伊勢エビのクレーンゲーム(屮゜Д゜)屮 | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 昨夜、焼津にある「磯料理 船小屋」で、なかなかお目にかかれないものに出会った。テレビの珍百景に応募してもいいと、そのときは思った。

 

 「船小屋」とは魚の街焼津でも有名なお店で、「お金があるなら船小屋でー…」、が合い言葉の高級料亭である。

 

 お店の中にはアワビや鯛の入った生け簀がたくさんあり、見て回るだけでも楽しい。

 

 私は一つ一つの水槽を興味深く順番にのぞき込んでいったのだが、ある水槽の前で仰天して2mくらい退いたε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε= ヒイィィィ!!!!( ̄⊥ ̄ノ)ノ

  

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↑なんと水槽のクレーンゲームだ

 

 不惑の年を迎えた私も、これにはさすがにびっくりした。何がすごいって、発想がすごい。漁師さんの発想ですよね。並の人間では思いつかない(思いついても作ろうと思わない)。

 

 いったい何が入っているのか覗いてみると、中は小ぶりな伊勢エビがいっぱい。

  

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 とってもシュールな光景だ。プレイ料金は一回300円、二回で500円だ。

 

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 ガラスには、これまでエビをゲットしたらしき人たちの写真が貼られている。最初は冗談かと思ったけど、ホントに営業してそう。

 

 ぜひ挑戦したいと思ったのだが、やはり伊勢エビのクレーンゲームなんて聞いたことがなかったし、もしかしたら飾りなのかも知れないので、なかなか一歩を踏み出せない。

 

 店内には子供もいる。お金を入れた後で、「いやあ、お客さん、本気にしたんですか?たまにいるんですよね、シャレの通じない方って(^m^ )」、なんて店主に言われてしまうと、大人としての立場はもうない。
 

 まずはチャレンジしていいのか店主に確かめるべし。

 

 すると店主は、「もちろんやってもいいけど、うまくいかないから、よかったらタダ(無料)でどうぞ」、と言いながら、装置の下の方にある扉を開けて何やらボタンを操作して、チャレンジ権を4回もタダで私にくれた(なんと1000円分だ)。

 

 私は捕れちゃったら申し訳ないと遠慮したのだが、店主は捕れっこないと言わんばかりですごい自信だ。

 

 高難度の気配がした。それならお言葉に甘えてもいいかな?

 

 一回目、私は小さい伊勢エビに狙いを定めると、その昔ゲーセンで鍛えた技術を駆使してボタンを操作し、ベストに近い位置にクレーンを降ろした。

 

 これは(一発で)きたか?、と思われたが、クレーンが近づくとエビはびっくりして後ずさり、するりと空振り。なるほどこれは難しい。

 

 店主はこの様子を見て、ははは、ときどき子供が上手に捕るんですよね~。」、と言って、勝利を確信し、くるりと私に背を向けて厨房に向かって歩き始めた。

 

 「子供が?」、なるほど、そうか、もしかして。

 

 私は、店主の一言でコツが分かった気がした。しかしそれをここに書くのはやめておこう。営業妨害だ。

 

 とにかく二回目、私の右手には伊勢エビが握られていたゎぁぃ♪ ヾ(*⌒∇⌒)ゎぁぃ♪

 

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 店主は驚きの表情を隠せないΣ( ̄□ ̄lll) 。しかし、そこは流石に焼津の海の男、私の成功を讃えてくれた。太っ腹だ。

 

 店員さんも集まってきて、えっ、ホントに?みたいな顔をして賞賛の声を惜しまない。

 

 店員さんの一人がカメラを持ってきて、記念撮影が始まった。私の写真もクレーンゲームに貼られるのだ。店に写真が貼られるのは、ココイチ以来だ。

 

 ふと手に取った伊勢エビを見ると、とっても可愛い。黒いつぶらな瞳がたまらない。なんて名前をつけようかな。

  

 ここで私は、ハッと我に返った。すごい問題に気付いたのだ。

 

 この伊勢エビ、どうしよう。持って帰るわけにはいかないぞ。飼うのは無理だ( ̄ー ̄;)。

 

 パチンコ「海物語」で確変を引いたような幸福感は、一気に覚めた。

 

 音もなく店主が近づき、捕ったばかりの伊勢エビを取り上げて私に告げた。

 

 「じゃあ、後で席までお持ちしますね」、と。

 

 そう、ここは料亭だったのだ。そして、伊勢エビは観賞用に置いてあるわけではなかったのだ。

 

 伊勢エビは、店主に連れられて店の奥に消えてゆく。私は伊勢エビが可哀想になってきた。冷えた現実感が脳天から私を包む。

 

 宴が始まって、みんなお酒を飲んで盛り上がっている。しかし、私は伊勢エビが遭遇している冷酷な運命を想像してしまい、輪にはいることができない。

 

 「泳げ鯛焼き君」のサビのメロディーで、鯛焼きの部分が伊勢エビに代わって、頭の中でリフレインして何も聞こえない。

 

 やがて再会の時が来た。 

 

 

 

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 ついさっきまで、私の手の中で息づいていた命はもうない。

 

 今回ばかりは、罪悪感が勝って食べ物に見えない。だって、私が興味本位でクレーンゲームをやらなければ、もう少し生きていられたはずなのである。

 

 もう、食うのがせめてもの供養とするしかなかった。

 

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 伊勢エビを噛み締めながら、食べ物を粗末にしちゃいかんと改めて肝に銘じた。