友人のテンションで気づいた「自分の言葉」を引き出す視点

・「あなたにこれを、どうしても教えたい!」という視点です。(p27)


「人を動かす伝え方」には3つの大きな勘違いがある

・言葉で人を動かすことは、決して数多くのテクニックを習得した「プロだけのワザ」ではありません。(中略)

 あなたを"動かした"のは、会話のテクニックではありません。空いたがもともと影響力を備えた人だったからでもありません。言葉は拙くとも、彼らの言葉に共感したり、驚いたり、おもしろがってテンションが上がった自分がそこにいたからです。

 これこそが、人を動かす力の本質です。

 そして、言葉にそのような力を与えるのが、「教えたいこと」という視点なのです。

 (中略)

 しかし、「教えたいこと」と聞くと、ただ自分が「言いたいこと」を話せばいいの?と考える方もいるかもしれません。でも、「言いたいこと」と「教えたいこと」は同じように見えて微妙に違います。(p45)

 

 

あなたが「言いたいこと」は、私にとっては「マジどうでもいい」

・「教える」というのは、「自分が教えたい」ではありません。「あなたに教えたい」なのです。

 一人称ではなく二人称。これを知らないと「言いたいこと」を話すだけになり「マジどうでもいい」から抜け出せなくなってしまいます。(p50)


「教えたい」は、「言いたい」と「認められたい」の中間視点

・そもそも「教えたい」という感情は、本音がベースでないと決して湧き上がってこない感情です。

 この本音を抑えてまで「認めてもらおう」と考えてしまうから、自分が思っていることをセーブしたり、相手の枠の中に収まろうとしたりして、自分が消えてしまうのです。

 本音を残したまま、相手の事を考えて「教えたい」ことを話す。

 これなら、自分本位ではないけれど、自分の主観が自然と織り込まれる。どこか借りてきたような無味乾燥なレンタル言葉ではなく、しっかり”あなた”を感じられる。このとき初めて、人を動かす力を持った言葉になるのです。そして、これを無理なく自然に引き出すことができるのが「教えたいこと」メソッドなのです。(p56)

 

・「教えたいことは何か?」という視点で自分の中から言葉を引き出せば、これまでとまったく違う言い方ができるようになります。(p64)

 

 

「本当に教えたいこと」を書いたら、読者に「人生が変わった」と言われた

・教えたいことで人を動かすということは、その人のためにもなりますが、何より、自分自身が幸福でいられる、ひとつの方法論とも言えるのです。(p71)

 

 

人を動かす「自分の言葉」を引き出すメソッド

・手順は非常にシンプルで、大きく3段階に分かれます。(p75)

 

ステップ1 「自分の言葉の作り方」を身につける
  感情の「震源地」に目を向ける

ステップ2 「相手を動かす言葉の選び方」を身に付ける

  誰に話すかによって、話すポイントを決める

ステップ3 「言葉の力を強くする方法」を身に付ける

  なぜ「教えたい!」と思うのか、理由を付け加える

 


ステップ1 「自分の言葉の作り方」を身に付ける

・自分の言葉を作るためには、概要を伝えることよりまず、自分の感情が揺れた「震源地」を、自分で明らかにすることが大切です。(p79)

 

・「あらすじ」を付け加えてみましたが、大切なのは、「教えたいこと」→「状況整理」という順番で考えることです。左記に状況整理をするのは御法度なんです。(p81)

 

 

ステップ2 「相手を動かす言葉の選び方」を身に付ける

・「自分の言葉」を発信したいとき、「切り口を変えよう」「斬新な切り口を探そう」と考える方は多いようです。でも、「切り口」のイメージはなんとなくわかっても、どこかぼんやりしていて、「切り口切り口……」と呪文のように唱えるだけになってしまいがち。

 そこで、「切り口」という言葉をやめて、「誰に教えたいのか?」という楔(くさび)を打つことで、視点をはっきりさせていきましょう。

 たとえば、いつも同じようなコメントになってしまう、たまには違うことを言いたい、と思ったら、「教えたい人」を変え、違う人を想定してみましょう。これだけでびっくりするぐらい多くの要素が身分から出てきます。(p111)


ステップ3 「言葉の力を強くする方法」を身に付ける

・教えたいことを引き出すために、最後に知っておいていただきたいことがあります。これはとても重要なことです。

 それは、「教えたいことは、なんでもいい」「不正解はない」ということです。

 自分が「あ、これを相手に教えたら喜んでもらえるかな。共感してくれるかな。びっくりしてくれるかな」と思ったこと、それが「教えたいこと」です。それだけでいいんです。(p120)

 

 

教えるつもりで学ぶと、インプット効率が格段に上がる

・これから何か勉強する人は、「今自分が学んでいることの、どこを人に教えようか」という視点で情報を吸収してみてください。そうすることで、自分の勉強観が変わります。そういう視点を持つだけで、何倍も楽しく、しかも自分の視点から情報をまとめることができるようになります。

