太物の日について業界人に語った | はすのやにっき

太物の日について業界人に語った

2月3日は第4回呉服業界若手経営者の会でした。その際「太物の日」の話をしたのです。


経営者の会向けに、太物の日制定に関する経緯や、ファンづくりについて話をしましたが、

えーと、正直何を話せたのかあまり覚えておりません。


ということで、そんな大事な話を買いの参加者しか知らない状態にもしたくないため、

資料をほぼ完全な形で下記に転載します。


会においては、資料の無断転載や頒布などはお断りしますということで書いておりましたが、

そこを元に自ら太物を実体験し、深めた知見によって語れるようになってほしいという思いで

そういうことにしておりました。


つまり、ここをご覧の皆様におかれましても、あくまでも参考程度に留められて、ご自身の中

よりあふれ出る「太物愛」によって、語っていただければ幸いです。


既に「ブログで太物の日紹介したいので、文や画像を使用しても良いですか?」とのご連絡

もいただいており、拝見したその記事はしっかりとご自身の情熱や愛を示されていました。

その上での引用であれば、有難いのひと言に尽きるところです。


自ら考え、太物に対するアクションを起こす「呉服業界若手経営者」。

そうなれば、お話しさせていただいた甲斐もあろうというもの。



さて、今回はある意図を持った装いで参加してきました。


・久留米絣の単衣

・ポリエステルの長襦袢

・館林木綿の半着

・巻絹の角帯

・ポリエステル表の足袋

・紬のマフラー


あと、あんまり寒くなかったので省略しましたが、ウールのコートを着ていくつもりでした。


1.単衣の木綿で2月の京都を過ごせるということ

2.単衣の木綿は、重ね着でカバーできるという実例

3.呉服素材(絹)や新素材(化繊)との併用が可能だということ


この辺りが意図なのですが、何とか「太物の日の意義」を伝えるための工夫でした。


会場にいらっしゃる業界の方は、製造・流通・小売・加工・着装・経営支援など。

様々なな思いやお立場でいらっしゃるところから、製造サイドを考えたときに、例えば

太物×西陣製の名古屋帯や洒落袋帯、太物×大島紬の羽織や、太物×ポリの襦袢

のように、既存商品の組合わせが可能だということに希望を見出していただきたかった。


また、製品から太物コラボが出来なさそうな方には、「宮崎では呑み会ばかりしてまし

て、うっかり名物のチキン南蛮や地鶏の炭火焼きを着物に落とすことがあります。」

「しかし、木綿でしたら、家庭で、自分でケアが出来ます。」こんな説明を。

(会場にはスーツ姿もかなり目立ちました)


これは、実際にそうできるという機能面だけではなく、僕の思う着物の入口三大障壁の、

高い・着られない・洗えないを「精神的に」打破するもの。


酒場で女の子に「着物って全部でいくらすると思う?」と尋ね「ひゃくまんえん!」という

返答が返ってきたこともお話ししました。


実際にどうかもさることながら、精神的に、イメージ的に障壁があるのです。


つまり、訴えたのは、着ることで参加できますし、呑み会でもいかが?ということでした。



また、経営者の会では(あまり首肯する方はいなかった印象ですが)、専門学校生から

「価格面が大きな壁になっていることを、そこに若い世代の着物ファンが厳しい目を向け

ていることに気づいてください」ことを引き取って、50円のウールから着物に出会い、欲し

いものが実家の着物屋にないところから、木綿の扱いが始まった話なども。



本当に飛び飛びの話で、お聞き苦しいところも多々あったと思いますが、誰もが主体的に

参加でき、着物人口が増えるためのツールとしての「太物の日」や太物そのものについて

語った次第です。


そして、言いました。


僕の理想とする社会の姿を。


「会社に着物で出勤しても、平気!(少なくともマイナス評価を受けない)」

「取引先に着物姿で伺っても、OK!(少なくともマイナス評価を受けない)」


カッコ内は心の声ですが。


特殊な捉え方をされている着物(呉服も太物も何もかも)を、特別な思い入れはそのままに、

当たり前に受容できる社会を目指す。自分の掲げる理想を。


もちろん、クレイジーな大風呂敷ですが、「太物の日」にはその位の思いを込めています。



会の後、147名のカンパを目指しておりつつも、30名どまりで強行突破(自腹を切った)した

記念日協会への登録料も、休憩・懇親会・2次会の間に心ある方々に寄せていただきました。


ただ、一部に誤解が生じたようで、Twitterでもつぶやきましたが、こちらに再度記載します。


「太物の日」の主催および制定者は全国の太物ファンであり、個人や

企業・団体ではありません。


500円は日本記念日協会への記念日登録のカンパであり、参加費で

はありません。


誰かが許可を出し、有料で参加するというのはあり得ませんのでご注

意ください。


僕はあくまでも、全国の太物ファン(という実にあやふやな存在の誰か。もしかしたら未来の

太物ファンまで含めて)のお手伝いをするだけの立場。で、言いだしっぺなだけ。


繰り返しになりますが、太物の日は、みんなの記念日です。


というわけで、資料を下記に示して、本日はお別れです。長文スマソ。



資料ココカラ

木綿・麻・ウール等の記念日「太物の日」制定


 2012年3月5日に制定され、日本記念日協会に登録されました、木綿・麻・ウール等
の素材による着物「太物(ふともの)」の記念日、「太物の日」を広くお知らせいたします。


