日経コンピュータ2012.04.12 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

直前に「エンタープライズ・クラウドとソーシャル・エンタープライズ」というエントリを書きました。偶然、日経コンでもこのテーマが特集でしたのでいつもとは趣向を変えてテーマ別にコメントしたいと思います。

1.エンタープライズ・クラウド
GoogleクラウドにRDB登場 NoSQLに比べ移行が容易】(P.90)
昨年の秋、2011.10に「GoogleCloudSQL」がサービスを開始しました。簡単に言うとGoogleAppsでMySQLが使えるようになったというシステムです。「これからはNoSQLだ!!」という論調でずっと書いていた日経コンピュータが手のひらを返したように「エンタープライズ(企業システム)にはSQLです」と言い出しているのが香ばしいです。

日本IBM、突然の社長交代のワケ 米本社が見せた業績回復への本気度】(P.15)
クラウドが出てきた瞬間に「勝てない」と考えたIBMは顧客をロックインするために「プライベートクラウド」という概念を作りだしました。冷静に考えればクラウドではありませんが、日本メーカも追従してトレンドを作りだしました。それでも業績悪化は止められずとうとう突然の社長交代になりました

新しい歴史を刻むのは顧客<乱反射>】(P.81)
プライベートクラウドを一歩進めて顧客をロックインする仕掛けを2012.4.12に発表されます。エキスパート・インテグレーテッド・システムです。オープンシステムでばらばらになった運用をあたかも汎用機のように統合しようというものです。
http://www-06.ibm.com/systems/jp/saiteki/event/launcheventjp0412/

2.ソーシャル・エンタープライズ
ソーシャル × 情報システム】(P.36)
KDDIが <Twitterなどのソーシャルメディアのデータと顧客サポート用コンテンツを一元管理するシステムを2012年3月に構築した> という話をきっかけにいわゆるソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を企業システムが取り込む事例を説明されています。
ただ、この分野の話にはいわゆる「アクティブサポート」と呼ばれる分野と、社内や関係会社との間のクローズで非定形情報をやりとりするという分野に分かれます。この特集は残念なことにこの2つを混同してレポートされています。私のエントリでは後者をソーシャルエンタープライズとは呼びませんでした。
今は「何かが興っているらしい」という事を伝えることが重要なのかも知れません。

すべてはHTML5になる】(P.64)
去年2011年のはじめから、私もブログでずっと言っていましたがようやく事例が集まってきたようです。<最も大きな課題は、JavaScriptを使いこなすことだろう>というのも去年はじめに渡辺幸三氏がXead Driverのメイン言語をJavaScriptにされた時から言っておられる事です。逆にHTML5の標準化が制定されるのが来年だという事が書かれていませんでした。

3.インタビュー記事
目指すはアジアのNo.1 飛行機やホテルも保有へ】(P.54)
HISの社長さんのインタビュー。最近ハウステンボスの復活で初代社長が良くテレビに出られていますが、あの社長が選んだだけあってすごい方でした。海外発着の航空券のリアルタイム検索システムについて、<ただ、開発は大変でした。開発出来るITベンダーを国内で探せなかったので、(中略)インドのベンダーに任せました><日本とアジアではスピード感が全く違う。日本がじりじりと遅れをとっていくのではないかと、逆に危惧しています><アジアでは国をまたぐ旅行会社が、間違いなく登場するはずです。今のうちに参入しておかないと、あっという間に淘汰されるか、飲み込まれてしまう。ものすごく危機感を持っています>
皆さんの会社はどれだけ危機感を感じてるでしょうか?HISって良い会社なんだなと感じました。

世界で人気集める新発想の開発ツール 作った動機は”怒り”】(P.78)
継続的インテグレーション(CI)ツール「Jenkins」を作った川口氏のインタビュー。実に面白い内容です。元SUNでツール作成をされていましたがOracleに買収されたので独立して開発を続けておられます。ソース修正するたびに手動でビルドするという繰り返し作業に「なぜ自動化しないんだ!」と”怒りを感じて”開発したそうです。
<OSSビジネスは今後、クラウドを軸に発展を遂げていくのではないか>

4.ガラパゴス日本のソフトウェア
スルガ銀が事実上の全面勝訴 IBMの責任認めた判決の深層】(P.31)
フェーズごとに成果物を明確にした「個別契約」を事実上無効とする判決だとすれば大変な事です。著作権関係でも欧米と全くちがう判決が出てしまったために日本でサービス出来ないものが多数あります。裁判所が一番ガラパゴスなのでしょう。

「品質第一」は正しいか】(P.86)
日本のSEは品質にこだわりすぎるが、米国企業はスピードを最も重視する。結局ITはビジネスを最大化することが目的ですからどちらが正しいかは明白だと個人的には思います。
<「日本は品質で勝負」などと日本流にこだわる時代は、そう長くは続かないと思う。><急に優先順位の高い案件が発生したら、即座に全体の計画を見直す><優先順位が低い案件については、進行中のものでも躊躇せずに延期もしくは中止する>

グローバル化の先行事例に学ぶ イケアなど4社の情報化】(P.100)
上の連載と真逆の記事です。<「情報システムにバグはつきもの。バグがあっても早く市場に出した者が、大きな利益を得る」。こうしたシリコンバレー流の発想の影響からか、米国のシステムの信頼性は決して高くない。この観点では日本企業の方が進んでおり、参考になるノウハウが少なくなった。>ということで欧州4社を日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)が回ったという報告です。システム内容についてはどうも浅いレポートでした。

5.新連載

次の2つの新連載は面白く読みました
これから始めるストレージ統合の勘所】(P106)
パナソニック電工インフォメーションシステムズの方が初心者向けに書かれています。
いまさら聞けないシステム構築の基本】(P.110)
カシオ計算機の方が書かれています。詳細はこれからですが、データを押えEAを決める事で全体最適を目指すという方向に議論が発展するなら同意します。カシオさんってDOAなんでしょうか?

以上です