SINGER114/TREASURE1114のルーパー調整の仕方 | HANDLERのブログ

HANDLERのブログ

HANDLERのホームページが公開されました!
www.handler-online.com

みなさんこんにちはHandlerです。


先日YODAさんと仰る方からメッセージを頂きました。

ハンドルミシンを購入されてこれからたくさん刺繍されるという事。(゚∀゚)

良い傾向です!

もうアンティークと呼んでもいい頃合いのミシンを使おうとする方がまだいる。

全力で応援したいです!(゚∀゚)

さっそくお困りごとのようです。



表題のSINGER114/TREASURE1114のルーパー調整の仕方です。



本来これはミシン屋さんの宿題なのかな?

購入されて間もなくチェーン刺繍が刺繍できないというご事情と伺って、

機械的な調整が必要だとしたら、ちょっと販売元さんしっかりしなきゃ!って思います。


実際SINGERもTREASUREもメジャーかマイナーかと言えば、「マイナー」なのです。

ハンドルミシンを手掛けないミシン屋さんでは、ちょいちょいと直せない方もいらっしゃいま

す。やっぱり売って御終いじゃお粗末です。


以前にもルーパーの調整はスレを立ててますが、そちらはご覧になられてのご質問

だったので、改めて立ててみます。



基本SINGERもTREASUREも造りはほぼ一緒です。

SINGER114を模倣して作られたTREASURE1114は、部品の流用もできるものもある。

そうは言っても、TREASUREも奈良ミシン工業が廃業となった現在、TREASUREの部品調達も

簡単ではなくなりました。

ネジ1つからホームセンターで合わない物もあるので、大事に使いたいものです。



なぜチェーン刺繍が刺繍できなくなったのか。

残念なのは問題のマシンを僕は見ていないので、消去法で調べてゆくほかありません。



まず順を追って調べてみましょう。


1.針の向き・高さ・種類
チェーンの場合は進行方向へ針カギを位置する。シニール(モス)は逆。
高さはニップル(針が飛び出してくる部分)から少し出たほどに、針のポイント(針先)
が出てるようでは、比較的高すぎです。少し下げましょう。下げ過ぎてポイントが
生地に触っても刺繍はできます。
適正位置はポイントが生地から1mm程度上がった位置が良さそうに思います。
僕は商品によって高さを変えています。

現在購入したままの針はチェーン用となっています。
現在はシニール用の針は販売されていないようです。(シュミッツ・オルガン調べ)
シニールはループを外しやすくするため、カギを削りカギの懐を広くします。
シニール用の針でもチェーンは刺繍できますが、仕上がりが良くないケースがあります。

2.糸調子
テーブル下のバネネジを締め、糸の送り出しにテンションを掛けます。
シニールは緩めて解放)し、テンション0にします。
チェーン刺繍は適度なテンションが必要です。感覚としてはテンション10を引っ張っても
糸が引けない程度とすると、3~5程度のテンションでチェーン刺繍が刺繍できます。
テンションを5~にしてゆくと、出来上がるループは縦長に細くなります。

基本チェーン刺繍の糸調子の良し悪しという物は、チェーンが目飛びなどせずに刺しゅう
出来ていれば、糸調子がとれているとします。
ループの形状はどれが正しい物と定義はしません。
細いチェーンステッチ線を造りたい場合は、糸調子を強くするという様に、ケースに
合わせて調整します。


3.カムスウィッチ(カム切り替えダイヤル)
シニールとチェーンを切り替えるためのスウィッチが正しくないケース。
基本チェーン刺繍ができる準備(1~2を履行)で、カムがシニール用になっているだけで、
チェーンステッチは刺繍できないケースがあります。

SINGERに多くある症状だと、いくつかのミシンを触ってみて思います。




ぶっちゃけた話ですが、僕が触った範囲なので話半分に聞いてほしいですが、ミシンの

造りはTREASUREの方がしっかりできています。

そんな気がする。あまり狂わないしハンドルも滑らか。

やっぱり日本製って素晴らしいなぁって思いますね。



で、1~3の通りに見ていっても問題が解決しない場合は、機械調整が必要になります。

ルーパーのタイミングを調べてみます。

あ、それからチェーンが刺繍できない原因もう一つありました。
ベロって部分なのですが、この部分の油が切れるとチェーンができないケースがあります。

オイルアップについては経験で覚えていくと思いますが、油が切れてくると稼動音に変化が

あります。五月蠅くもなる。オイルアップはやりすぎると商品を汚しますから、適度に時期も

考えてやりましょう。ミシンの寿命はオイルアップで決まると言っても過言ではないです。



困ったらミシン屋さんというのも良いですけど、ハンドルミシン従事者はこの程度の調整

は、ご自分出来るようになった方がいいです!


無いとは思いますが、予めお断りしておきます。

作業中の不慮な事故はご自分の責任として調整を始めてください。

また必ずミシンの電源は切りましょうね。

ネジを緩めたら上に押してやると底板が持ち上がりますので、取り外してください。

この時針棒と押え金は抜いておく。

底板を外すとこのミシンのキモであるルーパーが出てきます。

ハンドルを回すと分かりますが、この銀色のルーパーがクルクル回ります。

ちなみに糸は先の外側にある小さな窪みに引っかかる仕組みです。

刺しゅうする際に糸を引き出す作業をしますね、あれは糸をこの窪みに入れる作業です。

画像の向きにルーパーがあり、ハンドルが9時の方向にあればチェーン刺繍ができます。

この関係が正しい見本です。


地方によって呼び方に違いがあるやもしれませんが、ご質問がある場合は名称を統一して

ください。(´∀`)

ルーパーを調整するにはまず、この固定ネジを緩めます。緩めると、カム切り替えダイヤルが回るようになります。

このダイヤルはハンドルと連結されているので、ハンドルを固定して動かないようにして

ダイヤルをまわします。ハンドルを固定してダイヤルが回れば、ネジの緩めは適当です。

回す方向に決まりはありません。

調整はチェーンになるようにするとします。


ハンドルの向きも統一言語にすると教えやすいです。

基本として調整する場合はハンドルの向きは9時と決めておきます。

ハンドルは9時の方向、ルーパーの位置は上の画像のようになっていればOK

合わせられたらカム固定ネジをしっかり締めます。

構造上の問題でしっかり締めてもしばらく使っているとタイミングが狂ってくるミシン

もあります。

なので固定ネジはねじ山を壊すほど回さない様に。

ネジサイズの割には溝が太いので、ぴったり合うマイナスドライバーがあると良いです。

なかなか無いんだけど…




これで調整は完了です。

この調整ができていれば、カム切り替えダイヤルを変えてやれば、シニール(モスステッチ)

もちゃんと刺繍できます。

後はコメントで対応いたしますよ。


それではまた次回