前回は、委員会中心主義の議会運営のはずが、委員会の本来のあるべき姿を否定する委員が数多く存在することを書きました。


 今回はそれらを含めて、議会改革にブレーキをかける議員が未だに数多く存在することを書いておきましょう。それがまさにタイトルにあることです。


 議会改革を進めていく前提として、議員と事務局職員との間で「改革マインド」を共有することが必要ではないかと考えています。


 先期、私が議長を務めている時には、残念ながら議会改革の足踏みをせざるを得ませんでした。


 議長になる前の2年間は議会運営委員長を務め、様々な改革に手をつけてきました。しかし、議長になってからは、議会運営委員長に一切の改革事案を潰されました。というより、ある委員さんが抗議の意味を込めて委員辞職をしたことからもわかるように、その職責にあらずの実力の者が「肩書き」だけを欲しがってそのポストに就くと、こうまで何もできなくなるという事例として皆さんの記憶に残っているでしょう。


 自画自賛をするわけでもなく、私は委員長の時に様々な問題点の抽出とその共有をし、解決策を議会事務局の職員と考えながら取り組みました。


 私が議長の時は、議運の委員長が委員会運営そのものというかルーチンの議会運営そのものを理解することさえ困難だったようで、「改革マインドを共有」するどころか、次第書というシナリオブックみたいなものを理解するのが精一杯だったようです。まあ、それもできていませんでしたがね。


 まあ、それはそれとして、今春の統一地方選挙で議員が入れ替わり、議会改革の灯を絶やさないために、事務局職員にもこれまで醸成されてきた改革マインドをしっかりと受けとめることが要請されると思っています。


 そうすることで、特に新人議員に対して、事務局から改革マインドを伝えることもでき、議会改革が継続発展することにつながるであろうと思うのです。


 私は、議員と事務局職員がいわば「車の両輪」となって議会改革を推進していくべきである、と思っています。


 また、改革における議員と事務局の協働論や「チーム議会」という意識で取り組むべきとの講演を聞いたこともあります。


 ところがこういう考え方には、議員だけでなく、事務局職員にも抵抗感があると思いますし、また、現実的ではないとの声もあるんだと思います。


 議会改革ブームのキーワードでもあった「二元代表制」ですが、これによって事務局職員の任命権者とその人事にも深い考察が必要になってきています。


 私が議長の時に任命権者として、人事関係の書類をみたり評価をするシーンがありましたが、果たしてそれが良いことなのかは自問自答をし、自分の中では完全に書類記載事項は封印し、見なかったことにしています。


 話が逸れましたが、本来的には改革マインドを議員と事務局職員とで共有することについては異論のないところであろうと思っています。


 改革マインドを共有するためには、議員と事務局職員の良好な関係を構築することが必要ですが、そのためには、議員と職員双方の意識改革が不可欠であることが最も重要でもあります。双方の立場と意識の違いを相互に理解し合うことが意識改革の端緒となるのでしょうが、議会事務局という組織と「議員」との関係のあり方に関して、長年の積み重ねで「一定の距離感」を持っているのが議会事務局です。それが公務員の世界での「常識」でもあるのだと思いますが、そこを一歩踏み出してもらうことが肝要でもあり、まあ、まあ、なかなか難しい課題でもあるんですよね。そこはもう議員個々の人間性にもよるんでしょうけどねえ~。この部分はホント難しいんですよねえ~。


 執行部局から人事異動で議会事務局に就いた職員の多くは、議員との関係で戸惑いがあるだろうし、改善すべき問題に気付いたとしても、次第にその現状に慣れてしまい、改善をあきらめてしまうことも少なくないと思うんですよね。


 こうした「あきらめ」が、職員の持っている能力の発揮を阻害する方向に作用ないようにするのがある意味議長の仕事でもあるのではと思いましたが、残念ながら私はルーチンワークでそこまではできませんでしたね。また、管理職者がいるわけですから、そこを飛び越えるのもいかがなものかという部分もあります。


 ところが一方では、議会事務局は船橋市議会で言えば50人の公選職のものとの接触をするわけですから、管理職も何もなくある意味職員が横一線で議員に接触するという側面がありますので、非常に難しいなと感じる日々でもありました。


