その10の続きです。
その8で書いたようにただ1回の値引きで早期に成約に持ち込めるためには
相場+5%の値段付けが大事としましたが、その10での特殊性の補正を含め
どのあたりが現在の相場と思うかです。
なお、このような要素積み上げでの機械的な算定方法は、経験値の低い仲介
営業の人でも値段を大きくはずさずにつけることができることから、大手の
仲介業者などでよく用いられている方法です。多数の例外がありますが、
仲介でもベテランの人でないと特殊な事例の判定は困難ですから無視します。
[1] 基本の売り出し価格
売り出し価格は全戸平均では、住まいサーフィンや、レインズなどで
検索をかけた結果で概算を推定可能です。 この値上がり・値下げ率を自分の
部屋のもともとの定価に掛け算します。
これに以下の補正をかけます。同じマンションの中での新築時の坪単価の価格差は
賃料には殆ど全く反映されませんが、中古相場では半分程度には残っています。
以下、基本は近郊・郊外で向きによる日照や、高さによる景観などの特殊性が
ない場合で、都心タワーみたいに、北向きにプレミアムがついたりするなどの
例外はいくらでもあります。あくまでも平均的なファミリー用の場合ですね。
[2] 開口部の向きによる補正
棟がいくつもにわかれていて、特に南向きとそうでない向きから
構成されている場合 先の[1] の価格に、
開口部が南向きでない場合 +5%
開口部が南向きの場合 -5%
程度のの補正をかけてください。
(これは新築時の向きによる価格のプレミアムが中古価格では
消えている分です)
[3] 階数による補正
[2] で得られた価格に、自分の部屋が棟の平均の高さから大きく階数が
ずれている場合 高層階では-の、低層階(特に1-2階)では+方向の補正を
加えてください。おおむね、新築時の価格差が半分程度は消えていると思うと
実際の取引例ののりに近くなるように私は思っています。
うちのマンションだと 1F の場合 +7% 2F の場合 +5~6% 3F の場合 +3%
以後平均的に中層階(基準階)で、0% 20階を超えるような高層階で -3%
程度を補正ではないかなと思っています。
*高層階であることのメリットは価格面では生かしにくいですが、妥当価格を
つけた場合の成約までのスピードにはかなりの影響はあります。
[4] 広さによる補正
[3] で得られた価格に、自分の部屋が90㎡を超える広さであるような場合や、
角部屋などにあたっている場合には、-3~4% ほどの補正を加える。
90平米超え・4LDKといった間取りには中古では需要が少ないので、
長期戦を覚悟するほかなく、70-75平米と同じ程度の期間で売却を考えるなら、
通常で1月ー1月半長期化することに対応する補正が必要な分の補正。
都心部や、タワーの角など、グロス価格の上昇が問題とならない部屋では
これは当てはまりません。
[5] 時点補正
近隣マンションの相場から、今までに中古として値段がこなれてきた分とは別に、
経年に伴う新築価格あたり1年に2%程度(10年で20% 程度の目減りをします。
-ただし、長期的には築20年のマンション価格は、”その時点での”新築相場の
50-60%という値段の決まり方をしますので、新築の不動産市況の影響は
もちろんうけます。
現在、新築価格が割と堅調に推移しているので、中古の目減り率は比較的少な目です。
何年かたって計算する場合には補正をかけてください。おおむね20年で半値になります。
[6] 各種オプションの設定
もともと全戸完備の床暖房の有無(これは相場にかなりの影響があります)
を除いては、各種Option (後付けの意匠合わせの棚など)は、つけた人には残念
ながら中古価格査定には殆ど反映されません。いろいろこだわりもあるでしょうが
”有無での補正はなし”です。
売る際のマンションリフォームは、収納の新設などではなく。壁紙(クロス)の
全交換が基本です。 1000番代で張り替えても、まぁ大したコストではない割に
ずっときれいに見えますから効果はそのほうがはるかに大きい。
クリーニング業者を入れるほか、壁紙の張り替えは是非考慮してみましょう。
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相場というのは、買いたい人からみた値段の決め方です。築浅で、転勤などで
どうしても売ってでていこうという場合、やはり住んだ年数が短いほか、
3%の手数料もとられますから、せめて購入時価格程度はと思いやすいくて、
最終的には売主が決定する売り出し価格に影響を与えやすい気がします。
購入時諸経費を含めて、3%手数料をとられても損しないためには+10% 近くで
売り抜けるしかないですが、まずめったに可能なものではありません。
その12に続く。相場価格から、自分の部屋の売り出し価格を自分で決めることが
できるようになったところで、実際にどのように仲介不動産屋さんを使うかです。
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