水やりはいつも深夜だけど


窪美澄 角川書店 2014年11月



水やりはいつも深夜だけど/KADOKAWA/角川書店
¥1,512
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セレブママとしてブログを更新しながら、周囲の評価に怯える主婦。仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。自分の娘の発達障害 を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。同じ 幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。

花をモチーフにした物語。

「ちらめくポーチュラカ」
昔の記憶から立ち直れず、ブログを書いて、嫌われない自分を演じている主婦。
幼稚園のママたちとの付き合いもたいへんだなあと思う。でも、ずっと演じていることなんてできないよね。

「サボテンの咆哮」
育児のことで不安定になっている妻を理解してやれなかった夫。
育児は一人ではたいへんなのだ。母だけでなく、周りの人の協力があってこそ、成り立つもの・・・・・

「ゲンノショウコ」

障害のある妹と育った経験から、自分の子どもは普通でないのではないかという不安がつきまとう。
子どもによって個性が違う。その子のよいところを見抜いてやることが大切!?

「砂のないテラリウム」

子ども中心の生活になり、他の女性に関心が向く夫。
自分勝手な男の言い草・・・・・・

「かそけきサンカヨウ」
父親と二人で暮らしてきたのに、父の再婚の女性が現れ戸惑う高校生の娘。
今まで父娘二人でがんばってきたのだから、そこに入り込んでくる者を余計者と感じてしまうのも無理はないだろう。


主人公は、どこにでもいそうな人物で、自分の中にもそんな気持ちが隠れているんじゃないかと思うような身近な問題を描いている。だから、感情移入しやすく、その場面の気持ちになることができた。

登場人物たちが、悩みぬいた最後には、希望の見えるラストが用意されていて、明るい気持ちで読み終えることができてよかった。

お気に入り度★★★★★