 そういう意味では「あきらめ」るのではなく、問題を改善する方向へ職員の意欲を持たせるようにするためには、議会事務局長の決断力とリーダーシップに頼らざるを得ない部分と逆に局長のモチベーションや管理職者のモチベーションをどうやって維持できるようにすることがこれまた困難至極です。


 結局、局長を始め管理職者を「政争」に巻き込むことしばしばですからね~。


 本来業務で言えば、職員の改善への意欲を事務局長が汲み取り、そしてそれを議長に伝えて改善に向けた対応をとることができれば、職員の改革への意識は前進するだろうと単純に思いますが、そのときに議長が「議長適格者」であれば、政争も含めてうまくさばくでしょうが、談合、1年たらい回しの約束で就任している議長などには無理な話でブレーキがかかってしまうでしょう。


 議会改革における議会事務局の充実強化の必要性それ自体は目新しくはありません。少人数の議会事務局体制だから何もできないと逃げてはいられないし、現に少人数でも成果を出している事務局もあります。真の事務局の充実強化を達成したいのであれば、事なかれ主義の事務局長や管理職者は要らないと思います。


 議員と事務局が車の両輪となって改革を推進すべきであると述べましたが、この成否は、議会側の改革を引っ張る議員と事務局長や管理職者が呼吸を合わせることで当該議会が一体となって改革に取り組む姿勢を一執行部局や住民に対して一示すことができるかどうかにかかっているように思いますね。


 議会改革に積極的な議会を別にすれば、これまで議会の現場にいる議員や事務局職員からの情報発信が少なかったために、議会が「閉じている」という印象は拭えませんでした。


 しかし、近時の動向である議会基本条例の制定は、各議会が自らの議会のあり方を考える契機になるであろうし、そうした議会の動きを住民に発信するだけでなく、自らに適した議会運営を考える機会になったのではないでしょうかね。


 もしそうであるならば、この動きは、これまでかなり画一的であった議会運営からそれぞれの議会の独自の運営方法を模索することにつながるように思われるんです。


 そうした独自の議会運営が実現すれば、多くの議会がいまだに抱いているであろう議会改革の客体としての意識、即ち「やらされ感」から脱して、議会改革の主体としての意識へ転換したことになるだろうと思います。


 議会改革の主体としての意識を議員と議会事務局職員が共有できれば、議会改革は次のステップに進むことができるのではないだろうかと思います。  


 なぜ、こういうことを言うか?

 

 ある意味悲しく、ある意味頼もしく思ったのが先般の議会運営委員会で、各会派の議会改革要望というか提案が提出され発表されました。


 次の通りです。


公明党

1. ICT化 同一機種の導入


日本共産党

1. 発議案(意見書等)の本会議で提案説明・質疑・討論保障

2. 開会時刻 午前10時

3. 予算(1定)・決算 質疑持ち時間制廃止

4. 予算(1定)・決算 質問とり禁止


船橋清風会

1. 予算・決算特別委員会の常任委員会化

2. 陳情の取り扱いについて

3. ICT化(同一機種の導入)


市政会

1. 傍聴規則の見直し


市民社会ネットワーク

1. 議会基本条例の制定

2. 代表質問制

3. タブレットと大型画面の設置

4. 発議案について質疑・討論する


研政会

1. 予特・決特の常任委員会化

2. 情報端末機器の自由化

3. 委員会中継設備の増設

4. 年1回議会(いわゆる通年議会)

5. 理念と基本方針の決議

6. 職員大幅増(調査秘書機能の設置)

7. 図書室の専門性の明確化

8. 司書配置

9. OB,OGの待遇基準整備(OB、OG室、親睦会費助成)

10. 議会役職等の点数数値化

11. 条ずれ項ずれ条例改正案の「専決処分」


 我が会派の自慢をするわけでもなんでもありません。

 残念なのが、新人議員さんがいらっしゃる会派は、旧態依然とした悪弊などを一掃するくらいの提案が欲しかったですね。

 

 そして提案し忘れていた事案を提案してくださった会派には感謝です。これからが楽しみです。