本「悟浄出立」

悟浄出立

万城目学　新潮社　2014年7月

俺はもう、誰かの脇役ではないのだ。「西遊記」の沙悟浄、「三国志」の趙雲、司馬遷の娘…。人生の見方まで変えてしまう連作集。

中国故事を詳しく知っているわけではないが、知っている名前が出てくるので、親しみやすい。
少しの場面を描いているだけなのに、長編を読んだ気分になる。

「悟浄出立」
ぐうたらな八戒に、昔の意外な一面を知ることができ、驚き！

「趙雲西航」
故郷を想う趙雲こと子竜の気持ちが切ない。

「虞姫寂静」、

尊厳をかけ、踊る虞美人の姿が印象的。

「法家孤憤」
漢字は違うが読み方が同じ名前のケイカ。町役場での書記採用、入れ替わっていなければどんな将来が待っていたのだろう。

「父司馬遷」

娘の立場から、父を想う気持ちがやるせなかった。

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