天才のフリをする天才が。
馬鹿なフリをした馬鹿を笑った時。
世の中が逆転した。
天才のフリの上手い天才はその先を見失い行き場を閉ざされ。
馬鹿のフリの上手い馬鹿は羽根を広げて大空へ飛んだ。
賢者の枝をくわえて。
あの天辺に巣を作ろう。
天才だと自負するフリの天才が、沈殿してゆく濁り水の底から無数の手を伸ばした。
馬鹿なフリの得意な馬鹿は、馬鹿と偉人の狭間に薄紙を一枚挟んだ。
相変わらず馬鹿なフリをする馬鹿は。
薄紙はそのままに。
本当に馬鹿なんだろうと思うことの偉大さに。
世の中をせせら笑った。
賢者である盲目という魂のサバンまで。
心の耳が研ぎ澄まされた。
明日。
薄紙の向こうの昨日。
斜め上。
それを思い出した。
意味は何もなかった。