財政健全度指数 -2 その1の質問へのお答え | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

 その2では管理会社によるランニングコスト設定が良い例として、野村の”オハナ”の設定をとりあげようと思っていたのですが、その1に多分該当マンションの検討者さんからと思われるコメント・問い合わせがついていたので、先にそれにお答えします。
 
#どなたかが、該当マンションの匿名掲示板に、私のリンクを貼ってくださったようですが、正直にいってあんまり嬉しくありません。 その1のブログの趣旨は、『”駐車場代をほぼ無料”に設定して、”ランニングコストを大きく削っています”』と宣伝するという、私の考えとしては時代に逆行したディベロッパーにたいしての苦言であって、個別のマンションが推奨できるかどうかではないからです。
 
 駐車場代については、まともな管理会社であれば、周辺相場よりも”僅かに安め”に設定します。駐車場を中に契約したほうが明らかに有利であるぎりぎりの高い値段に設定するのが、管理組合のためになるからです。
 過去に、販売上有利であるからというので機械式であるにもかかわらずほぼ無料、あるいは自走式で完全無料といった設定を頻繁に行った前科のある会社に、日本綜合地所と、長谷工などがあります。(ほかにもありますが、この2社が代表的です)
 設定を見るたびに、掲示板(物件・会社)で考え直しを求めてきましたが、あんまり変化しません。
 
 その1でのみどり子さんの質問は2点でした。
以下みどり子さんのみにお答えする部分です。ほかの方は無視してください。
 
>ランニングコストの魅力で購入を考えています。

>(1)修繕費の計画で積み立て金額が変動することは理解しているのですが、
>それだけでは大規模修繕が行えないということでしょうか?
>(2)駐車場代は、一般的に修繕費として積み立てられるものなのでしょうか?

 
 でした。
ランニングコストの魅力で購入を考えるのがそもそも妥当か?が実は私には疑問です。
 
 もともとマンションってのは本体価格に比較して、設定されているランニングコストは非常に小さいです。 うちのマンションでいえば、全戸の定価合計は235億円しますが、修繕費について見れば、もともとの設定が1㎡120円の修繕費で、年0.58億円、2倍に値上げしましたが年1.2億円ほどで。1㎡240円と前回例にあげたマンションの4倍の修繕費に設定しても、わずかに年間の修繕コストは、マンション全体の新築時価格の1/200にしか過ぎません。30年で本体の15%です。一方で、あとで急に修繕費の上がる設定にするなどして、それに組合の合意形成ができなかった場合には、30/36年といったところでの工事が実施できなくなる心配があります。
 修繕費について最も心配すべきことは、もしずっとそのマンションに住むつもりなら、絶対スラムにはしないという水準を確保できているかどうかで、安いから魅力だという考えは非常に危険です。
 とくに修繕費は管理費とは異なり”マンションに住む全員での貯金”という性格のあるものなので、安いのを喜ぶというのは間違いだという意識改革からまず組合は始めないといけないんです。
 
 質問1についてですが、私はこのマンションの長期修繕計画および積立金計画をみているわけではないのでお答えが不能です。

 長谷工コミュニティなど大手の会社であれば、通常30年で破綻はしない計画を立てている筈ですが、現在65円/㎡と激安水準に設定されているものは、少なく見ても超長期での平均で150-200円/㎡程度にまで早期に値上げしていかなければなりません。通常5年ごとにかなりの値上げ率で値あげを繰り返していくという”予定”が計画内に組み込まれていますが、たいてい自動的に値上がりするものではなく、その都度”値上げ”の総会決議を総会で通さなければなりません。管理組合理事会側からみると、”値上げ”というのは最も難しい議案の一つなので、これを例えば5年ごとにくり返すというのはできれば避けたいと理事会に関与している人なら思うはずです。値上げに失敗すれば、そのマンションはスラム化の危機がありますが、築25,30年ともなるとかなりマンションの住人の高齢化が進んでいて値上げは難しいというはなしはよく聞きます。
 
