昨年11月頃だったか。

「御成の師匠」と咄家のように家では呼んでいる、鎌倉はじめ湘南地域にて飲食店やショップを展開する音楽の旅人、
黒澤さん(栗沢右近氏)からいただいた音楽の仕事。

松本ノボル&オルタナティブ・ブラッズや、自分のユニット、CCHで一緒に活動しているヨシイヒロミさんと二人で頼まれたのだが、鎌倉出身の世界で活躍中のダンサー、OBA氏の舞踊のバックの曲を演奏するというものだった。
http://obadance.com/


鎌倉の春夏秋冬それぞれの景色の中で繰り広げられる、生と死のドラマを肉体で表現するという、観光地真っ只中のゆるゆるな気持ちで見たら、かなりハッとさせられるような映像である。
まあ、鎌倉は今でこそ住宅地であり観光地であるけど、もともとは多くの政争・抗争の中で大殺戮が繰り広げられた歴史のある土地である。

けど、それはさておき、
常に死を忘れず瞬間瞬間を生きる、という我々が常に背負う命題(日本だと本当に感じづらい感覚だけど)に向き合う内容であり、自然の中に生まれ、散っていく命を見つめ詩歌として表現してきた「日本のこころ(あんまり使いたくないんだよなぁ、こういう言い方・・・)」を表すことで四季折々の風土を感じさせたい、という狙いがある。
「体花奉納」という題は、まさにふさわしい。

色々な視点で鎌倉を見られるようになってこそ、上級者なんかな。

と、鎌倉大好きな私は思った。
http://tsunaguproject.com/category/film/

この映像、バックの音楽がそれぞれの季節でかなり違っていて、いずれも黒澤さんのオリジナル。中にはかなり即興的要素が多いものもある。
いずれも作曲・アレンジ・プロデュースの黒澤さんとレコーディングの中本将夫さんが、演奏にもたずさわっている。

春は中世ヨーロッパの宗教歌曲風の合唱に、クリスタルボウルの神秘的な音がからむ。

夏はスティールパンによるアンサンブル。

秋はケルト風味。

冬はジャズカルテット。

踊る場所もそれぞれ違う。

さて、私達の担当した季節は、秋。
映像でOBA氏が踊っていた場所は、覚園寺と獅子舞のあたり。
自分の好きな場所だったのはうれしい。
曲はケルト文化圏伝統音楽風味の全曲オリジナルで、リズムはダブルジグとスリップジグとリールとポルカ。
ヒロミさんは、コンサーティーナとフルート。
私はハーモニカ。
そこに黒澤さんのギターと中本さんのフレームドラムが加わる。
ちょっと(かなり?)変則的な編成。

ヒロミさんいわく「けっこう難しかった」と。
私にとっては、どの曲もみーんな難しいんで、よくわかりませんでしたが…

年一度、舞踊のステージで演奏する現場があり、そのときの感覚と共通していて。

リズムへのシンクロ感・タイトさはシャンノースダンサー(アイリッシュステップダンス)に匹敵するか、はるかにしのいでいる。
ステップ音とかじゃなく、指の一本が、視線の動きが、服の揺れが、リズムと必ず同調する。

鎌倉の景色は、一歩一歩自分の足で行かれる範囲で見てこそ面白い。
そう再認識した。

映像で、自分の音楽が使われるのはひさしぶり。

この映像は、若宮大路にあるビル 「M's Ark KAMAKURA」の二階で上映してます
http://www.msark-kamakura.com/

よろしければどうぞ見てみてくださいまし。
全季節の映像が流れるかわからないけど。