日経コンピュータ2012.08.30 | HATのブログ

HATのブログ

IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は「富士通、再成長への正念場」です。あれ?富士通って一番マシじゃないの?と思いましたが、記事を読んで何となくわかりました。日本IBMが10年間で売上半分になり、NECは株価が1/10になり、残るITベンダは富士通だけ。富士通まで大変なことになると日経コンピュータ自体の存続も怪しいというギリギリの判断で富士通にエールを送る記事でした。そういえば、日本IBMの10年前の社長は最近の新聞をにぎわしてますし、NECの10年前の社長は昨年自殺されました。バブルがはじけて考えられない程ストレスが溜まっていたのかも知れません。

【三井化学が海外基幹システム刷新、グローバルで業務標準化】(P.7)
海外拠点の会計・経理・在庫・販売管理・人事についてSAPで統一するというニュースです。これだけSAPの失敗事例が多くありながらいまだに売れ続けているのはすごいな~というだけでなく、「日本の本社は自社で開発した基幹システムを使い続ける」らしいので驚きました。普通考えれば、まず本社の日本に入れてからグローバル展開のはずですがそれがことごとく失敗しているためSAPさんも戦略を変えています。それにまたはまったようです。

【ユニシスと資本提携した大日本印刷の狙い】(P.8)
ユニシスの株式の18.9%を取得し筆頭株主になりました。去年7月のこのブログでユニシスに元三井物産の島田氏が返り咲いたという記事を書きました。
http://ameblo.jp/hatsanhat/entry-10959214028.html
ここに「成長軌道に乗せ、他のIT企業に売却する」という選択肢を載せましたがIT企業でなく実業の会社に売却したのは流石だと思いました。IT業は実業会社の縁の下の力持ちが本分だと私は常々思っています。実業の一社くらい幸せに出来なければ存在価値はありません。背水の陣でユニシスは攻めていくだろうと思います。

【イオンが通販サイト刷新で「O2O」導入 ベンダーと成果報酬契約】(P.13)
このベンダーというのがユニシスです。上の記事と同期しています。O2Oはこのブログで何度か説明していますが、OnlineToOfflineです。昔はクリック&モルタルと呼んでました。「イオンはITベンダーに構築費用を支払っていない」そのかわり売上高の一定割合をレベニューシェアするという契約です。今まで成果報酬契約は何度も言われながらことごとく失敗していますがいよいよユニシスが先鞭をつけたのかも知れません。

【富士通、再成長への正念場】(P.24)
株価が「実に32年ぶりの安値」だそうです。抜きつ抜かれつの株価だったNECは今や富士通の1/3以下で100円を切ってますので、相対的にはマシですが、そう言われると確かに大変な事なのでしょう。「NECが経営不振に陥っていることで、国内IT首位の座を労せずに守れるようになった。ぬるま湯に安住している。」という何だかNECが悪いような言い方ですがコンペチターが居ないというのは経営判断も大変だとは思います。
主要執行役員の顔写真まで載せて社長インタビューまでされた総力記事ですが、残念ながら富士通がやろうとしていることを報告しているだけです。日経コン自身の「眼」を感じる事がないのはこれが限界という事でしょうか。

【BigData争奪 データベース陣取り合戦】(P.56)
「ビッグデータの活用に向け、データベース製品を刷新するユーザ企業が増えている」という趣旨の記事ですが、なんだか変です。ビッグデータって、データウェアハウスが扱うような取引明細だとか業務明細なのでしょうか?非構造データやNoSQLについてはとってつけたような説明でしかありませんでした。まあNoSQLは基本OSSなので広告料がもらえないのはわかりますが、用語を都合の良いようにねじまげないで欲しいです。

【徹底的に「作らない」 LCC3社の低コストIT戦略】(P.66)
クラウドや汎用品を使って出来る限り作らない。難しい部分は外部の専門家に任せるなど各社苦労されています。ピーチは「大阪~札幌間に片道運賃は8000~9000円」なのに日付などの「変更手数料は5250円」という価格戦略が面白いです。これで企業継続という面で大丈夫なのかだけが気になります。

【クラウド国内市場はハムレット】(P.85)
昨年ユニシスの内情を報告された北川賢一氏の秀逸コラムです。
       クラウドを使っている  クラウドをかなり使っている
  米国企業    72%         13%
  日本企業    19%          ?
ガートナージャパンの亦賀氏の言葉としてクラウドに関しては「IT部門がいまだに”ハムレット状態”」「クラウドを使うか、使わぬか、それが問題だ」と考え込んでいるそうです。そりゃ勝てないよな~と感じたのは私だけじゃないはず。私の子供が物を買う判断基準は私と大きく違います。大企業の経営者の方は家族と会話出来ているのか、現在の空気が見えているのか心配になります。

【サーバーサイド・フラッシュ】(P.98)
HDDをSSD(リッド・ステート・ドライブ)に変えて劇的にIOスピードを速くするという技術は今や当たり前です。最近は「PCIeカード型」のフラッシュを使い、RAIDを介さず直接バスに接続することで「SSDと比べ遅延を3桁改善できる」そうです。1000倍速いって(笑)

【進化した「Active Directory」 より簡単に、より細やかに】(P.100)
Windows8の技術についての連載5回目です。今まではどうでも良いような話でしたのでスルーしていましたが、今回の新しいADは多分そこいらじゅうで障害が発生すると思いますので少し書いておきます。例えば「財務部門のドキュメントは、財務部門の社員が管理されているデバイスからアクセスした場合に限り編集できる」という事が出来るそうです。相変わらず世の中にはWindowsしかないという思想かと思うような機能です。

以上