 質問2についてです。マンションみらいネットで調べてみましたが、財務状態を登録しているマンション中、”駐車場代をすベて管理費側に充当している”マンションは約半数ありますから、修繕費への駐車場代からの振替が0というのは設定として、ありえないほどに珍しいわけでは決してありません。
 ただし、理事会の意識レベル(あるいは辣腕度)があがるにつれて、駐車場収入は、修繕費側に使うマンションが増えてきます。私を含む50人ほどの理事長でやっている理事長勉強会RJC48内で14マンションほどで調査すると、制度的に毎年修繕費に積んでいなくても、実際には毎年黒字を出した中から、修繕費に駐車場代収入の振替を行っていないマンションはわずかに3-4マンションでした。
 
 実はそのうちの1つがうちのマンションです。もともとの駐車場代が安い上に、管理費の設定も安いために、駐車場代の全収入を管理費に充ててぎりぎりなので、修繕費の不足は、すべて修繕積立金の大幅値上げでまかなうしかありませんでした。
 中古マンションとなると、駐車場は”空き有り”は大事ですが、駐車場代は仲介の情報として必ずかかなければならないものではありません。一方で、修繕積立金が非常に高額であるなら、これはかならず表記しなければならず、修繕費が高いマンションは、市場では敬遠されるために値下げ要因となります。
 
 ご検討のマンションは、駐車場代を周辺相場よりも約10000円安く設定しているために、将来的には近隣のマンションよりも、約10000円修繕費を高く設定しなければ、同レベルの修繕は実施していけないことになります。
(そして駐車場代は高くても不動産取引上では必須の情報から隠すことができますが、
修繕積立金を隠すことはできません)

 記事にあった約15000円のカットといっているうち、実際に管理が安いといえるのは、管理の委託経費の差額にあたる2000円/月だけです。管理費ももちろん安いないほうがいいに決まっていますが、管理費は殆どは人件費であるという性格があるので、安く管理するというのは多くの場合人を減らすことと同じになります。
 書かれている値段だと、多分管理人さんはひとりだけ週1日8時間勤務だと思います。戸数がかなり多いので、多分管理人さんはあちこち出かけていて、なかなか管理事務室では会えないといった程度には人を削っていかないと達成できない管理費に私には思えます。うちはカウンターに誰か常駐してもらわないとまわらないので、管理人さんは500戸強に対して4人にまで増員しています。
 管理組合がこのようにいろいろやろうと思って”裁量的”経費を捻出しようと思った場合に、管理費がぎりぎりなのもとても厳しい条件になります。
 
 どうしても私は”管理する”側から見てしまうので、管理費+修繕費+駐車場代を面積割して、199円という管理費の収入水準のマンションを買って、管理組合で理事長とかをやろうとは思えないです。
とんでもなく苦労するのが目に見えていますから。
(うちは同じ数字で見ると、既に可決すみの修繕費の大幅値上げこみで、144+248+98(駐車場分)で、専有面積1㎡あたりの組合の収入は490円、ほか駐輪場・バイク置き場などを併せて1㎡あたり約500円となっています。これで35年間破綻しないつもりになってます)
 
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 さて、私はこの収入では理事会は預かれんと運営する側からでここまで苦言を書いてきましたが、ご検討の駅に地縁などがあって、駅指定などの場合、中古マンションで10年近くたったものでも坪100万近くしていたりしますから、今回のマンションの価格はかなり魅力的なものだと思います。
 
 原状管理状態の良し悪しは、中古マンションの価格に殆ど影響を与えていません。
 積立不足などのリスクを考えた上で、将来最悪ならえいやっと一時金(ま戸あたり100万も集めれば大規模修繕は実施可能です)方式も辞さずで、購入されるのもありではないかと思います。その場合、理事会(管理組合)がまともであれば、まともであるほど、大幅な修繕費値上げがすぐにも提案されることが必須ですが、その時には是非賛成してあげて欲しいです。



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