チェ・ゲバラといえば、フィデロ・カストロと一緒にキューバ革命を先導した英雄として知られています。その彼が執筆した回想録『The Motorcycle Diaries』(邦訳『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』)を題材にした映画がこの「モーターサイクルダイアリーズ」です。 
 23歳の若き日のチェ・ゲバラと相棒のアルベルトは南米大陸横断の1万キロに及ぶ旅に出ます。そこで起こった様々な出来事や巡り合った人々が彼らを少しずつ変えてゆきます。

監督は人間を描くことで評価の高い、ウォルター・サレス監督です。チェ・ゲバラを英雄として描くのではなくて、等身大の若者として描いているところに好感が持てます。23歳のどこにでもいる若者が、自分の将来に疑問を抱き旅に出る。そしてその旅の道程で、自分が何をするべきかを悟っていく。この過程の描き方が非常にしっかりと描かれていて素晴らしいです。

若者から大人へのアイデンティティの形成、その瞬間に立ち会った時、あぁ私も旅に出なきゃと思いました。

チェ・ゲバラを知らなくても青春ロードムービーとして楽しめますが、やはりネットなどで調べていくことをオススメします。