く下が短くとか、2本とも同じ長さとかになり、テストで×をされて泣くことになります。


そうならないように、最初から「直径」という算数の知識を使うと、すぐに理解できますからその後ずっと間違うことはありません。


太陽のような工場のマークも、適当に線をぴっぴっと引くと×になるのと、線をいくつ描けばいいか「6つ・・・いや、8つ!」とそのあやふやな記憶でまた間違う確率はぐんとあがりますので、最初から「数えなくてかける」方法で教えます。


「まず、○を描くよね。そしたら上、下、右、左の線を先に書いて。あとはその間に一つずつ線を描き足せば完成!」と伝えれば、間違えなくなります。関連付けは、たいていおもちゃの部品で似たものを見せて「こういう機械や部品を作っているのが工場だから」と教えると記憶に残りやすいです。よく由来の説明で、機械には歯車が付いていて・・・など文章で説明してあるのですが、自分の身近なものと関連性がなければ、その時は「なるほど」と聞いていても、あとですっかり忘れてしまいます。


あとは、たくさんある教科書のページの細かい内容を、いったいどうやって説明し覚えさせればいいのか・・・という悩みどころがありますが、これは親族の多くの親が、夜な夜なクイズを作っています。


○か×で答え、×であればどこが間違っているのか、を口頭でいいので聞くようにクイズは作成します。先日、私が見た親族の子のノートにはこんな○×クイズがありました。


<わたしのまち、のクイズ>


( ) 学校のまわりには、たくさんの工場があります。


( ) 学校の南には、○○駅があります。


( ) 学校の近くには、子供が遊べる場所が全くありません。


( ) 朝は、駅の近くは人が誰もいなくてとてもさびしいです。


( ) まちたんけんをするときは、方位じしんで南を調べます。


( ) 方位じしんで南を調べたら、校区地図の上を南にします。


( ) まちには、ポケモンセンターやディズニーランドなどがありにぎわっています。



などです。地図の勉強を、先に描いたように親とやったあとなので、学校周辺のことについてはそれなりに学習済みです。その上で、こういった「正しい知識を記憶させるための誘導問題」をさせると、以外と積極的にやります。


「お母さんが、ひっかけ問題をつくったの!絶対だまされないし!」と鼻息荒く、


学校の周りは民家ばっかり!

学校の南ってうちだよ!駅は反対、北!

学校の近くは児童館と、公園がある!

朝はおじさんらがみんな駅に行くんだって!だからにぎやか!人が集まるところ!

家の前で北を調べたから、方位じしんは北を調べるもの!

方位じしんで北を調べて、地図の上を北にするの!

ポケモン~!!!ディズニーランドぉおおお!!あるわけないじゃん!田んぼと山ばっかり!!


などなど、覚えてほしいことは逆に書かずに、なるべく現実とは明らかに全く違う、または変わった内容のクイズを作ると子供はものすごく喜びますし、導きたい答えがすんなり出てくることが多いです。


覚えてほしい教科書の内容を全部クイズにするのは、親としては手間がかかりますが、案外こうした面白いものを作ると子供はやりますし、楽しければ楽しいほど詳細も覚えてくれます。間違えても面白くてテンションが上がっているときならスルーできたりもします。


社会はこのようにして、


子供の狭い視野、偏った知識に学習内容をつなげる

漠然として自分とは関連がなさそうな学習内容は、変わり種のクイズ方式にして楽しませる


この2つで、なんとか最低限の情報は記憶にとどまることができ、テストもそこそこ点数が取れることがあるので試してみてください。



他の科目につても、文章にまとめることができればUPしたいなとは思っています(確約ではありません、すみません)。




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