マンション坪単価”下限”の計算式 | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

  前置きだけで1回になっちゃったのはこちら
 『マンションの掲示板ではなぜ皆”高い!”というのか?』
 → http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11289569262.html
 (直前にアップしてますので、よかったらこちらから読んでください)
 
  このブログは、ちょうど5年程度前に書いたものです。微妙に外したとこ
まで遡って書き直すのはあんまりフェアではないからそのまま。
書かれた時点では”プラウド新浦安”の価格は発表されていませんでした。
 
 --ここからは5年古いののコピーです-----------

 前置きが長いですが、マンションの”原価率”の話。
 
 戸建ての値段って、土地買ったあと建坪あたりいくらとかなるから見れば
土地価格がわかればまぁ、できあがりの値段は”読み”やすいですね。
 
 一方で、マンションは、デベロッパーが土地を落札して、ゼネコンに作らせて、
それにモデルルームやら、販売経費やらかけた上で、ちゃんとデベだって
利益ださないといけません。 価格ってどう決まるのでしょう。
 
 よーく、マンション系の本にでてくる、コスト積み上げによる価格の計算式
があって、
 
 (土地仕入れ坪単価/容積率 + 60-70万 ) * 1.4 ーー※
 
が、出来上がりのマンションの坪単価で、この価格で売れないようでは、事業化が
困難
ってものです。 住まいサーフィンではおなじみ碓井さんの本にも、これが
周辺相場よりずっと高いようだと無駄なので、最初からボリュームチェック
(容積率を法令範囲で完全消化できるかどうかを確認する簡易図面おこしのこと)
はしませんって出てきます。
 
 最近は、廊下とかは例え内廊下でも、容積率計算には入らないので、普通の立地
なら容積率200%使い切った分は、殆ど専有面積に化けますから、
もし土地を坪200万で仕入れて、200%容積率でマンションにしたら、買う人は、
専有面積あたり100万 ”原価”で払ってねってのが原価の第1項。
 マンションの土地取引は、”容積率”の売り買いですから、公開空地でも利用して
アップできるなら、その分高く入札が可能です。
 
# よくタワーなら高層化できるから安くなっていいはずという書き込みがなされる
けどこれは話が逆で、一杯容積率が使えるなら、(※)の式の結果グロス価格で
その地区の一般(?)の給与所得者がまぁ頑張ればぎりぎり背伸びして買えないこと
もない値段になるように、土地の入札価格が決まるわけです。全く同じ土地を戸建て
に利用する場合に比較すれば遥かに高い値段になります。
(逆にいえば、都内でも広く住みましょで、より国土の狭いシンガポールや、お隣の
韓国のマンションがほとんど100平米超えなみたいに、100平米を下回るマンションは
税制上非常に不利とか(現行登記面積50平米以下ではローン減税がない)やって
しまえば、そのように原価が調整されるんで、日本のマンションだけなぜか非常に狭い
ってのは政策で広めに誘導可能だと思うんだけどな)
 
 ...脱線したのを戻そう。。。
 
 またタワーとかでない限りは、ゼネコンに支払われる建設坪単価は、まぁ最近
では70万/坪はかかりますねってのが第2項です。
 出来上がりが、150万/坪下とかで売らないといけない地区では、戸建てとかとの
競合もありますから、共用設備を立派にするとか(立派なゲストルームなんてのが
ありがち)の一方で、建設単価は落とすしかありません。
 そういう場所では、2重床/天井がいくらいいといっても、無理ですよねぇ..
某先生の発言は、都心以外じゃ買ってはダメ;あるいは、お金持ち以外はは
マンションなんか買うなっていっているのと等価でちょっとなぁとか思うのですが、
それもさておき。
 
 売値に対する原価率70% として、1/0.7 ってのが最後に掛け算されている1.4倍。
 
 マンションは土地仕入れから、売るまで年単位でかかるので、その間の利息負担
ってのもありますし、モデルルームにもお金がかかるし、1戸あたり100万オーバー
なんて宣伝費もかけます、また建物にはちゃんと消費税もかかっていますし。
 それでもマンション専業のデベは 10-15%とかの売り上げに対する利益を
上げているのが普通ですから、原価率を、70%よりもずっと大きくすることは
まぁ実際には困難でしょう。
 
 無論。これは、値段の下限で、株式やるひとなら PBR 1倍未満はありがちでない
(ことも最近ないですが。。。)ってのと同じことで、株同様”上げ相場”のとき
にはこれでやっても値段はあたりません。買い手さえいればこの値段より上で
売れるなら売ってしまうにしくはないわけですから。 
 一方で、これよりずっと下の坪単価を期待したとしても、デベも慈善事業で
やっているわけではないので、これ未満の値段で売ってばかりいては立ち
行かなくなります。ということであくまで”下限”を求める式ですね。
 
