そろそろ・・・HARAGAKE
未だ日本の各地で暑さとの知恵比べが続いています。
昨晩は、友人であり、元会社の先輩であり、兄のような人の納涼大焼き肉会だったのですが、
その席で獣医さんにパンツスタイルの和装を積極的にご提案いただきました。
パンツスタイルの和装といえば、僕の友人に腹掛け・パッチ(股引)に半被姿の紳士がいます。
演劇人でもある彼のスタイルは機能的な姿そのもの。
洋服が活動的で、和服がそうでないというのは、実は大いなる「思い込み」だということです。
動くべき時にはそれに適した姿を選択する。
例えば
・裾からげ
・襷がけ
これらは男女共通の「活動スタイル」です。
手拭でのねじり鉢巻は、流れる汗が目に入るのを防ぎ、あねさんかぶりは埃よけになります。
おそらく今の着物本に欠け落ちてしまっているのは、これら「動」の着物。
和服でジャンプしているカットは、洋服のそれと同様にアクティブさ元気さを表現するためによく
使われる手法ですが、着物姿そのものは通常(礼装での姿も含め)と何ら変わりがありません。
筒・もじり・船底など、袖の形状とてかなりの種類がありますし、場合によっては袖丈を短く仕立てる
ことだって可能です。
過去の歴史において蓄積された「特化型」の着物の大部分は、現在失われてしまって久しい。
僕はそう思っています。
加えて地域独自の進化や、職業などによる特化もありましたが、大きな意味で着物はステレオ
タイプ化してしまったと言えるのではないでしょうか。
パンツ・シャツ・ジャケット・ベルト・インナーの大別はあるものの、そのバリエーションが少なく
なってしまっているのです。
着物はずっと昔からこの形で完成されているという考え方を鵜呑みにすることによって、本来持つ
可能性の多くを失ってしまっていることは、着物ユーザーの拡大にとって損失です。
積極的な方々の取り組みによって、「ふんどし」は一定程度のユーザーを増やすに至りました。
そして昨年あたりからの動きとして「ステテコ」の需要が拡大しています。
僕は割とTシャツ×長着の姿でいることがありますが、Tシャツの襟ぐりのラインは腹掛けを中に
着たときのそれと実にそっくりです。
こちらにも、ふんどしやステテコで起きた「進化」が起きるなら、祭りや和太鼓での需要を超えた
新たな境地に踏み入れることが可能かもしれません。
現状で市販されている腹掛け×長着のスタイルでも十分にかっこいいですから、男子諸兄には
是非お試しいただきたいところです。
そして、股引またはパッチと呼ばれるズボン状のアイテムがあります。
腹掛けとセットで用いられることも多々ありますが、スリムジーンズのようにピッタリした脚のラインを
強調するもの(レギンスなども似た感じ)と、少しダブッとしたストレートのパンツのようなものも見受け
られます。※昔の写真や浮世絵を注意してみてみてください。
次に長襦袢があまり用いられなかった、或いは存在していなかったという点。
元はといえば半襦袢と腰巻を合体させて発生したとされる長襦袢。
これはいわゆる「尻端折り」をする時に邪魔になることが多々あります。
尻端折り時に邪魔になるということは、トイレで用を足す時にも不便がありますが、あまり深く問題視
されることはなく、そういうものだということになっているようです。
これらは、いつでも改良を加えられ、進化なり深化なりさせていくことが出来るということは、案外お気
づきでない方が多いのかもしれません。
また、そうして衣服としてのバリエーションを再度甦らせること、その実験をすることをタブー視する方も
いらっしゃることでしょう。
先生はそう言わなかった。学校では教えられなかった。本には書いてなかった。ネットにも無かった。
こういった部分です。
時間はかかるかもしれませんが、和服(着物)の持つ真の力を復活させていくことは決して、時計の
針を逆戻りさせることでも、センチメンタルなものでも、懐古趣味でもありません。
向かうべき方向は、未来へと向いているのみです。
している人がいないのでは、なかなか難しい部分もあろうかと思いますが、先達がいないわけでは
ありません。
僕の友人たち、先輩達にも「動」の着物を自分のものとして取り込んでいる方々がいらっしゃいます。
多角的かつ柔軟な姿勢で、望んでいけたらと思います。
明日は腹掛けして画像を載っけるよ!
「着物の人が増えますように。」
木綿着物!染織こだまS
児玉健作