■制定の背景および経緯
当記念日は、特定個人・企業・団体によらず、全国各地に点在する太物ファンの賛同を得て
制定されました。かつて、呉服(絹の着物)と双璧をなし、日々の生活や労働における重要な

ポジションを占めた太物の振興を企図し、それを楽しむことが主眼に置かれています。


 現代においては死語ともいえる「太物」が、再び人の口にのぼり、誰でも手にすることのでき

る環境が、今後整えられることにより、着物全体の活性化を促進することになります。


■これまでの流れ
2012年3月5日
 ソーシャルネットワーキングサービス「Facebook」「Twitter」にて、【2月10日を2(ふ)10(と)の

語呂より「太物の日」と発信】し、ユーザーや和装関連業従事者の賛同を得、即日制定。


2012年3月13日
 日本記念日協会に記念日登録を行い、発信のチャネルを広げるため、登録料カンパ募集始。
一人もしくは一法人、一団体ごとに一口500円ずつとする。(2013年2月1日現在約30口)


2013年1月4日
 Facebookページの開設をはじめ、Wikipediaへの項目追加等、太物の認知度向上に資する

環境整備を開始。


2013年1月15日
 日本記念日協会より記念日登録成立の連絡。カンパ者及び一般に向け、登録の報告。協会

初の「不特定多数のファンが制定した日」とのこと。現在、一層の周知を呼びかけています。


■太物(ふともの)とは
 絹糸の着物(呉服)と比較して、糸の太さがより太い木綿・麻・楮等の着物は、反物の状態で

見ると呉服より直径が太い(太物)ところから呼称された着物のジャンルです。



太物商や呉服太物商などから発展した企業には、イオン・三越・松坂屋・高島屋・藤崎(仙台)

などがあり、大店(おおだな)や表店(おもてだな)といわれる一流の店は、百貨店のように様々

な種類の生地を取り扱っていました。その様子は、江戸期の絵画からも窺えます。


唐桟(とうざん)と呼ばれた舶来木綿着物は、一般に高級品でしたが、江戸中期から後期にか

けては、各藩が商工業の強化のために力を入れ、労働・生活着として広く普及しました

20世紀に入り、次第に紡績・製織が機械化されたのち、木綿の製造はピークを迎え、昭和時代

には、戦後を代表する普段着の王様としてウールが登場しました。ウールもまた、新たな太物と

言えますが、21世紀の現在、その命脈は大変か細いものとなっています。


■太物の今後
西暦2000年を前後して増加し始めた、新たな着物ファン層においては、アンティークと呼ばれる

製品やリサイクルの着物と同様に、普段の生活スタイルの中に活用できる着物を求める声が高

まり、雑誌掲載やドラマでの採用の影響とも相まって、再び和装業界の一角として存在感を得

てきています。一方で、小幅製品の供給は新規参入が無ければ、減少傾向にあります。


呉服商が、天然繊維の浴衣までを包括した、太物商としての機能をもアピールすること(川上か

ら川下、さらにあらゆる関連業種が連携を模索すること)で、再び社会の中における和装の価値

や自由度、それらを取り巻く衣環境の改善にも資することが予想されています。

簡単に言えば、「着物を着る絶対人口の増加」。この一助となり得ることが言えます。


■着物ユーザー、そして和装関連業の皆様へのお願い
 -「太物」という言葉を知ってください。そして、使ってください。
 -「太物」の特性を知り、理解を深めてください。
 -「太物」のお手入れ、より良い着方、縫製等の研究を深め、広げてください。
 -「呉服」と「太物」が互恵関係を築けるよう、知恵を出しあってください。
 -もっと、「太物」に袖を通してください。


名称及び日付 太物の日(ふともののひ)、毎年2月10日
制定者 全国の太物ファン
主な行事 太物の着用やその呼びかけ・小売店での太物特集等
Facebook
https://www.facebook.com/futomono  (非会員でも閲覧可)
Twitter 日本語ハッシュタグ #太物の日 #呉服と太物 #太物 などあり


本資料は、「太物の日」制定および周知のため、児玉健作が作成したものであり、著作権は

作成者個人に所属します。内容の無断転載・引用・頒布は、固くお断り申し上げます。
資料ココマデ



一緒に、やりましょう☆



ということで、あとは当日だ。来年は太物ウィークとかマンスとかしたい!

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