日経コンピュータ2011.12.08 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は「多能スペシャリストを目指せ」です。定期的にこの特集をやっています。毎回言ってますが日経コンピュータが行う理由がわかりません。この号は全体的に低調な記事ばかりで残念でした。

(P.06)【ソーシャルで消費者が動く 基幹システムの開放で加速】
カブドットコム証券の社長のインタビュー記事です。ソーシャルとはtwitterやFacebookなどのいわゆるSNSと呼ばれているものです。その情報が消費に影響しているためどういう仕掛けを取り入れたかを説明されています。SNSを企業システムに取り入れるという動きは海外では顕著です。オランダ航空(KLM)がSNSサービスを導入したのは2008年ですし、トヨタの「トヨタフレンド」もその流れです。日経コンピュータとしてもっと特集して欲しいと思います。

(P.08)【IBMが大連オフショア拠点の人員倍増、15年に1万人規模へ】
オフショア開発およびBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の拠点として、大連の拠点を1万人規模にするという発表です。日本最大のSierであるNTTデータの社員数が1万人弱ですからどれだけ多いかがわかるでしょう。この人数はすべて日本向けです。IBMが日本企業の攻略にどれだけ自信を持っているかという証拠でもあります。

(P.22)【スマートフォンの企業導入率は16%】
アンケートの集計ですのでいつもは読み飛ばすのですが、今回はちょっと目が留まりました。スマホを
  ・本格的に導入済み:9%
  ・テスト的または部分的に導入済み:7%
は予想よりも相当多いでしょう。逆に
  ・必要なし:33%
という会社は業界や企業体質によるのでしょうか。少し突っ込みが足らずはてなが残る記事でした。

(P.28)【多能スペシャリストを目指せ】
一般の生産工場で「多能工」というと、複数の異なった工程の作業を受け持つ事が出来るスペシャリストです。ベルトコンベア式の分業と較べると明らかに品質が上がり効率も良くなると言われています。そういう先入観で読み始めたところ裏切られました。「工程」という概念を入れずに「色々な事を知っていたら便利だよね」というノリで記事が出来ていてがっかりしました。上流から下流まで一人で行うならプロジェクトマネージャーは不要だと本当の事を書いてくれるのかと期待してしまいました。
プロジェクトマネージメントというのは出来ないメンバを使うための技術です。それを隠して、さも客観的な技術であるかのように説明するから騙される人が続出しています。
資格試験について、若い人には情報処理試験を取るように指導していました。この試験は暗記では通りませんからITの総合力としての理解が必要です。勉強することが本人の地力をあげる事になるためです。
ベンダー系の資格は暗記して取れますから簡単ですが、半年も製品から離れるとすぐに忘れます。

(P.48)【スバルは独自の道を行く 改革が先、ITは後】
富士重工業の社長のインタビュー。先日、三洋の早期退職者を200人も受け入れるという発表をされた会社です。業績は悪くないのにクビを切るパナソニックと、それを救ったスバルという対比で相当株を上げたと思います。

ITは後回しにして業務改革を先に行うそうです。業務改革が終わってから必要なシステムを導入するから「当然うまくいくはず」。まあITの支援なくて業務が回るという事は逆に言うと余裕があるのでしょう。

(P.112)【水道システムの稼働を2年延期】
動かないコンピュータは、熊本市水道局のシステム構築。入札で受注した時はパッケージ利用を前提としていたが、入札要件に書いてない理由でパッケージが使えなくなりスクラッチ開発に切り替え。ところが業務担当者が1名しかおらず設計が進まない。どう見てもユーザが悪いとしか思えません。システムを作り上げるのは自分たちだという覚悟がありません。受注した日立システムズは大迷惑でしょうが対決を避けた判断が本当に熊本市のためになるのかが疑問でした。

2011年12月本番予定を2年延期して2013年11月にするという大人の対応で仕切り直しになったそうです。真の原因が解決していませんから残念ながらこれで上手く行くとは思えません。市長や市議会という政治的な問題にしてパッケージ利用に戻すことが本当の意味で熊本市民のためじゃないかと思いました。

以上