陸王

 

池井戸潤 集英社 2016年7月

 

 

陸王陸王
1,836円
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勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!

 

 


老舗の足袋屋のこはぜ屋。行く先は先細り。
生き残りをかけて新しい事業を開始する。
 
のれんを守りつつ、生き残るために今の時代にあった新しい事業を立ち上げていくのは、
困難に違いない。
 
しかし、信頼関係をもった仲間がいること、
どんなときにも勝利を信じる気持ちがあったからこそ、こはぜ屋は成長できたのだ。
 
この社長のいいところは、社員のみんなのことを家族のように思っていることだ。
岐路に立った時、自分の判断を社員みんなの意見を聞いている。
だからこそ、社員は社長を信じ、一致団結してやっていけるのだと思う。
 
一時は騒がれるほどの走者であった茂木。
しかし、故障して、一時、走れなくなる。
そんな茂木が、再起を果たす。
 
それでも、記事になるのは、毛塚のことばかり。
注目された選手のことを中心にした記事になる。
その毛塚に勝ったところで、毛塚の体調不良と報道される。
報道って、そんなものなのか!おかしい。
 
しかし、茂木は、栄光のためではなく、人生そのものだから、走るのが好きだからという。
そんな茂木のレース、私もこころから応援した。
 
就職が決まるまでのこしかけとしてこはぜ屋で働らいていたこはぜ屋の息子大地の成長物語としてもよかったし、選手に寄り添っているシューズマイスターの村野の存在もよかった。
 
小さな会社であっても、あきらめず、力を合わせれば、なんとかなる。希望の持てる内容だ。
信頼という関係で結ばれた仲間の存在がよかった。
 
 
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