 自分の経験を振り返ってみても、普通に勉強したところより、人に教えたところのほうが、記憶がしっかり定着しています。もちろん当時はまだ「教えたいことを思い浮かべれば勉強に役立つ」なんて明確にとらえてはいませんでしたが、結局はそうなっていました。

 そもそも、人は、ただ話しを聞いたときより、それを教えたときの方が、圧倒的に情報が定着します。あるアメリカの調査機関によると、「話しを聞くだけ」では、講義内容の知識定着率が5%しかなかったのに対し、「ほかの人に教えた場合」は、知識定着率が90%もあったようです。(p128)


まわりの人に、自分の意見をもっと提案してほしい

・なので、表現を変えます。チームが抱えている課題や改善点、部下が感じているとを吸い上げやすくするために、部下に「教えたいこと」を問うのです。

 たとえばこんな言い方ができるでしょう。

「現場から見たチームの改善点とか、目に付いたことを教えてもらいたいんだけど、どんなことがある? オレ、最近現場出てないからわかんなくて」

「教えてもらいたい」という姿勢は、相手との心理的距離を縮めます。情報を引き出すという意味では「何かあったら言って」と同じことです。でも相手が受けるニュアンスが大きく異なります。

 このように問いかければ、部下も話しやすくなります。メンバーが意見を言いやすくなれば、チームにとって必要な情報がどんどん集まるのです。(p152)

 

 

タイトル「○○さんの意見を聞いてみたい」と言われる存在になりたい

・社内で「あなたの意見を聞いてみたい」「○○さんに相談してみれば?」と言われる、信頼されている人がいます。

 仕事中に、上司や同僚が、あなたに意見を求めてくる。そんな存在になるためには、「自分の言葉」が不可欠です。

 しかしここで、ジャッジ&ダメ出しをしてしまう人がとても多いのです。「これについて、どう思います?」と相談されると、ついつい自分が思う”正解”を押し付けてしまう人がいます

 でも、相手があなたに相談をするのは、「正解を教えてほしいから」ではありません。人が「意見を聞いてみたい」と相談を持ちかけるのは、その人が違う視点を提供してくれるから。気づいていなかった点を気づかせてくれる、と期待するからです。(p154)

 

・「そのビジネスプランではうまくいかないと思うよ」と伝えていることには変わりありません。でも、ジャッジしているのではなく、ぼくが彼に「教えたいこと」を伝えただけです。もしそうしていれば、彼は改めて考え直したプランを持って「また意見を聞きに来た」とやって来たでしょう。

 会社内でも同じです。「この企画書、どう思います?」「あの提案について、意見を聞かせてください」と相談されたとき、”ジャッジ”を避け、「教えたいこと」を伝えるようにしましょう。

 これまでのやり方で、自分の言葉を言うようにすれば、それだけで相手とは違った視点を提供していることになるのです。(p156)


「今度詳しくお話しを聞かせてください」と言われる自己紹介をしたい

・「富士フイルムで企画の仕事をしています。まだ社内で誰も見向きもしてくれないどころか、謀反者扱いされるデジカメの事業で、毎日四苦八苦しています」

 こう話せば、「新規事業は大変ですよね(苦笑)」「やっぱりデジカメの事業がこれから伸びそうですか?」など、まわりがリアクションしてくれそうです。

 自分の仕事・商品について「教えたいこと」を話そうとすると、どうなるか試してみてください。

 あなたの仕事・商品のこれを教えたい! と思うことは何でしょうか? ちょっとした自慢話かもしれません。誇らしく感じていることかもしれません。

 でも、相手に興味を持ってもらえる話につなげられるよう工夫すれば、ちょっと自慢が入っても、相手にあなたの印象は残りやすくなるはずです。(p160)

 

 

お店のコンセプトを発信して、「ファンになりました」と言われたい

・お店や会社のファンになってもらいたい場合、一方的に自分のこだわりを言うのではなく、「お客様のためにこれを教えたい」という点に絞って伝えることが大切です。(p164)


「私も今度買ってみよう」と言われるプレゼントを贈りたい

・もともとその商品に精通していなくても構いませんし、買いに行ったそのお店で初めて知ったことでもいいんです。自分が品物を選びながら、「あ、これはおもしろい!」と感じたポイントを「じつはこれ、○○らしいんです」とひと言添えるだけで、受け取った側の気持ちはかなり変わります。

 同じ品物でも、こういうコメントがついていると、まったく印象が変わります。相手が好む品物を選ぶのではなく、相手に教えてあげたいことを添えて、一緒に楽しむことができたら、最高だと思いませんか?(p174)

 

 

「もうちょっと話したいな」と思われる楽しい雑談がしたい

・その場その場で相手から教えてもらいたいことを聞きます。自分が相手に興味を持ち、「それ、おもしろい! もっと教えて下さい」という姿勢で質問したら、気を悪くする人はいません。相手も抵抗なく話してくれるでしょう。

「教えたいこと」で話し、「教えてもらいたいこと」を聞く。細かいテクニックはいりません。これだけで、「もうちょっと話していたい」と思われる雑談ができるようになります。(p180)