 土地負担なしで、ざっくり100万/坪になりますから、それより出来上がりが
高くなっている分が土地負担分ですね。
 150万/坪のマンションは、殆ど建物を買っているわけですし、
 300万/坪のマンションは、殆ど土地を買っています。
(タワーには微妙に当てはまりません、超高層認定はいらないせいぜい20階建て
 以下の場合だけです: タワーの場合の原価計算はもちょっと複雑です)
 
 実際、300万*0.7-70 =140万/坪 ってのが300万/坪マンションの
”土地原価”ってことになりますけれども、都心部のマンション、築30年とか
たっていても、まずなかなか新築価格の半値以下に値落ちしているものでは
ないですから、一応理屈としてあっていると思っていいんではないでしょうか。
 坪150万のマンションは、更地に戻した価値は35万/坪に過ぎないわけで、
郊外のマンションの値落ちは、買い替えを考える場合には厳しいものがあります。
 
~~~~ ここからは上の実例でおまけ。上がっているのはプラウド新浦安
 
 大型物件の場合、土地の入札価格が公表されているものも多くなるので、
価格の下限は読み易くなるはずです。
 最近入札のあったすごく分かりやすい例で考えてみましょう:
 千葉県の Sというところ(ホーンテッド"マンション"のお隣ですねぇ..)で、
駅2.2Km の地(最近M不動産が話題の大型マンションを売ったお隣)で、
何故か線路脇物件が大好きなN不動産が、落札した土地を例にとって計算
してみましょう。
 
 建通新聞ネタをメモっておいたのでは、
 
 落札は、予定価格の約2.5倍 21,021,427,000円
面積は、4万4525平方m(登記簿面積)。用途地域等は、
第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)、第2種高度地区。
 
 1ha あたり50億ってのは、ついこの間までの豊洲の落札価格ですね...
 
 もともと、戸数を絞るというくだんの市の方針で 734戸以上
”立ててはいけない”という条件で入札されてます。 実は2年ちょっと前に
一度入札がなされていたのですが、手続き的な不備かなんかで、お流れに
なっていた昔の価格の優に2倍以上で、この価格を聞いて、他の不動産会社が、
驚いたそう。

200% 容積率を殆ど 専有面積に化けさせると 合計~90000㎡ とれますけども、
なにせ734戸以上”作ってはいけない”のですから、平均で 120㎡/戸とかの
専有面積で作るしかありません。
1戸あたりの土地仕入れ単価は 2860万円になります。
 
 仕入れは坪あたり、156万なので、容積率200%の最大限利用を考えて2で割ると
78万。これに 建築コスト70万を足して 1.4倍すると、207万/坪ということで、
このマンションは坪200万切って売ったら儲けがちゃんとでないということに
なります。
 平均 120㎡ = 36坪という広さと合わせて計算すれば、ティピカル住戸の価格は
7000万円台半ばということになります。
 
 決して都心部とはいえない駅からバス便の地に、7000万円台がボリューム
ゾーンといマンションができることになります。
買い手が734組もいるのでしょうか。お金持ち多いなぁ...
 
いや... 秋からの新価格の代表例として、雑誌にでていたのですが、
凄い時代になったものですね。 業界関係者は”興味津々”だそうですが。
 
 ~~~ (結果は、結構長期に売れ残りってんで今書いてる後日談)
 
 結果は、全戸平均では200万ちょい上で、中層から上ではずらっと
7000万台でした。匿名掲示板にざっくり@200と書いたら、お前売り主か
とかいじめられたけど、ここまで仕入れ単価がはっきり判ったらピンポイント
で予想できるよなぁ。。。
 
 まぁ一応あたり。戸当たり平均面積は、バルコニーを広くとって、2mを
超えるバルコニー幅の部分(2mまでしか容積率参入除外されない)に
容積率を”捨て”てバルコニー幅を確保してきたのでもちょっと狭かった
ですが。
 
 ミニバブル期の代表的な物件で、近所に割と仕様レベルも近い”三井”の
大規模で、竣工時期が1年違ってなかったのに値段はまるで違っていた。
 こちらは、液状化の影響を敷地部分が大きくうけ、三井のほうは大丈夫
だったってこともあるけど、こっちが3割弱下がり、三井は1割弱で
今の坪単価は全く同じ平米46万程度での成約になってますね。
入札価格にはちょっと無理があったといえるでしょう。
 
 値段が急激に上がっていく地区の最後の分譲物件は、それ以上上値を追う
には厳しいので、あくまでも資産価値保全からはあんまり手をださない
ほうが吉という教訓は、典型的には再開発系などではまぁ多いかな。
豊洲なんかは割と典型例じゃないかなぁ。だんだんに値上げしていくのは
あたり前として(さすがに再開発立地で後が前より安いはありえん)
デベは入札で競り合うせいか、急に値段を上げ過ぎじゃないかなぁ。
(売れれば文句はいえないけど)
 

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