日経コンピュータ2013.08.22 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<顧客満足度調査 15部門で首位交代 好き嫌いの境界線に異変>です。毎回言ってますが、広告がもらえそうなところばかりが偶然1位になる奇跡にほれぼれします。まあそれはともかく、マイクロソフトのバルマー社長が引退を表明したニュースがかけめぐっています。副社長の名前や、トップハンティング会社に頼んでいるなど様々な情報が流れています。透明性は日本の企業とは大違いです。

【強い提案は想像力から 小さな改善に誇りを持て】(P.6)
ファイザーホールディングスのビジネステクノロジー部門長です。IT部門と呼ぶのをやめたのは「仕事の内容をシステムの開発や運用から、ITを使った現業部門の課題解決へと完全に移行させた」ためです。開発・運用は外部ベンダーに任せ、スタッフはコンサルティングに特化されています。米国の世界売上1位の製薬会社の方針ですから重みがあります。

【クレハが初年度約1億円かけて標的型攻撃対策】(P.8)
クレラップで有名なクレハがサイバー攻撃対策で初年度1億円かけたという情報です。標的型攻撃とは特定のターゲットや目的のためのサイバー攻撃です。それほど守りたいどんな情報があるのか知りませんが、一般的にはオーバースペックです。それなら外部向けサイトをセキュリティがしっかりしているパブリッククラウドに出すべきです。

【誤発注裁判、みずほ証券が上告 最高裁にかかる「最後の期待」】(P.10)
内容はここでも何度も書きましたので繰り返しません。最高裁でも上告棄却される可能性が高い事も書かれていました。面白いのは、判決をどうみるかをWebサイトでアンケートした結果な載っていた事。
「本件バングは東証の重過失に当たらない」との判断をどう思うか
  58%:妥当  27%:不当(重過失にあたる) 15%:わからない
「売買を停止しなかったのは東証の重過失に当たる」との判断をどう思うか
  89%:妥当  07%:不当  04%:わからない
おおむね妥当という意見です。私もこの判断は妥当だと思いますが、判決理由の「バグの発見・修正が容易であったことを証明できれば重過失」は不当だと考えています。そんなに簡単なら受入テストで指摘すべきだからです。

【SAPがクラウド事業拡大に向け新施策 既存製品のライセンス料をSaaSに充当】(P.13)
こりゃすごいです。SAPはいよいよ初期は無料でクラウドを広げようとしています。例えば「製品のライセンス料として1000万円、保守料として660万円を支払い済みの企業」がクラウドに移行すると、「料金の合計が1660万円を超えるまで、SaaSの利用料(図の例では月額10万円)を支払わなくて済む」そうです。え~!!166ヶ月ってことは14年近くも無料で使えるってこと?2013年はクラウド注力とは聞いていましたがこれほどとは。
まあ、とは言えカスタマイズに数億円かけている企業が多いでしょうから企業にとってはその費用は持ち出しですし、書いてませんが恐らく数年後にバージョンアップでまた数億円要るのでしょうからあまりかわらないのでしょう。

【業務用スマホアプリを迅速に開発 ソフトバンクなどが「MEAP」提供】(P.14)
初めて知った言葉です。MEAP(モバイル・エンタープライズ・アプリケーション・プラットフォーム)だそうです。スマホアプリを作る時にかならず困る仕掛けをまとめてセットする物です。大きくは2点。ひとつはマルチデバイス対応の開発、もうひとつは社内システムとの接続(ゲートウエイ)です。セールスフォースならMobileSDK2.0として無料で提供していますが、手作りの社内システムとつなぐのは相当難しいでしょう。

【Windows8タブレット1000台導入へ】(P.15)
まあ、普通のIT屋さんなら「え~!?」だと思います。日本ハウジングというマンション管理会社がWin8タブレットを採用したそうです。理由は2つ。ひとつは社内用PCと兼用するため、もうひとつは端末の管理(ActiveDirectory)が容易なことだそうです。お付き合いされているSIerの力量が律速要素になっていない事を祈ります。

【第18回顧客満足度調査 好き嫌いの境界線に異変】(P.22)
オープン系データベースソフトの1位がマイクロソフト(SQL Server)だとか、Webアプリケーションサーバの1位がマイクロソフト(IIS)だとか目を疑う結果でした。ここで1位になった会社のほとんどがひと月ほど先に全社広告を出すのは公然の秘密です。私の元の会社であるNECネクサソリューションズがシステム開発で1位に返り咲いたのは誇らしいです。最後に各社のCIOがコメントされている中から少しピックアップします。

i.JTB:システム部員と業務部門の人員ローテーションをした。ITベンダーも営業と開発・運用で壁を感じる。情報共有して欲しい
日比谷花壇:現場をないがしろにしないで欲しい。トップアプローチでなく現場を大切にするITベンダーが増えて欲しい
大都技研:新生産管理システムでは、パッケージベンダーから優秀な人材をアサインしてもらったので成功した。パートナーにはご遠慮いただいた。

【ネクストCIOの条件 龍馬のごとく】(P.64)
ITが経営と直結するようになったため、IT部門の出身でなく経営部門からCIOを選ぶようになってきたという流れを受けて、CIOの条件を考えるという企画。例えばITが組み込まれた日産リーフのように「ITは新車開発におけるクリティカルパスになった」ためです。全ての企業がやがてアプリケーション企業になるという言葉もありますので、業務と直結する「目利き」としてのCIOが求められているのは理解出来ます。
(それを龍馬に例えるのは安易すぎて理解出来ませんが・・・)
大阪ガスの北前副社長は「事業でITが普通に使われるようになった今、ITだけを統括する職は不要と判断した」としてCIO職を廃止されました。これはガバナンスをどう維持して誰が責任を持つかという意味で極論過ぎると思います。新しい技術にチャレンジするというリスクは事業ラインでは取れないでしょう。

【真の「情報戦略」を立案・遂行する条件】(P.83)
ガートナーのレポートです。偶然ではないと思いますが、上に書いた私の疑問に答えるようなコラムになっていました。情報戦略に関する考え方で、ここ数年で様々な「新種の情報」を活用出来るかどうかで企業の生死がわかれます。その機会を逸しないために4つのポイントが整理されています。

(1) 新種の情報からどのように価値を引き出すか
(2) かつては不可能だった事が可能になったと誰がいつ判断するのか
(3) 新種の情報をどのように検索・発見・結合・保護するのか
(4) 「プライバシーの侵害」などと指摘されないようにどう許可を得るか

CIOでは情報そのものに対するポリシーについて責任を負えないため、最近ではCDO(最高データ責任者)を設置しはじめているそうです。そこでは企業が既に持っているデータを可視化し、将来の利用シナリオを検討し、社外の意見を聞くなどの行動を取っています。

以上