物語のおわり

港かなえ 朝日出版社 2014年10月



物語のおわり/朝日新聞出版
¥1,512
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妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、
父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性……
様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで
受けとるのはひとつの紙の束。
それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。
山間の田舎町にあるパン屋の娘、絵美は、
学生時代から小説を書くのが好きで周りからも実力を認められていた。
ある時、客としてきていた青年と付き合い婚約することになるのだが、
憧れていた作家の元で修業をしないかと誘いを受ける。
婚約を破棄して東京へ行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか……
ここで途切れている「空の彼方」という物語を受け取った人々は、
その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。
湊かなえが描く、人生の救い。



「空の彼方」という結末の書かれていない物語。
悩みを持った人たちが、ひとりで北海道旅行する。そこで、渡されたこの物語。
読む人によって、受け取り方が違うところがおもしろい。
そして、読んだ人が自分で考えた結末は、自分自身の人生と重なり合わせて考えていて、自分自身の新しい第一歩となる。前向きになれるところがよかった。

この物語の本当の結末もあって、そういうことだったのかと。

どれも、心暖まるお話だった。

作者の最初の頃の作品とは、大違い!

北海道に旅行に行きたくなった。

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