東京学芸大学で小学校教員資格認定試験を受験。
無事に合格したので体験記を記します。
●どんな試験?
一般社会人を学校教育へ呼び込むため、大学で教職課程を履修しなくても教員になれる道として設けられた試験制度。
試験が設けられた趣旨では受験者は社会人が対象なのですが、学生も多く受けに来ます。私も受験当時は大学生でした。
高校を卒業した20歳以上の者であれば誰でも受けられ、1次・2次・3次試験に合格すると小学校教諭二種免許状を取得できます。
●1次試験
1次では教職教養と、専門教養(国語、社会、算数、理科、図工、体育、音楽、家庭、生活)の9教科から6教科を選んで受験。
ただし実技3教科(体育、音楽、図工)のうち、2次試験で受ける2教科は選ばないといけません。
私が選んだのは、国語・社会・図工・体育・家庭・生活。
私は文系なので算数と理科を消し、楽譜が読めないので音楽も消し…
消去法で選びました
試験は4択のマークシートで、1問5点×20問。
全体で6割取れれば合格なので、0点の教科があっても他で挽回できればOK。
(ただし教職教養だけは独立していて、6割取れないと不合格)
《教職教養》
まず教職教養の対策本ですが、
教採試験用の参考書がそのまま使えます。
どの本も似たりよったりなので書店で立ち読みしてみて、
自分に合ったものを選ぶといいでしょう。
私はLECの教採試験用の本で対策しました。
「これだけ覚える教員採用試験 教職教養」(成美堂出版)
教職教養は教育原理、教育時事、教育法規、教育心理、教育史などから出題されます。
前述のように教職教養で6割(20問中12問)取れないと、
専門教養でいくら高得点を取ろうが不合格になるので要注意です。
1次敗退者の殆どは教職教養で足切りを食らっている模様
《専門教養》
学習指導要領と学習指導要領解説(以下『解説』)から10問と、
各専門科目の内容から10問の、計20問が出題されます。
(算数なら計算問題、図工なら絵画や彫像の作者を答える問題など)
私が自信を持って薦めるのはこの1冊。
「教員採用試験 参考書 小学校全科(オープンセサミシリーズ)」(七星出版)
超オススメの最強の参考書です。
この本は学習指導要領のほかに『解説』、
指導法の要点などが簡潔かつ十分にまとめられています。
これさえあれば『解説』などは買う必要なし。
受験者は『解説』をわざわざ買って勉強する人が多いのですが、
私に言わせればオーバーワークで、効率が悪いです。
『解説』がなくてもオープンセサミをしっかりやるだけで8割は取れますし、
『解説』に手を出す時間があるのなら、その労力を2次の論述に費やすべきです。
1次に必要な参考書は以上の2冊で十分です。
対策としては、参考書をざっと読んでから、ひたすら過去問に取り組む。これに尽きます。
過去問と解答は文科省のページで閲覧・印刷できます。
また、過去問は問題集としてではなく、読み物として活用することをオススメします。
過去問を印刷したら、正解肢には丸をつけ、不正解肢はどこが誤りなのか調べて書き込む。そうすることで毎年の出題傾向も自然と頭に入ります。
1次対策に必要な時間ですが、
時間に余裕のある学生なら1ヶ月、
社会人であれば2~3ヶ月といったところでしょうか。
試験後1か月ほどで合格通知書が到着。
これで2次試験に進めます
●2次試験
2次試験は論述、実技、口述で構成されます。
《論述(1日目)》
国語、社会、算数、理科、図工、体育、音楽、家庭、生活から1教科を選んで受験。
個人的にオススメなのは体育です。
過去問を見てもらえれば分かるのですが、体育は他の科目と違って『解説』以外からは出題されないため、対策は割と楽です。
採点はかなりシビアなので、丸暗記するつもりで臨む必要がありますが。
《実技(1日目)》
体育、音楽、図工の3教科から2教科を選んで受験。
私はピアノが弾けないので、自動的に体育と図工を選択
体育は、ここ数年以下の課題が頻繁に出題されています。
・サッカーのジグザグドリブル、リフティング
・バスケットボールのシュート
・マット運動
・30mハードル走
私は深夜の公園で一人でドリブルとリフティングの練習していました。
サッカーは練習できたのですが、バスケやハードル走はなかなかいい練習場所が無かったため、結局ぶつけ本番になってしまいましたが。
図工は、平成18年以降鉛筆淡彩画の出題が続いています。
鉛筆で仕上げたデッサンの上に淡く色をのせて仕上げるというものです。
以前は校内美化ポスター(H12)、タングラム(H15)、環境問題ポスター(H17)などの出題もあったようです。
《口述(2日目)》
受験生1人に対し試験官2人の面接。
(試験会場によって異なるかもしれません)
服装は当然スーツが無難です
私服の受験者もいましたが、かなり浮くので覚悟が必要です。
トランクやボストンバッグなど、大荷物を抱えて試験会場に来る人も多くいました。
遠方からの受験者は大変ですね…
所要時間は5分くらいで、以下のような質問を2、3個されます。
・なぜ小学校の先生になりたいのか?
・あなたの考える理想の教師とは?
・体育の時間に児童がケガをしたら、どう対処する?
・クラスでいじめられている子がいたら、どう対処する?
いずれもオーソドックスな質問ばかりですし、
意地悪な突っ込みもされないので、それほど対策は必要ないと思います。
口述で落ちたという話も殆ど聞きません。
ただ…
・宿題をやってこない児童がいる、あなたならどうする?
⇒「ひっぱたいてでも言うことを聞かせます」
とか、体罰を肯定するような答えだとさすがに落とされると思いますが
試験後1か月ほどで結果通知書が到着。
●指導の実践に関する事項に係る試験(3次試験)
受験者の間では俗に「3次試験」と呼ばれています。
東京学芸大学には附属小学校が4校あり、3次の会場は毎年ローテーションしていくそうです。平成26年度は大泉小学校でした。
もともと3次は教育実習の代わりのようなもので、
「試験」というより「研修」という感じがしました。
基本的に落とされることはないため、終始和やかな雰囲気でした。
昼の休憩時間中もリラックスできるように音楽をかけてくれたりと、
いろいろなご配慮があり、ありがたかったです。
3次では授業を見学して修正指導案を作成したり、
学級経営に関するレポートを作成したり、事例討論が行われます。
事前にポイントを教えてくれるので特に対策は必要ありません。
3次のポイントとしては、
・遅刻には非常に厳しい(数分遅れて不合格になった前例あり)
・試験内容は学校により大きく異なる
・レポートや指導案は一応点数化されるが、基本的に落とすことはない
1日遅れのクリスマスプレゼント…
あとは実施大学に合格証明書を発行してもらい、
都道府県教育委員会に免許状の交付申請をすると…
ようやく小学校教諭二種免許状をゲット
本当に長い道のりでした…
今は教育とは無関係の民間企業で働いていますが、
いつか社会人枠で教壇に立つ日が来るかもしれません。