杉さんが1月28日(日)に見上げた空の様子です。その日は最高気温が10℃少しで、寒く、晴れた日でした。
この雲も塊を作っているので積雲の仲間ですが、温められた地表の空気が持ち上がってできたものではありません。この雲は高積雲と呼ばれる温度勾配が急な大気の層の境目で対流が起きてできる雲です。温暖前線が近づいてきたとき観察される雲として中学校で習います。
この日の風向は南の成分を多く含んでおり、暖かい空気が遠くからやってきていました。地表近くは冷えていたため、暖かい空気は冷たい地表の空気の上を這うように進んだと思われます。
温度差のある大気の層で温められた空気は上昇して雲を作り、冷やされた空気は今度は重くなって下降して雲は消えます。こうした大気の動きがたくさん起きることを、細胞状対流(ベナール対流)が起きていると言います。
上昇してもすぐに冷えて降りてくるので雲はあまり厚くならず、薄く白っぽいです。水中から薄い発泡スチロールの破片がたくさん浮かんだ水面を見上げたような光景です。
高積雲は0℃以下に冷えた過冷却水滴の雲粒からできているとされ、何かの刺激で氷晶が作られると一斉に凍りついて浮かんでいられなくなり、落ちて、尾流雲と呼ばれる雲を作ります。杉さんが送ってくれた写真でもその様子を見ることができました。
氷の粒は落下する間に蒸発してしまうので、地上に達することはほとんどないようですが、たま~に、落ちてきて人に水滴があたることもあるそうです。思いかえすと、そんなこともあったかな。
高積雲は蜂の巣のようになっているので、夕日があたると何とも言えない風情のある模様を空に描きます。杉さんは、高積雲の夕焼けがとても好きで、何枚も写真を撮っていました。
私もこの夕焼け空は好きです。遠い昔の記憶とセットになっていて、少年の頃の下校中の情景を思い出しました。