ニーズと向かい合った起業家
ヒモを引っ張ると発熱し、温かくなるお弁当がありますよね。
その、石灰と水の化学反応で発熱する[Hot! ぐるべん]を製造・販売している非常食研究所は、下請けの製造業を脱サラした西田社長が起業しました。
駅弁ではなく、ビジネスホテルでのニーズに着目した事業の成功への軌跡がおもしろいので、ぜひ絵のない紙芝居(?)でお読みください。
[着想]
コンビニでは弁当が人気だが、弁当を自販機で売ればヒットするのではないか。
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自分の経験から、出張先のホテルで温かい夜食として食べられたらうれしい。
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保存ができる弁当であること、温めなくてはならないことが問題…。
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発熱体とチルド弁当を開発しよう。口に入るものだから弁当そのものは大企業の信頼感が欲しい。
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[開発]
大手食品メーカーはどこも相手にしてくれない。
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唯一、日清製粉が試作に協力してくれた。
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オリジナルの自販機と弁当を開発する。
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ネーミングは[Hot! ぐるべん]に決定。
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[販売]
大阪駅通路の軒先を借りて試販するが、ほとんど売れず。
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ホテルに営業するが門前払いばかり。
(理由は、レストランの売上減や食中毒のトラブルをおそれて)
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知り合いのツテで、キャンプ場に自販機を設置できた。
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1週間後に行くと自販機ごと盗まれていた。
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工場の社員食堂に設置でき、なんと売り切れ続出 !!
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3ヵ月たつと1個も売れなくなる。
(同じメニューが飽きられたため)
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不特定多数が集まるホテルがいいはずだが設置は進まず、行き詰まる。
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阪神大震災が起こる。
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[転機]
在庫1200食をテント村に運ぶと、温かい弁当に被災者が涙を流して感謝してくれた。
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この製品は世の中の役に立つと確信。
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少し知名度が出るなか、食の専門家から「米飯の味を落とさず加熱できるようにするべき」とアドバイス受ける。
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デンプン質の老化を遅らせる加工法を開発。
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官公庁に営業し、非常食やAPEC首脳会議を警護する警官隊の昼食に採用される。
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公的機関の採用を受けて信頼度が高まり、ビジネスホテルでも250ヵ所以上に導入へ。
起業家としての紆余曲折、挫折と成功の物語が興味深いと思いました。
ちなみに「ぐるべん」はグルメ弁当からです。