ホテル ビーナス | いつでも映画日和

ホテル ビーナス

ホテル ビーナス

ホテル ビーナス THE HOTEL VENUS
2004年 日本 125m
監督:タカハタ秀太
出演:草なぎ剛,中谷美紀,パク・ジョンウ,コ・ドヒ,チョ・ウンジ,イ・ジュンギ,香川照之,市村正親
公式HP

STORY:ワケありの流れ者たちがひっそり暮らすホテルビーナス。生きる希望を持てないウェイター兼世話係のチョナン、1号室には酒に溺れた元医者のドクターとワイフ、3号室には花屋を開く夢を持つソーダ、4号室には自称「殺し屋」ボウイ、そして片足が不自由な老オカマのオーナー・ビーナス、それぞれが心に傷を持っている。ある日、流れ者風の男と無口な娘がカフェ・ビーナスを訪れる。父親はコーヒーを注文し、そしてこう言った。「ビーナスの背中を見せてくれ」。それは、このホテルに潜むための、名も無い連中が無い名前まで隠しながら生きるための合言葉…。

 モスクワ国際映画祭パースペクティブ・コンペティション部門最優秀作品賞。
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 人気テレビ番組「チョナン・カン」のスピンオフ企画として製作された映画だが、良い意味で大きく期待を裏切られる。泣いてしまいました。やられた。テレビとは異なりコミカル色を廃し、シリアスで、暖かくも切ない物語。

 画面は基本モノクロだが、希望を見出すと淡いカラーへと変わる。個人的にはそういう演出は好きではないが、今作は全く違和感がなかった。一貫した動きをブツブツ切ってつなげる編集も独特。

 音楽は主題歌がLOVE PSYCHEDELICO。他にもピアノ曲が多く心地よいし、効果的な音楽の使い方が物語をさらに盛り上げる。

 音楽の使い方と独特の画が、PVっぽいと言われる所以の一つだろう。

 公開時にも話題になったが出演者は日韓混合で、台詞はすべてハングル語。中谷美紀やツヨポンがハングルを喋るのは最初なんだか変な感じもするが、それはすぐに慣れる。「北へと流されてこの地に着いた」と台詞にあるが、特にどの国とは明示されていなくて無国籍風(撮影はウラジオストク)。

↓↓↓ネタバレ注意!!ご覧になる場合は反転させて下さい↓↓↓--後半まだ続きます--

 登場するホテルの住人の一人一人のエピソードがぐっとくる。特にドクターとワイフ。ドクターの再起を誰よりも願いながらホステス業で生計を立てるワイフと、ワイフのことを想って「強いやつと幸せになれ」というドクター。どうして男と女ってこうなんでしょう。本当に愛し合っているのに、互いを想い合いすぎてすれ違う。そして決して切れない強い信頼関係と愛に感動。

 それと、サイがめちゃめちゃキュート。ツヨポンのタップは単なるサービスかと思いきや、サイとタップのステップで会話したりして、うーん、うまい!笑顔を取り戻すところとか、アネモネを探すところとか、連行されるガイを見送るしかないサイのあの表情と立ち尽くす姿…。映画のほとんどを彼女が持っていったね、あの瞬間。

 それと、ボウイはちょっと松田龍平に似てるかも?(笑)かっこいいっす。

 他にも田中要二などおなじみの日本俳優が出演。つんく♂とか出てくるし、笑っちゃって集中できやしない。香取慎吾まで出てきちゃって、英語アピールするし。サービス心も忘れてないのね。

 音楽も「夜空ノムコウ」など遊び心あり。←どこで使われてた?エンドロールまで気づかなかった(汗)

 気になったのは重要なことが台詞(特にビーナスの言葉)で語られることが多いこと。日本だと全編字幕だからなおさら小説っぽいというかTVドラマっぽい。確かに心に残る言葉ばかりだけど、映像だけでもいいのに、と思う。

↑↑↑ネタバレここまで↑↑↑

 喜劇や和気藹々としたドラマを期待してはいけない。ゆっくり、じんわり味わってください。

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