奥田英朗 集英社 2015年9月
- 我が家のヒミツ/奥田 英朗
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どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにない(『虫歯とピアニスト』)。同期との昇進レースに敗れ、53歳にして気分は隠居である(『正雄の 秋』)。16歳になったのを機に、初めて実の父親に会いにいく(『アンナの十二月』)。母が急逝。憔悴した父のため実家暮らしを再開するが(『手紙に乗せ て』)。産休中なのに、隣の謎めいた夫婦が気になって仕方がない(『妊婦と隣人』)。妻が今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出して(『妻と選 挙』)。どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編。
家族のとっておきの秘密を描いた短編集。
「虫歯とピアニスト」
あこがれのピアニストが、自分の職場に現れたら・・・・・・
そんなことが実際に起きたら、テンションあがるだろうな。
自分だけの秘密にしておきたい気持ちと、相手に知らせたい気持ちと複雑だろう。
妻は、不妊に悩んでいるようだが、この夫の親への啖呵に感動。
「正雄の秋」
同期で入ったライバルに遅れを取る。第一線からの脱落、人生をあきらめてしまうのか?
気持ちの切り替えってむつかしい。けど、まだ、まだ、人生は続いていくのだ。
相手の立場にたって考えられるってことは、この人こそ、できる人だと私は思うのだが・・・・・
「アンナの一二月」
実の父親が、有名人で裕福でかっこよくて・・・・・・ということがわかったら、実の父親に頼ってしまう気持ちもわかる。
しかし、それを止めたのが、アンナの友達っていいうところがいい。
地味であっても、今まで育ててくれた父への感謝の気持ちが暖かかった。
「手紙に乗せて」
肉親を失った悲しみというのは、同じ経験を持つ者しか、わからないのかも?
気をかけてくれる上司の思いやりの気持ちが暖かく、こんなわかってくれる上司がいる下で働けるって素敵なことだと思った。
「隣人」
こんな隣人がいたら、やはり気になるだろうな・・・・・
これは、謎めいたお話だった。
「妻と選挙」
突然の妻の立候補に驚く夫。最初は、そばで見ているだけだったが、いつしか応援を・・・・・・
家族の結束って、強い。家族がひとつになり、選挙に立ち向かう姿勢がよかった。
どこにでもいそうな家族の中のささやかな幸せが感じられていい。
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