境界線② アダルトチルドレンの心 | きららの心理

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アダルトチルドレン専門カウンセラー
心の在り方について綴っています

さて、前回の境界線の続きです。
前回は境界線がなぜ必要か、ということを中心に書いてきました。

今回は、なぜ、境界線を引くことが出来ないのか?
ということ考えてみたいと思います。

前回の記事はこちらから 「境界線」

なぜ、境界線を引けないのか?
それは、いつも自分が境界線を侵されて来たからです。
多くは、親が境界線を引けなかったからです。
親が境界線を引けないのですから、境界線を引いた状態がどういうことなのかを知ることが出来なかったのです。

あなたは親のいい子でいる為に、自分を抑圧していませんでしたか?
親から認めてもらい、受け入れられた という思いを感じて来ましたか?
自由に自分の意見を言える環境でしたか?
あなたの家族は、個性を大事にしてくれていましたか?

境界線を引けない人は、自分が悪いのではないか という罪悪感を強く持っています。なので、人に何かをしてあげることで、その罪悪感を消そうという心の働きがあります。
罪悪感には、嫌われたくない、嫌われたら自分の存在価値が無いと思ってしまうので、見捨てられ不安を感じるのです。それは常に親との関係でそう思わされて来たのです。

自分の価値を自分で認めることが出来ないので、他の人に認めてもらうことで、価値を見出すのです。この思いは、他の人がいないと生きて行けないという思いになります。

境界線を引けないのは、人は人、自分は自分 という区別をすることが出来ずに、頼まれてもいないことに、深入りします。
人は人と思うことは冷たいのではなく、他の人を無視することとは違います。
自分は自分と思うことは、他の人を受け入れない事や拒むこととは違います。
周りは関係ない、自分さえ良ければそれでいいんだという思いとは違います。

境界線を引くことは、自分も他の人も大事にすることなのです。
自分を大事にすることは、自分を信頼することであり、自分を信頼出来ると他の人も信頼出来るようになるのです。

あなたは誰の為に存在しているのか?
他の人は誰の為に存在しているのか? 
あなたはあなたの為に存在しているのであり、他の人は常にあなたの為に存在しているのではありません。

人は誰の為でもなく、自分の為に存在しているのです。それは、自分中心に考えるという傲慢な思いとは違い、人と協力しなくてもいいという事ではないのです。

あなたが誰かに幸せにしてもらいたいと願う時、境界線を引くことが出来ない人になっているのです。
他の人はあなたを幸せには出来ないのです。
誰がいても、何をしてもらっても、あなた自身が幸せと感じなければ、幸せではないからです。

自分の悩みや何かを決断しなければならない時、友達や家族など身近な人に相談をすることがあると思います。
相談をするのは、話を聞いてもらいたい、いろいろな意見を聞きたい、背中を押してもらいたい、どうしたらいいのかを教えて欲しい
だいたい、このような思いで誰かに相談するのだと思います。

いろいろな意見を聞きたい人は、自分で物事を決めることが出来ます。人の意見を聞いて、自分なりに取り入れて、参考にして行きながら、最終的には自分で答えは決めるのだと思っています。

背中を押してもらいたい人は、答えはもう決めてあるのです。ただ、他の人が自分の考えを肯定してくれることによって、「やっぱりそうだよね」 と自分の考えを確認したいのです。

教えて欲しい人は、最終的に自分で決めることが出来ません。他の人のアドバイスも 「自分には、出来ない」 と言うのです。教えて欲しいと思っているはずなのですが、実は自分の思っているような意見を言ってもらえないと拒絶してしまうのです。

教えて欲しい人は、境界線を引くことが出来ない人です。
なぜなら、自分の思っている言葉や意見を言ってもらうと、その相手に依存し、境界線を越えようとするからです。
その意見が上手くいかなかった時には、その意見を言った誰かのせいにするのです。責任を自分で抱える勇気がないのです。

境界線を引けない人は、依存心が強く、誰かや何かが自分を何とかしてくれるのではないかと期待している人です。
これは、心が弱いとか、強いとかではなく、親からの刷り込みや親との関係でそうせざる追えないのです。

境界線はあなたを守り、他の人を守ります。
相手の領域と自分の領域を区別することで、自分のニーズを大切にしながら、相手を尊重し、共存して行く為に、必要なことなのです。

どんなに愛している人でも、近づき過ぎると、煩わしく感じたり、重いと感じたりします。
それは、人には居心地の良いと思う距離が必ずあるからなのです。

違いを認め合い、この距離を保つことが境界線なのです。

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