典医寺にもチェヨンの
隠し子騒動は伝わっていた


まったくどうなって
いるのしら?
そりゃあ   
私の隠し子にするって
私のアイデアは
あっと言う間に
あの人に却下されたけど


そのようなことを
考えていたのですか?
それでなくても何かと
注目を集めるお方がまったく!
上護軍の苦労が
思いやられます


チェ侍医はチェヨンが
大切な妻を晒し者にすることを
何より嫌うことを
十分わかって言った


だってその作り話なら
信憑性があるじゃない?
それにしてもあの人の
隠し子だなんて
王妃様も真剣な顔で
大丈夫かと尋ねるのよ
「若き日の過ち許して
やるのじゃ」って
真顔で言われちゃったわ
勘違いだから
心配いらないって
言って来たけど
でも
もし本当なら許せたかなぁ


王妃様と公主様の
朝の回診を終え
患者の診察を始める前の
ほんのひと時

トギが運んで来た
お茶を飲みながら
ウンスは逡巡しながら
自分に問う

本当に
チェヨンの隠し子ならば
引き取る覚悟を決めただろう

過去のことは
変えることは出来ない
どうしようもないことで
立ち止まるより
なんとか咀嚼し受け入れ
前に進んだ方がいい

それにあの人に似た子供なら
きっと
嫌いにはなれないとも思った


人の噂は本当に
無責任ですね


今日は
妊婦の検診予定がないサラが
ウンスに
気の毒そうに言った


そりゃあ    本当なら
落ち込むかも知れないけど
でも絶対あり得ないし
うちの人もそう言ってるし


病室のイサの正体を
知っているウンスは
あまり気に留めていない
様子で言った


噂なんていい加減よね
最初は
チェ先生と私の隠し子
だったり
今度は天界時代の私の隠し子
そして
ヨンの隠し子だって!
正体見たら枯れ尾花って
とこかしら?


チェ侍医はふいに
自分の名前が出てむせ返る


大丈夫?
チェ先生


ああ   はい
あまりに医仙様が
落ち着いているので


まあね
私は噂に対する免疫が
みんなとは違うのよ
今までに散々チェヨンを
たぶらかす妖魔だとか
謀反人だとか
言われて来たから


ウンスはそれすら
懐かしむように
ケロリと言った


信じて欲しい人に
信じて貰えれば
私はそれでいいわ
それよりオ先生よ
今朝はまだ見かけないわね


ウンスは話題を変えるように
チェ侍医に言った


申し訳ありません
医官という立場を
少しきつく諭したかも
知れません
典医寺は立身出世の場では
ないと


そう
でもその通りだわ
チェ先生ありがとう
言いにくいことを
言ってくれて
人に注意するって
なかなか骨が折れる仕事よ
オ先生がわかってくれたら
いいけど
それに
サラにも迷惑かけたわね
責任者としての
私の力不足だわ


とんでもない
私こそお役に立てずに
申し訳なくて


ううん
サラは何にも悪くない
今まで通り
患者さんの為に力を尽くしてね


はい   医仙様


オ先生には自分を
見つめるいいきっかけに
なるといいんだけど
誰にでも今までの自分を
振り返るような時間は必要だわ
私も天界にいる時
いろいろあって医者を
辞めようかと思ったことが
あったけど
やっぱりこの仕事を続けたくて
戻ったことがあるの


そうでしたか


チェ侍医は神妙に頷いた


ええ   まあ心臓外科医から
美容外科に変わったけどね
それでも続けて良かったと
思ってる
だって続けたから
うちの人にも会えたわけだし
ここで私の医術が
役に立ってるもの
オ先生もここで辞めるなら
それまでの人よ
でもね
もし気持ちを入れ替えて
此処で頑張るって言うなら
その時はもう一度
機会をあげたいと思ってるの
いいかしら?チェ先生


ウンスはまっすぐ
チェ侍医に尋ねた


もちろんです
医仙様
私も此処で機会を頂き
今の自分がいるのですから


チェ侍医は微笑み
ウンスは微笑み返した


さ    患者さんを入れて
診察を再開しましょう
嵐のあとだから
怪我人もきっと多いわよ


オ・アムを気にしつつ
ウンスは皆に
はっぱをかけた


━─━─━─━─━─


ウンスが診察に
勤しんでいた頃
兵舎ではチェヨンが
不機嫌な顔をしていた


何処に行っても
隠し子の話題
面倒ゆえ   黙っていると
それが事実となってしまう
如何したものか


チュンソク相手にぼやいた


はっ
まことに
誰がそのような
根も葉もない噂を?
トクマンが
そのような話を作るとも
思えませんし


典医寺で若い医官の
思い込み話を聞いたトクマンは
関わり合わぬようにと
逃げ帰って来たようだと

美少年イサを典医寺に
運び入れたことを
知っているチュンソクは
テマンから報告を受けていた


当たり前だ
トクマンにこのような
大胆な作り話など出来ぬ
小賢しい真似をする奴
俺は一人しか知らぬぞ


まさか?
ですがまだ
ピョンナンドでは?


いや   きっともう
康安殿辺りに潜んで
成り行きを楽しんでいるのだ
まったく
何を考えておるのやら!


はあ


お許しになる
王様も王様だ


チェヨンは忌々し気に
呟いた


いっそのこと
イサをまことに
俺の子にするか?


半ば自棄なチェヨンに
チュンソクはしどろもどろ
そこへ
ひょっこりインギュが
顔を見せた


隠し子とは
上護軍もなかなか
どうして
隅に置けませんねぇ


しゃあしゃあと
のたまった


何を言う
どうせ
お前の差し金であろうが


さあて
何のことでしょう?
それより
集賢殿にお戻りください
やることが山のように
溜まっております
まったく少し留守をしたら
すぐこれだ
恋しい奥方様のもとへ
帰れなくなりすよ


インギュは涼しげな顔を
見せた


嵐のあとの高麗は
すっかり
冷たい風に変わった

過ぎ去ると
真夏の暑さが
恋しい気さえする
そんな
秋の空が広がっている


*******


『今日よりも明日もっと』
転んだら立ち止まり
そうしてまた
一歩前に進む
歩き始めたおさな子のように



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


ウンスが医者を辞めたくなった
haruの創作エピソードは
お話の最初の方にあります
忘れた方は覗いてみてネ〜〜


さて
今日は秋分の日
すっかり秋色
皆様
いかがお過ごしでしょう?

お彼岸のお墓詣りの方も
いらっしゃるのかな?

どうぞ
よい休日になりますように

また
おつきあいくださいませ



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


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たくさんの皆様に
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なお再開予定は今のところ
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ブログを継続するうえで
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〜私信です〜

h様
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妹の名ではありませんヨン