発達障がいの子ども・お金のこと・親が亡くなった後のこと | カイとわたしの場合~オーストラリアx自閉症xシンプルライフ

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高校生になった自閉症児カイと、シングルマザーのわたし。オーストラリアはメルボルンにて、ふたり暮らし。そんな私たちの毎日を綴っています。

久々に日本から本を取り寄せました。

さっそく読み始めた一冊目は、こちらの本です。

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発達障害の子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと
平野厚雄 著


この本は、ご自身も自閉症のお子さんを育てていらっしゃる父親であり、
現役ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士としても活躍されている平野さんが、
障がいのある子供を持つ親御さんに向けて
「子供のために、親ができること・しなければいけないこと」を
非常に分かりやすく具体的にアドバイスしているというものです。


読んでみて私が良いなと思ったのは、
この本がただお金や年金、遺産相続などのみについて書いてあるのではなく、
所々に障がいのある子供を持つ親の視点での考え方なども散りばめられていたことです。

本の最初のあたりに、子供の障がいが診断された頃のこと、
そしてそれを受容することがいかに大切かについて触れています。

本文の一部を抜粋させていただきますね。


(前略)障がいをもつ子どもが生まれてきた家庭が、
今後の人生に希望をもち明るく生きていくために、
まず必要なことは何かというと、
事実に対して自ら選択をするということです。
その選択は、子どもの障がいを「受容する」という選択です。

 ここで強調させていただきたいことは、
これは親の選択であるということです。
その選択の結果が現在の自分であり、
これからの選択が自分の未来を決めるということです。
そして、「子どもに障がいがある」ということは変えられない事実」で、
変えることができるのは自分の考え方と行動です。
つまり、大切なことは、焦点を当てるべきことは「変えられない事実」ではなく、
変えられる自分の考え方と行動であることを知るということです。


第1章 ライフプランについて考える
P27より


このように、お金や年金の専門的な話だけではなく、
著者のお子さんの障がいや人生に対する考え方なども書かれています。

まず、受容が出来て初めて子どのためのライフプランを設計できる。
まったくもってその通りですね。
そうでなければ、「子どもにとって一番いい」ライフプランを作ることは出来ませんよね。


ということで、この本はFP&社労士である平野さんが、
そのプロの専門知識をフルに使って、
障がい児の親という立場も踏まえて
私たちのライフプランの設計のお手伝いをしてくれるという素晴らしい一冊なのです。

こういう本って、障がい児育児関係の本の中で今までありそうで無かったですよね。

私たちは実際は日本在住ではないので、
この本に書かれている具体的な保険、年金、ローンやその他の相続税の話などは
直接的にはカイくんのライフプラン設計の参考にはならないわけですが、
障がいのある子どもの為のライフプラン作成の基本理念のような部分が大変参考になりました。

その他にも、東日本大震災の際に、息子さんが偏食の息子さんが唯一食べられていたという特定の銘柄のパンが入手しにくくなってしまい、
そのパンを手に入れるために奔走したという話など、
自閉症児の親ならではのエピソードも満載で
「わかる、わかる~!」とものすごく共感できました。



この本は、序章の『発達障がいとは』という自閉症等の説明から始まり、

1章 ライフプランについて考える
2章 「お金」について考える
3章 「教育」について考える
4章 「住宅」について考える
5章 「リスク管理」について考える
6章 「保険」について考える
7章 「障がい年金」について考える
8章 「相続」について考える
9章 すべてのことに「感謝を」

と、障がいのある子どもを育てる親なら知っておきたい知識を、
プロの視点と障がい児の親の視点の両方から的確にアドバイスしてくれています。

うちの子はまだ小さいから、親の死後のことを考えるなんてまだ早い・・・
と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、
私はむしろお子さんが小さいうちにこそ読んでおいたほうがいいのでは?
と思う本でしたよ。


障がいのある子を育てている親が共通して持っているという悩み
「私たちが死んだら、この子はどうなるんだろう・・・・」

この本を参考に具体的なライフプランを作ることで、
この不安もかなり軽減されるのではと思います。


☆☆☆☆☆


余談ですが・・・・

実は私、オーストラリアに来る前に社会保険労務士になりたいと思っていまして、
実際資格の専門学校とかに通ってかなり勉強して
試験も受けたことあるんですよねー!!

初めての試験では、確か2点か3点足りないという惜しい結果で不合格
その後会社の人事・総務・秘書として就職して、
労務や社会保険とかの実務はやったので勉強も無駄ではなかったのですが・・・

仕事してると忙しくて全然勉強の時間とか取れずに、
そのまま社労士の夢は終わりました

もしあの試験受かってたら、私は今オーストラリアにいなかっただろうなという話です・・・

そういうこともあり、私は当時は年金のこととか結構詳しかったのですよ。
年金オタクです(笑)
でも、もう試験受けたのも10年以上前の話だし、
年金もいろいろ変わってきてるようだしね・・・・。
今では忘れてしまいました


で、この本読んで思い出したのですが・・・・

国民年金に加入されてる皆様、
「今お金ないから」「どうせ将来年金なんてもらえないから」って
手続きとかしないで滞納したまま放っておいたりしていないですか???

年金は、老齢年金だけではなく、障害年金も含まれますからね~。


障害年金をもらうには、大前提の受給資格として、
 
「初診日の前日の時点で、初診日の月の前々月までに保険料の滞納が3分の1を超えていないこと」

 

を満たした場合、となっています。
手続きしないで放置した未納状態だと、急な事故で障害を負ったとしても障害年金もらえないなんてこともあります。


未納・滞納ではなく、きちんと手続きして全額免除の状態になっていたりすれば、
同じく保険料を払っていなくてもこちらは障害年金もらえます。
(審査はもちろんあります)

また、初診日が重要なので、
初診日が厚生年金加入中(会社勤め中)だったのか
国民年金加入中(仕事を辞めた後、もしくは自営業)だったのかによって
もらえる障害年金の額が違って来たり、
年金自体もらえなくなったりという差が出てきてしまうそうです。

平野さんによると、2011年に法律の改正があって、
発達障がい者も障害年金がもらえるかも?と書いてありました。

障がい年金をもらうのには、療育手帳の有無は関係ないそうですよ。


障がい年金て皆さんあまり詳しく知ってるものではないですよね・・・・。
でも、知らないと本当に取り返しのつかないことになったりしますから


基本的なことはこの平野さんの本にも書いてありますし、
複雑な事情のある方などは専門の社労士さんなどに相談してみてくださいね☆


ということで、元社労士を目指していたわたくし、
この本読んで昔の懐かしい記憶がよみがえってきてしまいました(笑)

年金法の詳細とかすっかり忘れてましたが、
なんか久々年金オタク(?)の血が騒いでしまいました

 


と、どうでもいい話に脱線してしまいましたが・・・・

私もこの本を参考に、カイくんのライフプランを作成してみることにします^^

 
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本の中で書かれていた、平野さんの人生理論:

「障がいをもつ子の親が、安心して先に死ねる社会の実現に貢献します」

これ、とても共感しました。
私も同じような気持ちですので・・・

進む道や実現の方法は違いますが、
平野さんも私も同じような方向を向いているような気がして、嬉しくなりました^^

よかったら皆さんもこの本読んでみてくださいね。