たとえば、
外に出れば数限りない色があり、
CDをかければ、素晴らしい音楽が聞こえてきます。
しかし、こどもたちに、
世界にあふれる色や音楽をとらえる能力がなければ、
たとえ外に出ても、こどもたちにその数限りない色は見えていないし、
コンサート会場に連れていっても、その音楽は耳に届くことはありません。
こどもが精神的に発達を遂げるためには、
世界とこどもたちを結ぶ「糸」が必要です。
こどもたちの認識が、外の世界と関連づけられた時初めて、
こどもたちは世界に存在する、例えば「赤い色」を見つけて感動し、「ドの音」を見つけて喜びます。
教具(オモチャ)の本来の目的は、この「関連づけ」です。
世界に存在する色そのものを教えることは、教具の目的ではありません。
教具を使って仕事をした後、こどもたちが
今までそこにあって見ていなかった「色」を見つけられるようになること。
教具を使って仕事をした後、
こどもたちが外の世界で繰り広げられる、今まで気がつかなかったルールや概念を
正しく理解できるようになること。
教具を通して、こどもたちがより広い世界を理解できるようになること。
それが、教具の目的です。